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本学は、建学の精神に則り、自由・自律・自学の学風のもと、学問的探究心を備え、幅広い教養と国際的視野をもつ人間性豊かな良医を育成することを教育の理念としています。

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慈仁心鏡、すなわち慈しみ・めぐみ・愛を心の規範として生きる医人を育成することを建学の精神とする。
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ネパール医療支援活動

ネパール医療支援活動

関西医科大学 滝井病院 耳鼻咽喉科 医学博士 馬場 奨

①発展途上国と難聴

4部位の機能障害 - 耳(難聴)・目(盲)・脳・四肢 - のうち、難聴は他人にも自分にも初めは気づかれにくく、「見えない障害」といわれます。発展途上国で、これら4障害のうち難聴対策が、一番後回しになっている大きな理由です。15歳未満での41デシベル以上(やや聞き返しが多く、テレビなら音量を上げてしまうレベルの聴力)の難聴者は、発展途上国の人口の2.7~14.8%(2000年)を占め、原因の多くは慢性中耳炎とその後遺症である、という報告があります。

②ネパールでの耳鼻咽喉科医療援助

こうしたことを背景に、私は2011年より、主にネパール耳鼻咽喉科医療援助に出かけています。このネパール医療支援活動には「ヒマラヤ眼科医療を支援する会(EArTH)」という会のメンバーとともに参加しています。この会は、約40年近くアジアの貧しい国々に対し眼科医療援助を行っているNGOであるアジア眼科医療協力会(AOCA)から独立したもので、2010年に関西医科大学眼科の松山加耶子医師が設立されました。主にネパールにおいて医療キャンプなどの活動をしています。私は耳鼻科医として、この会に毎年約4日間ですが参加しています。(会の名前も、ヒマラヤ眼科耳鼻科医療を支援する会」などへ変更することを検討しています。)

③4日間で慢性中耳炎が300例近く見つかる

年末休暇などを利用して、ネパールに訪れます。活動の内容としては、医療僻地に出向き、学校などの施設を借りて簡易改装し、外来患者さんを診察するとともに、手術を行い、また、短期間ながら入院治療も行います。毎年何百という患者さんが何時間もかけて診察に来られます。日本と異なるのは、鼓膜に穴(穿孔)の開いた患者さんの多いことです。この病気は慢性中耳炎と呼ばれ、感染により鼓膜に穴が開き、耳漏(みみだれ)や難聴が生じます。2013年度のキャンプを例に取れば、4日間で慢性中耳炎は300例近くも見つかり、そのうち耳漏が出て悪化している患者さんは174例でした。

④診断・治療の制限と、当面の対策

日本でなら、まず十分な抗生物質などで治療しますが、持参していく薬品の量にも限度があります。また、一般に純音聴力検査やCT検査で、病気の状況を評価することが必要ですが、現地でこうした設備は備わっていません。そこで手術では、トリアージ的要素(優先順位付け)を導入して、まずは耳漏のない患者さんを手術対象に選ぶとともに、限られた時間で、できるだけ多くの患者さんに,リスク少なく行え、行う価値(難聴改善)が高いと考えられる鼓膜形成術を行っています。この手術で鼓膜の穴を塞いで難聴を改善させるのですが、手術法として、当科で考案された再発感染の少ない軟骨接合型鼓膜形成術を行っています。適応年齢は局所麻酔下手術が可能となる15歳程度から、とりあえず40歳程度までとしていますが、余裕が出来れば年齢範囲を広げたいと考えています。

⑤今後の課題を考える

日本と比べ慢性中耳炎による難聴の患者さんの多さを考えたとき、衛生や栄養状態の改善の必要性や、識字率向上などの教育の充実の重要さを痛感しています。水道・電気などのインフラは整備されていず、現在の低い経済状態を勘案すれば、現在の粗悪な医療レベルが今後すぐに改善するとは思えません。現実的な対応として、各家庭でできる予防医療の考案や、小中学校における耳鼻科検診制度の構築・医療教育の充実などがあげられます。継続的実践には現地医師の協力が必要ですが、人材難の点で、地域に根ざした保健師などが適任かもしれません。これらは一医師、一団体で可能なことではないかもしれませんが、常にどうすれば実現できるか検討し続けることが大切と考えます。また、難聴撲滅に対して有効な手を打っていくことができるのは医療キャンプ活動をしている我々かもしれない、とも感じています。
政府からの金銭的援助がないことも問題です。交通費など全て自費となりますので、現地に出かけていく回数や日数、医師数に制限が出ます。現在、スポンサーとなってくれるネパールや日本の企業を募っているところです。

⑥我々の責務

紛争などで迫害され孤児となりネパールで生きる子供と、生命に危機を感じることも生活に困ることもなく日本で暮らす我々とを比べた時、生まれた場所が違うだけでこれほどに差があっていいものかと、感じずにはいられません。医療キャンプ活動は、目の前の患者さんを治療する医療行為に留まらず、ネパールという国の発展と未来を作っていくに貢献できるやりがいのある行為です。同時にこうした活動は、恵まれた国に生まれた我々の責務ではないでしょうか。

 

写真

1.耳鼻科外来前風景

患者さん待ちの列、夕暮れまで途切れません。(2013年度)

2.耳鼻科外来風景

現地ボランティア通訳の学生さん、当院看護師と。(2013年度)

3.前頸部嚢胞摘出術風景

前頸部嚢胞摘出術を行っているところ。(2013年度)

4.鼓膜形成術風景

眼科顕微鏡を借りて行います。(2013年度)

5.眼科手術風景

主に白内障手術。手術患者さんがとても多く忙しいです。(2014年度)

6.集合写真

現地ボランティアの方、現地医師・看護師・技師、我々と。(2014年度)

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