日本人の死因の第1位は悪性新生物(がんや肉腫)で、なかでも大腸がんは2015年の予測では羅患率は第1位、死亡率は肺癌に次いで第2位となることが確実視されています。当院でも2015年に年間200例の大腸がん手術を行い、162例(81%)が腹腔鏡下手術です。
従来の手術では、視野を確保するために大きく開腹する必要がありました。腹腔鏡下手術はハイビジョンカメラ(4Kも含めた)を使用し、約1.0cmの創で従来ではありえないほどの良好な視野が得られます。手術は4本の鉗子を使って行います。お腹の傷は最大で5cmのため痛みの少ない術後回復が早い手術です。直腸がんには特に威力を発揮し、がんの根治性と肛門機能の温存を両立しうる技術であることが期待されています。きわめて肛門に近い腫瘍に対してもISRという技術を併用して多くの患者さんに自然肛門を温存しています。技術的には日本内視鏡外科学会の技術認定を取得した医師が担当し、安全に行われています。すでに海外では、直腸癌に対しても、いくつかの臨床実験で開腹手術と変わらない根治性(がんをきれいに取れるかどうか)が証明され、さらに質の高い手術技術であることが期待されています。手術支援ロボット(Da Vinci)手術も2016年初旬に開始されます。