代表的な疾患として、男性の場合は前立腺肥大症や前立腺がん、女性の場合は急性膀胱炎や過活動膀胱が考えられます。しかしながら、それ以外の疾患で起こることもあります。
尿の回数が多い、尿が近いことを頻尿といいます。一般的に、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合をいいます。しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。
頻尿を来す代表的な疾患として、男性の場合は前立腺肥大症や前立腺がん、女性の場合は急性膀胱炎や過活動膀胱があげられます。それら以外にも、膀胱がんなどの泌尿器科疾患、糖尿病や骨盤内の手術後や椎間板ヘルニアなどの泌尿器科以外の疾患でも頻尿を来すことがあります。また、薬剤(高血圧や心不全に用いられる利尿薬、糖尿病治療薬など)や心因性、多飲(水分を多く摂取すること)によって頻尿になることもあります。
まずは検尿で急性膀胱炎などの炎症所見がないか、血尿がないかをみます。次に、腹部超音波検査で腎臓、膀胱、膀胱内の残尿の有無、男性の場合は前立腺肥大症の有無を確認します。男性の場合、前立腺がんの疑いがないかを確認するために、直腸から指をいれて前立腺にしこりが触れないか(直腸診)、前立腺がんのマーカーであるPSAが高くないか採血を行います。中高年以上の患者さんで、血尿があれば尿中にがん細胞がないかをみる尿細胞診を行うこともあります。膀胱がんなど尿路のがんが疑われるようであれば、膀胱鏡検査を行います。
感染やがんを疑わせる所見がなければ、排尿日誌(一日の排尿回数、一回あたりの排尿量を記録する日誌)をつけていただき、客観的に排尿回数、排尿量の評価を行います。そのほか、尿の勢いを見る検査(尿流測定)を行うこともあります。
各種検査の結果、診断に応じて治療を行います。感染が疑われれば抗生剤、前立腺肥大症や過活動膀胱では内服薬による治療を行います。前立腺肥大症では内服薬以外に手術療法も行っています。 (当院で行っている前立腺肥大症に対する手術療法については腎泌尿器外科学講座のホームページをご参照ください)
がんなど他の疾患の場合には、その疾患に応じた検査、治療を進めていきます。多飲による頻尿が疑われる場合には、生活指導を行います。
【参考】
日本泌尿器科学会ホームページ
https://www.urol.or.jp/public/symptom/02.html