病気の豆知識 vol.027(2017/03/16)慢性糸球体腎炎(IgA腎症)


腎臓内科 講師 塚口 裕康

慢性糸球体腎炎(IgA腎症)

 慢性腎炎は、持続する血尿と蛋白尿を特徴とし、適切な治療をしなければ、腎臓のはたらきは徐々に低下し、発症20年後には30-40%が腎不全に至ることが知られています。

慢性腎炎の多くは、血液濾過装置である糸球体毛細血管周囲にIgAが沈着しており、その病理像にちなんで、IgA腎症と呼ばれています。 

扁桃、中耳、副鼻腔、歯周などに細菌が住み着いていると過剰なIgAが作られ、その一部が腎臓に沈着して腎炎を起こすと考えられています。とくに風邪や下痢に引き続いて、コーラ色の尿がでるような経験が、何回かあれば、この病気が疑われます。 

IgA腎症は早期に発見して治療すれば尿所見は正常化
し、進行を抑えられるため、早期診断と治療が大切です。発症しやすい年齢は10歳代と40歳代です。学校や職場の検診で血尿と蛋白尿を指摘された際には、一度腎臓専門医を受診されることをお勧めします。


注 IgAとは: のどや腸の粘膜面において、細菌のからだへの侵入を防ぐ免疫防御蛋白です。
 

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注:記載内容や医師情報は掲載時点のものです。 詳しくは担当診療科にご確認ください。
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腎臓内科 講師塚口 裕康 (つかぐち ひろやす)

塚口 裕康

専門分野:腎臓病学
認定資格:腎臓内科専門医
透析専門医
出身地:兵庫県
血液型:O型
好きな食べ物:和食
趣味:読書

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