小児がんは、子ども1万人に1人の頻度でおこる、小児でもめずらしい病気です。小児がんはただ単に子どもにできる“がん(悪性腫瘍)”というだけではなく、大人のがんとはずいぶん異なった特徴を持っています。
まず一つ目の特徴は、大人に多い肺癌や大腸癌といった腫瘍はなく、白血病やリンパ腫、脳腫瘍、神経芽腫や腎芽腫(Wilms腫瘍)、肝芽腫など胎児性腫瘍とよばれるものがほとんどを占めていることです。二つ目の特徴は、一般的に抗がん剤などの治療によく反応し、長期の生存や完治が可能であるということです。例えば、小児がんで最も多い急性リンパ性白血病では、80%以上の長期生存率が得られています。
ただし、その長期生存を達成するには、小児科で行う抗がん剤治療に加え、小児外科、小児脳神経外科などで行う手術治療、放射線科による放射線治療など多様な治療法を、小児がんの種類やできた場所、子どもの年齢に応じて最適に組み合わせる“集学的治療”が必要となります。また、治療成績が良くなったとはいえ、長期にわたる闘病生活が必要になりますので、治療中の子ども達の発達や学習の支援も重要です。
当院では、小児がんの子ども達を子ども病棟に集め、小児科を中心に小児外科、小児脳神経外科などの他の科とも連携し、子どもの病状にあわせた最適な治療を提供しています。また子ども病棟には院内学級があり、子ども病棟専用のグラウンドやプレイルーム、専任の保育士もおり、病気の子ども達にとって最良の治療環境を提供できるように努力しています。