血友病診療連携地域中核病院である当院では、血友病の患者さんや保因者の方を対象に血友病包括診療を年3回程度実施しています。当院の血友病包括診療は、健康寿命の延伸を目的とし、包括診療の対象を近隣エリアまで拡大。包括診療の実施によって小児から成人への移行期の治療をスムーズに対応し、関連診療科を一日で効率よく受診可能なことから患者さんやご家族さんの負担を減らす取り組みを行っています。
【2022年度血友病包括診療予定】
血友病診療連携地域中核病院である当院では、血友病の患者さんや保因者の方を対象に血友病包括診療を年3回程度実施しています。当院の血友病包括診療は、健康寿命の延伸を目的とし、包括診療の対象を近隣エリアまで拡大。包括診療の実施によって小児から成人への移行期の治療をスムーズに対応し、関連診療科を一日で効率よく受診可能なことから患者さんやご家族さんの負担を減らす取り組みを行っています。
【2022年度血友病包括診療予定】
当院で診療を行っている小児患者さんには、血友病と診断確定後、病態および年齢ごとに予測される症状などについてご家族に説明を行います。しっかりと治療に取り組んでもらうためできるだけ具体的なイメージを持ってもらえるように長期的な視点で話すよう心がけています。
重症例であれば1~2歳で定期補充療法を、小学校3~4年生頃から自己注射を開始することを基本としていますが、導入時期については患者さんの生活環境や活動性などを考慮して、ご本人やご家族と相談しながら決めていきます。
小児期の課題として成長に伴って変化する活動量に合わせた対応や、正確な出血評価に加えて、関節評価の難しさなどがあげられます。度重なる関節内出血の結果として血友病関節症の進行が認められるケースや、受診遅れにより出血に対する適切なタイミングでの対処が不十分なケースもあり、定期的な関節評価が重要となります。
血友病関節症の発症をゼロとするためには、すべての小児血友病患者さんにおいて定期的な関節評価はもちろんのこと、日々の出血状況の確認に加えて、出血と認識されていないが出血を疑う症状の拾い上げや、節目における生活環境や活動性の変化の把握も重要になり、ケアを提供する体制が必要となります。
小児期から治療を続けてきた患者さんのなかには成人後も小児科受診を続ける方も少なくありません。その一方で、年齢を重ねると生活習慣病などの成人期特有の疾患により、内科的なアプローチが必要になることなどを考慮すれば、適切な時期での診療移行(トランジット)が望ましいと考えます。
トランジットの適切なタイミングについては、患者さんの自立度や家庭環境などの個人差が大きいこと、主治医が変わることへの抵抗感や、小児科から見捨てられたと感じる方への配慮も必要となります。そのため、小児科と血液腫瘍内科による併診期間を設けて、両科の連携のもと、患者さんの成長度に合わせて移行を進めています。
初診時には、それまでの治療について患者さん自身がどのように受け止めているか、疑問や不安に感じていることはあるかを確認したうえで、現在の治療を続けるのか、それとも別の選択肢を検討するのかなどの治療方針を決めていきます。新たな治療を選択する際には、候補となる治療薬の特徴などを解説し、患者さん用の資料をお渡しして自宅で検討していただきます。
小児科と違い、成人血友病患者さんが受診する内科に関しては、一般的に専門性が分かれていることから、血友病以外の合併症に関する専門性が低くなってしまう状況にあり、整形外科的な対応や精神的なサポートが必要な場合もある成人血友病患者さんのトータルケアのためには診療科連携が必須となります。
こうした患者さんの全身管理をスムーズに行うとともに、QOLの向上や健康寿命の延伸を目指し、血友病包括診療を実施しています。
小児科・歯科口腔外科・整形外科・リハビリテーション科などの関連診療科での診察と遺伝カウンセリングや各種検査を包括して行うことで何度も通院することなく1日での受診が可能です。
■診療(15 分程度)
緊急時の対応として、患者さん一人ひとりに緊急時用のカードを作成しています。患者さんに携帯していただくことで旅行などの遠出の際に出血した場合、救急隊員や他施設で適切な対応が可能となります。