病気の豆知識 vol.060(2018/09/01)腹部大動脈瘤


血管外科 診療教授 善甫 宣哉

腹部大動脈瘤

 大動脈瘤(りゅう)は大動脈が部分的にコブのように拡張する病気です。破裂すると本邦の死亡原因の第10位(女性は第9位、男性は11位)に入る恐ろしい病気です。しかし、破裂するまで症状がないことが特徴でサイレント・キラーと呼ばれています。腹部大動脈瘤が大きくなると拍動性腫瘤を触知します。原因は動脈硬化症や炎症性疾患といわれており、遺伝的素因が強い病気です。喫煙と高コレステロール血症(これも遺伝病です)が動脈瘤の発症に強く関係しています。

 治療法は開腹による人工血管置換術と血管内治療である腹部ステントグラフト内挿術があります。薬物治療はありません。最大径50mm以上が手術適応です。腎動脈より腹部大動脈瘤までの距離が10mm以上あれば全例で、5mm以上あればチムニー(煙突)テクニックを用いた腹部ステントグラフト内挿術が可能です。

 2018年7月よりハイブリッド手術室(ロボットアーム血管造影装置を備えた手術室)が稼動しました。患者さんの体の負担が少なくなる腹部ステントグラフト内挿術を積極的に行なっております。お気軽にご相談ください。

 

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注:記載内容や医師情報は掲載時点のものです。 詳しくは担当診療科にご確認ください。
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血管外科 診療教授善甫 宣哉(ぜんぽ のぶや)

善甫 宣哉

専門分野:血管外科
認定資格:日本外科学会専門医
心臓血管外科専門医
胸部ステントグラフト実施医・指導医
出身地:山口県
趣味:整理整頓
好きな食べ物:和食

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