最近、世界中で心疾患(心筋梗塞・狭心症・心不全)、脳卒中(脳梗塞・脳出血)、糖尿病、癌、肺気腫の増加が問題になっています。少し前の話になりますが2011年に国連でハイレベル協議が行われ、これらの病気になりにくくするために、またはこれらの病気を持っていても進みにくくするために簡単ですぐに始められる事は何か?という事が討論され、5つの問題点とその対処法が示されました。1番目〜5番目までみなさんは何が挙げられたと思いますか?順番に取り上げたいと思います。
1番目はやはり「タバコ」です。タバコは癌だけでなく肺気腫そして、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの原因となることがわかっています。タバコは吸っている方のみならず受動喫煙により周りの人の健康にも影響を及ぼします。
2番目は「食事中の塩分」が挙げられています。少し意外だったでしょうか?食事中の塩分を控える事は血圧の低下につながります。高血圧症は心疾患(心筋梗塞・狭心症・心不全)、脳卒中(脳梗塞・脳出血)の原因として非常に重要です。日本人は世界でも屈指の塩分摂取が多い民族です。最近の平均的な日本人の塩分1日摂取量は約10gと言われていますが、推奨は6-7gです。高血圧症でおかかりの方は塩分を控える事で薬の量が減るかもしれません。
3番目は「肥満・健康的でない食事・日常の運動量の低下」、4番目は「アルコールの過剰摂取」がそれぞれ挙げられています。「健康的でない食事」とは飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、砂糖を多く含む食品やソフトドリンクとされ、これらの過剰摂取を避けるように勧めています。
5番目に薬剤を使った血圧やコレステロール、血糖値のコントロールの重要性が挙げられていますが、1〜4番をまず行った上で、5番を行う事がより簡単でかつ経済的であると報告は結ばれています。
1番は禁煙。その次は塩分の摂取量を控える事=血圧のコントロールが大切で、そして脂質・砂糖・ソフトドリンク・アルコールを取りすぎないようにという事でした。
(文献 Lancet 2011; 377: 1438-47.)