全身性強皮症(強皮症)は膠原病の一種で、膠原線維(コラーゲン)の異常により皮膚や内臓が硬化していく病気です。特に女性に多く、国内では約2万人が罹患していると見られています。
膠原病は、体の様々な部位の結合組織や血管に炎症やコラーゲン変性が起こり、発熱、関節痛などが見られることを特徴とする病気の総称です。免疫が自分自身の身体や組織を攻撃してしまうことが要因と考えられており、血液中に自分の体の構成成分を攻撃する自己抗体が存在することが知られています。強皮症の他に、エリテマトーデスや皮膚筋炎、関節リウマチなども膠原病に含まれます。
強皮症では指先から中心に向かって皮膚が徐々に硬くなり、つまみにくくなっていくのが主な症状です。また、皮膚の色素異常や血行障害による潰瘍が起こります。肺、食道、腎臓など皮膚以外の臓器にも硬化の病変がおよぶ場合があり、間質性肺炎や逆流性食道炎などを発症することが知られています。
強皮症の初期段階ではレイノー現象という症状が9割の患者に見られます。レイノー現象とは冷たいものを触ったりした時に発作的な血行障害により指が突然真っ白になる症状です。この症状は冬の気温が低いときに外に出た場合や冷たい水に手をつけた場合によく現れますが、夏でも急に冷房のきいた部屋に入った場合にも出ることがあります。
強皮症の症状が進行してしまうと血行障害による皮膚の壊死が起きる場合や、硬化が内臓にもおよぶ場合には臓器不全によって死に至る場合があります。レイノー現象に気がついたら、強皮症の精密検査をしていただく方がよいと考えますので、どうぞご相談ください。