日本では約2人に1人が「がん」になり、約3人に1人が「がん」で死亡する時代になっています。大腸がんによる死亡例は年々増加していて、がんによる死亡の中で女性では1位、男性で3位となっています。日本人の約7- 8%が大腸がんにかかることになりますので、人ごとではありません。
大腸がんは一種の文明病と言われており、食生活が豊かになり欧米化してくると発生率が増加すると言われています。赤身の肉や、加工肉、アルコール、肥満などで大腸がんになりやすくなり、運動することで大腸がんになりにくくなることがわかっています。
しかしながら食生活や運動などで大腸がんになることを完全に予防することはできませんので、早期発見をすることが大切になります。大腸がんは早期発見をすれば治る可能性の高い病気です。しかし早期には自覚症状がほとんどありませんので、検診が大切になります。
40歳以上を対象に、大腸がん検診として検便検査(便潜血検査)が行われています。便の中に目では確認できない出血があるかどうかを2日分の便を用いて調べるものです。簡便な検査ですが、実際にこの検診を受けられる方は2割程度と非常に低いのが現状です。
日本は先進国の中でもがん検診率がずいぶん低いと言われています。我々の施設に来られる大腸がん患者さんのうち、1割程度の方は発見時には大腸がんのために腸閉塞になりかけているほどの状態になっています。40歳を過ぎたら、ぜひ毎年の大腸がん検診を受けましょう。
それだけで対策は万全とは言い切れないかもしれませんが、ずいぶんと治療結果が向上することが見込めると思われます。もちろん血便や便通異常などがみられる時は、たとえ検診で問題がなくとも医療機関を受診して精密検査を受けてください。