日本の高齢化にともない介護が必要な高齢者数も毎年増加しています。介護が必要となる大きな原因の一つに変形性膝関節症があります。膝関節の変形とともに疼痛が現れ歩行が困難になるためです。初期の症状としては、痛みのために正座がしにくくなったり階段昇降や歩行時に痛みを感じるようになります。進行すると膝に水がたまったり、曲げ伸ばしできる範囲が限られてきて疼痛が強くなり、外出が困難になります。レントゲンを撮ると多くの患者さんでは軟骨がすり減った結果、膝の内側の関節の隙間が狭くなっているのがわかります。変形は加齢とともに進行しますが、女性に多く、肥満や生まれつき凹脚のある方は発症しやすいと言われています。初期であれば体重を落としたり大腿の筋力を強化すると改善しますが、やや進行すると投薬や関節内注射などが必要になってきます。残念ながらテレビで宣伝している飲むヒアルロン酸やコンドロイチンなどのサプリメントは治療には有効ではありません。更に変形が進行し薬や注射等が効かなくなり、日常生活に障害を感じ始めた場合は手術の適応となります。手術には関節を温存する骨切り手術や限定的な変形に対して行う部分的な人工関節置換がありますが変形の程度が強いと膝関節全体を人工関節で置換する手術を行います。当院では患者さんの年齢や変形の程度そして患者さんの希望に応じて手術方法を選択しています。