転移性肝がんとは、肝臓以外の臓器にできたがん(原発巣)が肝臓に転移したものを意味します。原発巣としては大腸がん、胃がん、膵がん、乳がん、肺がん、頭頸部がん、子宮がん、卵巣がん、腎がんなどが多いとされています。ほとんどの場合、抗がん剤治療が行われますが、大腸がん肝転移や、膵内分泌腫瘍の肝転移、カルチノイド腫瘍の肝転移などは肝切除の適応となります。肝切除の適応となるもののうち、最も頻度が高いのは大腸がん肝転移です。
世界で毎年100万人近くの大腸がんが発生し、そのうち35~45%に肝転移がみつかっています。大腸がんの肝転移に対する治療法のうち、根治を望める唯一の治療法は肝切除です。最近では新しい抗がん剤の開発により、以前に比べて奏効率(がんが縮小する確率)は格段に良くなりましたが、抗がん剤のみで完全に消失するのは非常にまれであり、ほとんどの場合は延命治療にとどまっています。一方、肝切除が行えた場合は良好な予後が得られる可能性があります。
2011年に腹腔鏡下肝切除術が保険治療で可能となり、小さながんはほとんど腹腔鏡(小さな創)で手術が行えるようになりました。また最近では大きながんでも腹腔鏡手術が可能となりつつあります。また、当科では手術前後に抗がん剤治療を組み合わせることで、再発を防止し予後の改善を試みています。何かわからないことなどございましたら、お気軽にお尋ねください。