慢性腎炎は、持続する血尿と蛋白尿を特徴とし、適切な治療をしなければ、腎臓のはたらきは徐々に低下し、発症20年後には30-40%が腎不全に至ることが知られています。
慢性腎炎の多くは、血液濾過装置である糸球体毛細血管周囲にIgA注が沈着しており、その病理像にちなんで、IgA腎症と呼ばれています。
扁桃、中耳、副鼻腔、歯周などに細菌が住み着いていると過剰なIgAが作られ、その一部が腎臓に沈着して腎炎を起こすと考えられています。とくに風邪や下痢に引き続いて、コーラ色の尿がでるような経験が、何回かあれば、この病気が疑われます。
IgA腎症は早期に発見して治療すれば尿所見は正常化し、進行を抑えられるため、早期診断と治療が大切です。発症しやすい年齢は10歳代と40歳代です。学校や職場の検診で血尿と蛋白尿を指摘された際には、一度腎臓専門医を受診されることをお勧めします。
注 IgAとは: のどや腸の粘膜面において、細菌のからだへの侵入を防ぐ免疫防御蛋白です。