概要

肝臓は「沈黙の臓器」と言われており、発見された時には進行していることも少なくありません。肝臓がんは大きく分けて、肝臓から発生する「原発性肝癌」、他臓器がんからの転移である「転移性肝癌」の2つに分類されます。原発性肝癌は、主にウイルス性肝疾患を基盤として発生するため、外科的切除に際しては常に肝予備力の程度を評価しなければなりません。患者さんそれぞれの肝臓の状態を見極め、安全な手術を行えるよう常に心がけています。また手術ができないような進行癌の場合でも、肝臓内科や放射線科と連携し、予後の改善を目標とした集学的治療を行っています。転移性肝癌、特に大腸癌の肝転移に対しては、外科的切除が生命の予後を改善させることが明らかとなっています。抗癌剤治療に携わる腫瘍内科と連携を取りながら、手術の可能性を追及し、外科手術による根治を目指しています。

一方、胆管癌では肝門部領域胆管癌と肝内胆管癌があり、切除可能病変であれば、手術が最も治癒が期待できる治療方法です。胆管癌では決まった手術術式といったものがなく、がんの場所、広がりに応じた術式が選択されます。一般的には肝門部領域胆管がんの場合は肝切除、胆管切除を伴う術式が選択され、肝内胆管癌の場合は肝切除術が選択されます。

当科では低侵襲な腹腔鏡手術から、超高難度手術とされる拡大肝切除術に伴った血管合併切除および再建術を積極的に取り組んでおり、徹底した癌根治手術を追究しております。また手術前後の肝臓領域の抗癌化学療法も数多く行っております。

 

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ごあいさつ

2018年8月1日付けで、外科学講座肝臓外科担当診療教授を拝命致しました。私は、合併症を起こさない、安全かつ丁寧な手術を行うことをポリシーとし、年間100例以上の原発性肝細胞癌、転移性肝癌、胆管癌、巨大血管腫などの肝切除術を、指導医および執刀医として担当して参りました。今後もさらに「手術手技の的確さ」「手術進行の円滑さ」「術野の完成度」を追求し、多くの患者さんにご満足いただけるよう、より高度な治療のご提供を目指して精進していく所存です。また、これまで以上に周辺地域の病院、診療所とのネットワークを強固なものとし、地域医療の発展に寄与していきたいと考えております。常に患者さんにとって一番良い治療方針をご提案し、患者医師お互いが強い信頼関係で結ばれた心の通った医療、それこそを私の信念としております。

 

診療科長 診療教授 海堀 昌樹

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特色・方針

1.手術前の取り組み

✔造影CT・MRI画像から手術術式に必要な解剖情報を徹底的に解析した手術シミュレ
  ーションを行っております。治療戦略を詳細に検討することにより手術時間の短縮およ
  び手術時出血量を減らし、術後合併症発生抑止を目標としております。

✔肝臓手術は消化器外科手術の中で最も手術時出血量の多い手術です。手術時出血量を減
  らす手術手技の実施と同時に、事前の自己血貯血を約200ml~600mlを行い、手術時
  に患者自身へ返血し、同種血輸血を回避しています。

 

2.手術中の取り組み

✔高難度手術を安全確実に行います。丁寧な手術手技かつ手術時間を短く、結果的に出血
  量減量を最大限の目標としています。肝臓外科では肝胆膵外科高度技能指導医1名およ
  び肝胆膵外科高度技能専門医2名が在籍し、肝胆膵外科高度技能専門医の育成にも努め
  ています。
 

✔CTやMRIなどの画像診断で手術前の発見が困難な微小癌の検出を蛍光ナビゲーション法
  により見つけ出し、根治手術を徹底的に追及しています。
 

✔肝切除術後の最も多い合併症の一つである胆汁漏を蛍光胆道造影法および細径胆管チュ
  ーブ留置により、その発生はほぼ皆無となっております。
 

✔低侵襲である腹腔鏡手術も積極的に行っておりますが、開腹か腹腔鏡アプローチかの術
  式選択は癌根治性および術後合併症抑止の観点から、患者さんに対してどちらがよりメ
  リットがあるか、を慎重に検討し選択しております。

 

3. 手術後の取り組み

✔肝臓領域での術後回復促進プロトコール(enhanced recovery after surgery)を導入
  している国内の代表的施設です。具体的には客観的な痛みの評価を行うことにより、
  手術後の創部痛緩和(完全なペインフリー)、また術直後の嘔気嘔吐の抑止、術後リハ
  ビリテーション運動・栄養療法を積極的に行っております。
 

✔慢性肝疾患患者さんに対して栄養療法および運動療法指導を行っております。運動療法
  により脂肪量の減少による体重の減少、またインスリン抵抗の改善効果を認め、骨格筋
  量を維持する効果を見出しています。これら運動療法は手術後の外来での医師、看護
  師、栄養士また運動指導士によるきめ細かなフォローアップを特徴としております。
 

✔近年急増してきております80歳以上の高齢癌患者さんに対して、手術前および手術後
  の身体的評価だけではなく、認知機能障害や鬱症状が悪化とならない当科ならではの取
  り組みを行っております。
 

✔当科で手術した患者さんは紹介先施設と連携し、一生涯フォローアップを行っておりま
  す。

 

4. その他

✔一般的に治療不可能と判断された難治進行性肝癌に対して、動注リザーバー留置による
  シスプラチンCDDP+分子標的薬ソラフェニブ投与による集学的治療を行い、現在良
  好な成績を認めております。

 

関連している診療支援部門

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実績

実績(2019年1月~2019年12月)

手術症例 198例

対象疾患

肝細胞癌 77例
転移性肝癌 48例
肝内胆管癌 17例
肝門部領域癌 11例
肝のう胞 11例
肝血管腫 1例
肝内結石 1例
胆のう癌 2例
総胆管結石 1例
脾臓疾患 4例
その他 24例

手術術式

開腹手術 112例
 肝門部領域癌根治手術  6例
(血行再建3例)
 開腹肝切除術
  3区域切除術 5例
  2区域切除術 32例
  1区域切除術 28例
  亜区域切除術 8例
  部分切除術 25例
 開腹脾臓摘出術 2例
 その他 5例
腹腔鏡下手術 67例
 腹腔鏡下肝切除
  二区域切除術 3例
  一区域切除術 12例
  亜区域切除術 3例
  部分切除術 35例
 腹腔鏡下天蓋切除術(肝のう胞手術) 9例
 腹腔鏡下脾臓摘出術 2例
 その他 3例
その他手術(CVポート留置ほか) 19例

その他

切除不能肝細胞癌に対する分子標的薬使用 約3-5例/月
(累計265例)
切除不能進行肝癌に対するSorafenib+動注CDDP 約1-3件/月 
(累計50例)
障害肝併存肝細胞癌手術症例に対する周術期運動療法導入 約1-3件/月
(累計130例)
胆管癌化学療法導入 約3-5例/月
慢性肝不全に対する集学的治療 約3-5例/月
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スタッフ

氏名 写真 職名 専門分野 認定資格
海堀 昌樹 海堀 昌樹 診療教授
肝胆膵外科
移植外科
外科学会専門医・指導医
消化器外科学会専門医・指導医
消化器がん外科治療認定医
肝胆膵外科学会高度技能指導医
肝臓学会専門医・指導医
外科感染症学会暫定教育医
ICD制度協議会Infection Control Doctor
TNT(Total nutritional therapy)認定医
身体障害者福祉法第15条指定医師
松井 康輔 松井 康輔 講師
肝胆膵外科
移植外科
外科学会専門医・指導医
消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医機構がん治療認定医
肝胆膵外科学会高度技能専門医
石崎 守彦 石崎 守彦 病院講師
肝胆膵外科
移植外科
外科学会専門医・指導医
消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医機構がん治療認定医
肝臓専門医
肝胆膵外科高度技能専門医
消化器がん外科治療認定医
マンモグラフィ読影認定医
小坂 久 小坂 久 助教
肝胆膵外科 移植外科
外科学会専門医
消化器外科学会専門医・指導医
消化器病学会専門医
がん治療認定医機構がん治療認定医
消化器がん外科治療認定医
医師会産業医
膵臓学会指導医
松島 英之 松島 英之 病院助教
肝胆膵外科
移植外科
日本外科学会専門医
消化器外科学会専門医
がん治療認定医機構がん治療認定医
消化器がん外科治療認定医
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