現在、我が国の死亡原因の第1位は悪性腫瘍、すなわち“がん”とされています。では、悪性の腫瘍(“がん”)と良性の腫瘍とでは何が違うのでしょうか?簡単に言いますと転移をするかしないかです。悪性の腫瘍は転移をきたし、ひいては生命に危機をもたらしてしまう病気であると考えられていますが、良性の腫瘍は転移をしないとされています。転移とはがん細胞がもともと発生した場所とは異なる場所に到達し、そこで再び増殖し、同一種類の腫瘍を作ることで、たとえば乳がんの細胞が肺に転移してきた場合、肺がんとは言わず、乳がんの肺転移と言います。
では次に転移はどのようにして起こるのでしょうか?転移形式には血行性とリンパ行性および直接浸潤・播種が知られています。多くの転移はイラストにもありますようにもともと発生した腫瘍の近辺にあります血管やリンパ管という管にがん細胞が入り込み、全身へと流れ、遠い場所に住み着き増大していくと考えられています。
転移のある方の治療はどうするのでしょうか?これまで説明しましたように転移を有する患者さんは目に見える腫瘍だけでなく、血液やリンパ液にもがん細胞が泳いでいると考えられていますので、一部のがんを除き、手術で泳いでいる細胞を取り除くことはできませんし、放射線治療も泳いでいる細胞すべてに行うことが難しいと考えられています。したがいまして、転移のある方への治療はお薬(抗がん剤や分子標的薬剤)での治療となります。具体的な治療法、お薬の内容につきましては主治医の方からしっかりと説明をさせていただきます。また、疑問な点がありましたら、どうぞお気軽にお問合せください。