肝臓にできるがんにもいくつか種類があります。大きく分けると肝臓から直接発生する「原発性肝がん」と他の臓器から転移した「転移性肝がん」があります。「原発性肝がん」の中には「肝細胞がん」と呼ばれるものが90%以上と最も多く、次に多いのが「肝内胆管がん」と呼ばれるがんです。今回は最も多い「肝細胞がん」についてお話します。
「肝細胞がん」はB型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎と密接に関係しています。10年くらい前までは、「肝細胞がん」は男性のがん死亡原因の第3位でしたが、最近は肝炎ウイルスに対する内科的治療の進歩と新規のウイルス感染が減っていることにより、徐々に死亡率は低下しています。しかし、食生活の欧米化により脂肪肝から発生する「肝細胞がん」が増加しています。いわゆるメタボリックシンドロームで肝臓に脂肪が沈着し、がんになります。健康診断などで、脂肪肝といわれている方は注意が必要です。
「肝細胞がん」と診断された場合、治療が必要です。治療はおもに、手術療法、焼灼療法、カテーテル療法があります。外科による手術療法は、最も効果があるといわれていますが、肝臓の機能が悪く、肝硬変になると手術ができない場合もあります。小さいがんに対しては、なるべく患者さんの負担が少なくなるように、腹腔鏡を使った手術も行っています。また、術後に抗ウイルス剤を用いることにより再発防止にも努めています。何かわからないことがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。