「ヒトは血管から老いる」という言葉をご存知でしょうか?
全身を駆け巡る血管によって、血液中の酸素と栄養が全身に運ばれヒトの命が保たれます。たとえば心臓では、心臓の筋肉に冠(かんむり)のように分布している2-3㎜の冠状動脈がありますが、この血管が動脈硬化をおこすと中が狭くなり「狭心症」をおこします。さらに完全に詰まってしまうと「心筋梗塞」となり心臓の筋肉が壊死してしまう致命的な病気となります。原因となる動脈硬化は、高血圧、糖尿病、脂質異常症のある方や、喫煙されている人に起こりやすく、血管全体が老化して各臓器不全を引き起こします。
心臓カテーテルで狭くなった冠動脈を広げる治療が盛んに行われていますが、状態によっては冠状動脈バイパス術(CABG)を選んで生活の質QOLが良くなることが知られています。当院では循環器内科・外科のハートチームとして、その方に一番ふさわしい治療方法を提供していきます。当科では心臓を止めずに血管を吻合するオフポンプ(心拍動下)手術を基本としております。また、冠動脈の全体が痛んで細くなった場合も、長い距離にバイパスを縫い付けて新しい血管を作る治療も積極的に行っています。
健やかな血管は健やかな人生を歩むために欠かせないパートナーになりますが、血管の病気が進むとなかなか後戻りはできません。食事・運動、禁煙など生活習慣を見直すことがとても大切ですが、必要な検査(心電図,胸部レントゲン,心臓超音波検査,CT検査など)を受けて自分のカラダのことを知ることが大事になります。心臓・血管の病気は様々ありますが、いつでも気軽に心臓血管外科にご相談ください。