これまで小腸疾患は、従来の胃や大腸の内視鏡では届かないため検査ができず、長らく「暗黒大陸」と呼ばれ、その診断・治療は消化器疾患の中でも遅れをとっていました。
小腸カプセル内視鏡と小腸内視鏡の登場によって、小腸疾患の診断・治療は大きく変わりました。患者さんに約2cmの小腸カプセル内視鏡を飲んでいただくことで、全長6~7mと長い小腸の粘膜を観察できるようになりました。そして、カプセル内視鏡と小腸内視鏡を組み合わることで、腫瘍や出血部位の診断と治療、狭窄(腸が狭い状態)の拡張といった治療を行えるようになりました。
カプセル内視鏡検査は上部消化管検査・下部消化管検査を行っても原因不明の消化管出血(黒色便、血便、原因不明の貧血)と原因不明の腹痛、下痢などで小腸疾患が疑われる場合に適応となります。
偶発症に滞留(2週間経ってもカプセル内視鏡が体外に排出されないこと)があります。この場合、小腸内視鏡を用いて回収を試みますが、回収できない場合や病態によっては開腹手術が必要になることもあります。また、約9万円かかる検査ですので、健康保険の3割負担の場合で約3万円の費用が掛かります。
「貧血が続く」、「腹痛が続く」といった症状のある場合、カプセル内視鏡検査の適応となる場合がありますので、ご相談ください。