病気の豆知識 vol.015(2016/09/16)子宮内膜症・チョコレート嚢胞の再発予防法


産婦人科・婦人科内視鏡外科 診療教授 北 正人

子宮内膜症・チョコレート嚢胞の再発予防法

子宮内膜症・チョコレート嚢腫は、主にホルモン剤と手術で治療をしますが、残念ながら治療後に再発しやすいことが知られています。例えば、チョコレート嚢腫の摘出術(卵巣は温存)を受け、その後治療はせず外来通院のみを続けた場合、手術の3年後には約3割の患者さんにチョコレート嚢腫の再発がおこると報告されています。

 ホルモン治療中や内膜症手術後は、生理痛などの症状が改善されるため、検診を受けなくなったり薬の服用を躊躇される方、自己中断される方がおられますが、特にそのような方に半年から数年後生理痛が再発したり、無症状でも久しぶりの婦人科検診で嚢腫の再発と診断される場合が少なくありません。 

 再発した場合も、ホルモン剤や手術で再治療可能ですが、同じ(同側の)卵巣の再度嚢腫摘出や両側の卵巣の嚢腫摘出術は手術が難しくなり、注意深く手術をしても卵巣の機能低下(女性ホルモン低下・月経不順・不妊)が起こりやすくなります。また、チョコレート嚢腫はまれに癌化する可能性がありますが、嚢腫摘出やホルモン治療だけでは完全に予防することはできません。

 従って、子宮内膜症の治療後は、定期検診と再発予防治療を受けることが大切です。再発予防には、積極的にホルモン剤(ルナベルなどの低容量ピルまたはディナゲストなどの黄体ホルモンなど)の服用が必要です。このような治療を行えば再発率は1割以下に下がります。
 子宮内膜症は再発しやすいですが、きちんと定期検診や予防治療を受けるなど、予防法があることを知っておいてください。
 

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産婦人科・婦人科内視鏡外科 診療教授北 正人(きた まさと)

北 正人

専門分野:婦人科内視鏡手術・婦人科腫瘍
認定資格:日本産科婦人科学会産婦人科専門医
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・技術審査委員
日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医
日本がん治療認定医機構・がん治療認定医
出身地:福岡生まれ・名古屋育ち
血液型:O型
好きな食べ物:何でも
趣味:音楽

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