「ヒトは血管から老いる」という言葉をご存知でしょうか?
全身を駆け巡る血管によって、血液中の酸素と栄養が全身に運ばれヒトの命が保たれています。この血管が動脈硬化という状態になると、血管全体が老化して各臓器不全を引き起こします。動脈硬化は、高血圧、糖尿病、脂質異常症のある方や、喫煙されている人に起こりやすく、脳、心臓、腎臓などの様々な臓器障害の原因となることが知られています。
動脈硬化により大動脈の壁が弱くなり「大動脈瘤」という瘤(こぶ)ができると、しだいに風船のように膨らんで大きくなり破裂する危険性があります。
また、大動脈の壁自体に裂け目が突然できて「大動脈解離」をおこすことも致命的な病気であり、突然死の原因として知られています。
当院では大動脈瘤や大動脈解離は、従来から行われている人工血管置換手術と、近年進歩している、大動脈内に拡大・破裂を防ぐための血管内ステント手術とを選択して治療しております。突然の症状で見つかることの多い大動脈の病気ですが、緊急手術を含めてベストな治療を選択して多くの方が社会復帰できる体制を整えています。
動脈硬化は気付かないうちに進んでいるものですが、健やかな血管は健やかな人生を歩むために欠かせないパートナーになります。血管の病気が進むとなかなか後戻りはできません。食事・運動、禁煙など生活習慣を見直すことがとても大切ですが、必要な検査(心電図,胸部レントゲン,心臓超音波検査,CT検査など)を受けて自分のカラダのことを知ることが大事になります。心臓・血管の病気は様々ありますが、いつでも気軽に心臓血管外科にご相談ください。