人間の脳は、起きている時だけではなく眠っている時にも活動しています。脳が活動すると、脳の中には微弱な電気が流れます。その脳細胞の電気信号を、頭皮上に付けた電極で記録して脳神経の働きを調べる検査が脳波検査です。こちらから電気刺激を与えたりするような検査ではないので、ビリビリと電流を感じることはなく、痛みは全くありません。繰り返し検査しても後遺症などは起こりません。
脳波は周波数によって、α波、β波、θ波、δ波に分類されます。目を閉じて静かにリラックスしているときはα波という波が、目を開けた時にはβ波という速い波がよく現れます。検査では、背景活動と呼ばれる全般的・持続的な波の周波数や形や、これとは明らかに区別される突発波の周波数や波形パターンを調べます。また、安静時だけでなく、睡眠、光刺激(点滅するフラッシュ)、過呼吸(息を吸ったり吐いたり深呼吸)や音刺激などにより誘発される突発波がないかを調べます。
脳波検査で分かることは、意識の低下があるのか、てんかんの異常な波が出現しているかどうか、認知症などによってどの程度脳の機能が低下しているのか、睡眠異常があるのか、などです。しかし残念ながら、頭が良いか悪いかや、夢の内容などはわかりません。CTやMRI検査などの脳の形態を評価するとともに、脳波検査で脳の活動状態を見ることにより、適切な診断や治療を行うことができます。