診療科目
腎泌尿器外科

腎泌尿器外科 診療部長 教授 松田 公志
関西医科大学泌尿器科は、泌尿器科にかかわるあらゆる病気を専門的に診療する体制を整え、毎日の臨床の中で患者さんの体に優しい治療・手術を実践し、患者さんのQOL(生活の質)を重視しています。わたくしたちは、わが国で最も早く腹腔鏡手術を始めた泌尿器科のひとつであり、年間に約90件の腹腔鏡下前立腺全摘除術と80件近くのその他の泌尿器腹腔鏡手術を実施しています。また、前立腺センターを設け、前立腺がんと前立腺肥大症を総合的に診療するとともに、男子不妊症、ED、男性更年期障害などの男性科学の臨床、さらには尿失禁や性器脱などの女性泌尿器疾患の治療にも専門的に取り組んでいます。また、科学的根拠に基づいて低侵襲手術を安全に実施できる、次世代泌尿器科医の教育に全力を注いでいます。
お知らせ
本院では、男性更年期障害の診療はすべて自費診療とさせていただいています。検査や治療において、診療内容が健康保険の規定に合わない点が生じるためです。初診時に血液検査などを含めて3万円ほど費用がかかります。患者さまにはご迷惑をおかけしますが、ご理解いただきますようにお願いします。
科の特徴
1.当科の主要な診療分野は以下の通りですが、基本的には、あらゆる泌尿器科疾患を専門的に診療する体制を整えています。
①尿路・生殖器腫瘍
②男性機能異常(男性不妊症、男性更年期障害、ED、など)
③男性排尿障害(前立腺肥大症など)
④腎移植
⑤副腎疾患に対する外科的治療
⑥女性泌尿器疾患(尿失禁・性器脱など)
2.低侵襲治療、特に腹腔鏡手術、ロボット支援手術を多数実施しています。
診断、治療では、患者さんのQOL(生活の質)を重視し、低侵襲手術を目指しています。特に腹腔鏡手術は、わが国でも最も早くから開始し、さらに現在はロボット支援手術を導入しています。腹腔鏡手術は総数3000症例を超えています。合併症の頻度も低く、良好な治療成績をあげてきています。泌尿器腹腔鏡技術認定取得医は現在5人です。
腹腔鏡下腎摘出術は1992年から実施しています。腹腔鏡下前立腺全摘除術は2000年に開始し、2013までに750例程施行しました。2013年から最新式のda Vinci Siを用いたロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術に移行しています。現在は術後の尿失禁軽減、勃起機能保持のため、可能な限り神経温存を心掛けるようにしています。
3.特に重点的に取り組んでいる疾患・治療
1)副腎疾患(ほぼすべて腹腔鏡手術を行っています)
2)腎癌に対する腹腔鏡下腎部分切除術(ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術は自費診療となります。)
3)女性の尿失禁に対する低侵襲のTOT手術
4)性器脱・膀胱瘤に対するメッシュを用いたTVM手術
5)浸潤性膀胱癌に対する自然排尿型代用膀胱
6)閉塞性無精子症に対する精路再建術(顕微鏡下精管精管吻合術)
7)前立腺癌に対する機能温存を重視したロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術
8)前立腺肥大症に対してはバイポーラー前立腺核出術(TUEB)、ホルミウムレーザー核出術(HoLEP)を行っています。これらの手術の適応決定においては、pressure flow study(PFS)を施行することにより、より客観的かつ正確に評価することが可能となっています。
9)尿路結石に対してはESWL(体外衝撃波砕石術)に加え、より治療効果の高いレーザーを用いた内視鏡下尿路結石砕石術を多数の患者さんに実施しています。
10)男性更年期障害の診断と治療
科の実績
2014年1年間の手術件数 総数1136件
(うち腹腔鏡/ロボット支援手術207件)
前立腺全摘除術 117件
(うちロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術 116件、腹腔鏡下前立腺全摘除術1件)
根治的腎摘除術 19件(うち腹腔鏡手術13件)
腎部分切除術 30件
(うち腹腔鏡手術19件、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術6件)
副腎摘除術 12件(うち腹腔鏡手術9件)
腎尿管全摘除術 26件(うち腹腔鏡手術17件)
根治的膀胱全摘除術(尿路変更含む) 16件(うち腹腔鏡手術1件)
膀胱部分切除術 2件
尿管部分切除術 5件
生体腎移植術 10件
単孔式腹腔鏡下腎採取術(ドナー腎採取術) 10件
腎孟形成 7件
(うち腹腔鏡手術6件/そのうち単孔式3件)
腹腔鏡下尿膜管摘除術 6件(うち単孔式3件)
単純腎摘 2件(うち腹腔鏡手術1件)
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT) 200件
経直腸的前立腺生検 307件
内視鏡的上部尿路結石手術 134件
経尿道的バイポーラー前立腺核出術(TUEB) 21件
経尿道的レーザー前立腺核出術(HoLeP) 14件
経尿道的膀胱結石砕石術 6件
高位精巣摘除術 6件
女性性器脱手術 12件
その他 174件
スタッフ
松田 公志 教授

専門分野 |
認定資格 |
男性学
泌尿器腹腔鏡手術
|
日本泌尿器科学会専門医・指導医
腹腔鏡技術認定医
日本生殖医学会生殖医療専門医
日本性機能学会専門医
日本内分泌外科学会専門医
がん治療暫定教育医
がん治療認定医
大阪府難病指定医
泌尿器科da Vinci Si支援手術教育プログラム修了 |
木下 秀文 病院教授(副部長)

専門分野 |
認定資格 |
前立腺癌
泌尿器科腫瘍
|
日本泌尿器科学会指導医
腹腔鏡技術認定医
がん治療暫定教育医
がん治療認定医
泌尿器科da Vinci Si支援手術教育プログラム修了
臨床遺伝専門医 |
杉 素彦 診療講師(病棟医長)

専門分野 |
認定資格 |
低侵襲治療 |
日本泌尿器科学会指導医
腹腔鏡技術認定医
泌尿器科da Vinci Si支援手術教育プログラム修了 |
駒井 資弘 助教(外来医長)

専門分野 |
認定資格 |
腎泌尿器癌
組織幹細胞 |
日本泌尿器科学会専門医・指導医
腹腔鏡技術認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 |
安田 鐘樹 助教

専門分野 |
認定資格 |
泌尿器科全般 |
日本泌尿器科学会専門医・指導医 |
矢西 正明 助教

専門分野 |
認定資格 |
腎移植
腎臓疾患 |
日本泌尿器科学会指導医
移植学会認定医
臨床腎移植学会認定医
がん治療認定医
泌尿器科da Vinci Si支援手術教育プログラム修了 |
増田 朋子 病院助教

専門分野 |
認定資格 |
前立腺肥大症手術(HoLEP) |
日本泌尿器科学会指導医
がん治療認定医 |
三島 崇生 助教(教育局長)

専門分野 |
認定資格 |
前立腺肥大症手術(TUEB)
女性泌尿器 |
日本泌尿器科学会指導医
がん治療認定医
泌尿器腹腔鏡技術認定取得医
泌尿器科da Vinci Si支援手術教育プログラム修了 |
吉田 健志 助教

専門分野 |
認定資格 |
泌尿器内視鏡治療
医工学連携分野 |
日本泌尿器科学会指導医
泌尿器科da Vinci Si支援手術教育プログラム修了 |
谷口 久哲 助教(医局長)

専門分野 |
認定資格 |
アンドロロジー |
日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 |
吉田 崇 病院助教
中本 喬大 病院助教
速水 悠太郎 病院助教
田口 真 病院助教
東田 章 非常勤講師

専門分野 |
認定資格 |
泌尿器科腫瘍
小児泌尿器科
排尿障害
男性不妊症
泌尿器科一般 |
日本泌尿器科学会指導医
日本小児泌尿器科学会認定医
がん治療認定医 |
Q&A 当科へよくあるご質問とその答え
1.前立腺肥大があったらどうなるのですか?治るのでしょうか?
前立腺は、男性のみにある臓器で精液のおおよそ30%ほどを作っています。
前立腺肥大症は、60歳の男性では50%以上に、85歳までに約90%にみら
れ、その約1/4に症状がでます。頻尿や排尿困難・残尿など症状がある場合
は治療の対象になります。治療として内服治療や手術治療を行います。前立腺を
小さくする薬も最近はありますが、担当医とご相談下さい。また前立腺癌が潜ん
でいることもありますので、血液検査でPSA(ピー・エス・エー)の測定で癌の可能
性も検査できます。
2.癌が転移した場合の治療法はあるのでしょうか?
一般には、癌の治療ではその臓器に限局した癌(主にStageⅠやⅡ)では手術
治療や放射線治療での根治が期待できます。浸潤癌や転移を有する癌(主にSt
ageⅢやⅣ)は、局所の治療では癌のコントロールが不十分なことが多く化学療
法や腎癌では分子標的薬の治療を行います。
進行した癌では、治療法を組み合わせることで治療を行い根治または腫瘍の抑
制を期待します。
3.過活動膀胱って何ですか?
過活動膀胱とは、尿意切迫感(もれそうな感じ)を主症状にする状態であり、
頻尿、夜間頻尿、切迫感(突然おこる、抑えられないような強い尿意)、尿失禁な
どの症状を伴います。我が国では、40歳以上の12.4%、おおよそ800万人
ほどに達すると推定されています。男性・女性ともに年齢とともに症状がでる方が
増加していきます。ただし急性膀胱炎や前立腺炎などの炎症や尿路結石、婦人
科腫瘍や尿路腫瘍などの悪性疾患でも同様な症状を呈する場合がありますの
で、症状があるときは腎泌尿器外科にご相談ください。
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