膵臓に嚢胞(液体の貯留する袋)性の腫瘍(腫瘤)をもつ病気の中で、代表的なものとして膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)があります。比較的高齢、男性に多く認められます。良性から悪性へと次第に変化する腫瘍であり、悪性化して進行すると一般的な膵がんと同じ症状の進み方をするため、悪性になる前に切除することが最も大切です。悪性化している場合でも転移がない場合は手術が第一選択の治療となります。
「ドロッとした粘液」で膵管がふくらむため、お腹や背中が痛くなることがありますが、最近はお腹の超音波エコーやCTスキャン、MRIで痛くなる前に見つかることが多くなっています。手術できた場合は悪性でも一般的な膵がんと比べて長生きできることから「予後の良い膵がん」と言われることもあります。
もう一つの特徴として、膵臓を含む他の臓器にがんを合併しやすい事が知られているため、診断の際や手術後にも他の臓器のがんを合併していないかを必ず検査する必要があります。
○手術の方法:腹部手術の中でも高難易度の手術が必要となります。膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵中央区域切除術などが代表的な手術方法で、腹腔鏡手術の適応となる場合もあります。また、膵全摘術が必要となる場合もあり、その場合は術後に生涯インシュリン治療が必要になります。当院は日本肝胆膵外科学会より膵切除症例数Aランクの施設に認定され、日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医(2名)を中心に、高度技能専門医(2名)とともに国内最高レベルの手術を行っています。