病気の豆知識 vol.062(2018/11/01)生物学的製剤


リウマチ・膠原病科 病院教授 尾崎 吉郎

生物学的製剤

 「関節リウマチ」は膠原病領域ではもっとも患者さんの数が多い病気です。ほんの20年ほど前までは、関節が変形していくのをしっかりと止める能力のあるお薬がなかったのですが、メトトレキサート製剤が登場してから、かなりの患者さんで関節が変形する速度をゆっくりにすることができるようになりました。それでもまだまだ関節リウマチは、関節が変形するのが当たり前の病気でした。15年前(2003年7月)に本邦では初めてとなる生物学的製剤であるインフリキシマブ(レミケード)が発売されて、変形の進行を完全に制御できる患者さんも出てくるようになりました。

 現在までに、同様の効力を持つ生物学的製剤が多数発売され、いずれの薬剤も関節リウマチの関節炎を強力に抑え、多くの患者さんで関節変形を完全にストップできています。

 患者さんによってばらつきはあるものの、どの薬剤も効果はほぼ同等です。ただし、良いことばかりではなくマイナスの面もあります。まず、これらの製剤は全て注射(点滴もしくは皮下注射)となります。また、高い効果がある反面、副作用としての感染症は、時に入院が必要となるような重たいものがでてくることがあります。また、製剤ごとに差はありますが、月に3万円〜8万円程度(3割負担として)の自己負担が必要で、医療費が高額になります。生物学的製剤は、一回だけ使用して終了するものではなく、長期間継続することが必要な薬剤であることから、感染症などのリスク管理や経済的な負担などを含め、患者さんと医師が十分に治療計画を練ってから開始する必要があります。このため、合併症をお持ちの患者さんでは、リスクの面から使用できないこともありますので、主治医とよくご相談ください。

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注:記載内容や医師情報は掲載時点のものです。 詳しくは担当診療科にご確認ください。
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リウマチ・膠原病科 病院教授尾崎 吉郎(おざき よしお)

尾崎 吉郎

専門分野:膠原病・関節リウマチ
認定資格:日本リウマチ学会リウマチ専門医
出身地:大阪
趣味:サッカー観戦
好きな食べ物:好き嫌いなし

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