福島第一原子力発電所の事故を契機に国民の放射線被ばくに対する関心が高まりました。そのせいか最近レントゲン検査やCT検査によって医療で受ける放射線被ばくについて心配の相談が寄せられることが多くなりました。しかし、事故で受ける被ばくと医療で受ける被ばくでは状況が大きく異なることを知っておく必要があります。事故で受ける被ばくは、放射能漏れによるものであり、その地域に入りどれくらいの線量を被ばくしたかを計測して正確に知ることは難しいです。したがって線量が分からないため、受ける放射線被ばくを制御できない可能性があります。これに対して、医療で受ける放射線被ばくでは、その検査で使用する放射線量は制御され、使用した放射線量が正確に記録されています。医師は、常に患者さんが医療で受ける放射線被ばくの不利益より検査や治療で受ける利益が上回るように放射線量を調整しています。
例えば、患者さんが内科医からCT検査を勧められたとしましょう。内科医はその患者さんが被ばくで受ける不利益よりも、検査でわかる利益のほうが上回ると判断しています。次に放射線技師が、その検査で得られるCT画像が内科医の診療に必要とする画質を保ち、必要最低限の放射線量になるように調整し撮影します。さらに、そのCT画像を診断する放射線科医によって適切に達成されているか検証されます。
安心して検査を受けてください。