「カーボカウント法」とは糖尿病指導においてアメリカなどで積極的に指導されている方法で、血糖を最も上昇させやすい炭水化物(カーボ)量を計算して摂取することで、血糖値の管理をする食事療法の1つです。
適量の炭水化物を1日の食事の中でバランスよく配分するようにし、食事中の炭水化物量に応じたインスリン注射をすることで血糖値の効果的な管理が期待できます。食事バランスやカロリー量に注目する従来の『糖尿病食事療法のための食品交換表』に比べて炭水化物以外の計算はしないため、比較的心理的な負担感が少なくメニューの幅や自由度が広がるなど、特に1型糖尿病の方を中心に話題となっています。
血糖値の管理にあたって以下の二つの数値を計算します。
カーボ/インスリン比(インスリン1単位で処理できる糖質量)
300÷1日総インスリン量。大体の人で10g/Uから開始します。
血糖を補正するためのインスリン(Insulin Sensitivity)
食前血糖値が高い時に、補正インスリンを併せて投与します。
1単位の超速効型インスリンで下がる血糖値は、1700÷1日必要インスリン量で計算されます。大体の人で50㎎/dl/Uから開始します。
これらの数値は個人ごとに違います。また同じ人でも時間帯、体調・運動量etc.によって違うので状況ごとに見直しが必要になります。
カーボカウント法を実践するにあたり、炭水化物の種類によって血糖値の上がり方に違いがあること、タンパク質や脂肪をとり過ぎて食事バランスが悪くなることなども考えられます。またタンパク質や脂肪も全く血糖値に影響しないとは言えず、炭水化物の計算だけで簡単に血糖をコントロールできるわけではありません。さらに日本食は欧米の食事より複雑でカーボ量を正しく計算するのが難しく、繰り返し訓練して行く必要があります。
インスリン療法中でカーボカウントに関心のある方は糖尿病科を受診の上ご相談ください。