酸素生物学
酸素は多くの生命にとって必須の分子です。酸素はエネルギー産生における役割が強調されますが、生体内のシグナル伝達に重要な役割を果たしている分子でもあります。体内で酸素を利用する過程で発生する活性酸素は、様々な病気や老化の原因となることが知られています。生体にはこのような酸素の毒性を消去・軽減する仕組みが備わっているのですが、酸化還元バランスの乱れは酸化ストレスと呼ばれる状態につながり、体に有害な作用をもらたします。一方、活性酸素は細胞の働きを調節するなど生命活動にとって有益な側面も有しています。従って、活性酸素が発生する仕組みや、酸化ストレスが細胞の機能に与える影響を調べることは、病気の成り立ちを理解し、予防・治療法を見つけ出すための重要な手がかりとなると考えられます。本部門では、酸素代謝が生体の機能維持にいかなる役割を果たしているかを疾患の病態生理学との関連で追及することを研究目標として掲げています。
現在の研究テーマ
1.細胞の低酸素誘導性遺伝子応答の分子・細胞生物学的および薬理学的検討
2.免疫系の分化・活性化に酸素代謝が与える影響の検討
3.癌細胞の悪性度に細胞の酸素代謝が与える影響の検討
4.細胞機能のレドックス制御
5.メタゲノム解析による病原体同定および生体内微生物叢の研究
研究業績