概要

肺がんを中心に縦隔腫瘍、転移性肺腫瘍、自然気胸および重症胸部外傷まで幅広く診療活動を行っています。
施設、設備、スタッフの充実のもと最先端医療技術を取り入れ、呼吸器外科手術を行うだけでなく、特に手術を受けられる患者さんには、病気やその治療法の説明を十分に行い、術前からの呼吸支援を積極的に行うことによって、安心して手術を受けていただけるように配慮しています。 呼吸器外科手術を通して広く地域のみなさまに貢献したいと考えております。

【呼吸器外科学講座のHPはこちら】

次のような症状を扱っています

肺がんは多くが無症状です/ 咳/ 血痰/ 胸が痛い/ 背中が痛い/ 息が苦しい など

ページの先頭へ

閉じる

ごあいさつ

1956年に関西医科大学に胸部心臓血管外科講座が開設され、2016年まで60年間にわたって心臓血管外科と呼吸器外科の領域について診療・教育・研究を行って参りましたが、呼吸器外科領域で対応すべき肺がんなどの患者さんの増加に十分な対応ができるようにと、2016年5月から呼吸器外科学講座が開設されました。よりいっそうの地域への貢献を関西医大呼吸器外科チーム一丸となって頑張りたいと存じます。

診療部長 主任教授 村川 知弘

閉じる

ページの先頭へ

特色・方針

呼吸器外科の主要対象疾患は肺がんを主とする胸部悪性疾患です。私達は、呼吸器内科グループ、放射線科グループ、病理グループと連携し、早期肺がんに対する完全胸腔鏡手術から進行期肺がんに対する集学的治療まで、幅広く呼吸器外科治療を提供しています。
手術室においては麻酔科との協力のもと、正確・精緻な手技による安全で痛みの少ない手術を心掛けています。高難度症例に対しては、手術前に麻酔科、手術部、集中治療部、病棟と合同カンファレンスを行い、合併症予防に努めています。また、歯科(口腔外科)とも連携し、周術期の口腔ケアにも努めています。
外来診療では患者さんへの説明をわかりやすく、真摯に対応することを実践しています。気管支鏡検査は外来検査の中で最もリスクの高い検査の1つですが、呼吸器内科と呼吸器外科の協力で安全に実施しています。
 

閉じる

ページの先頭へ

実績

診療実績(2022年度版)

外来新患者数 533人/年
外来延患者数 7,873人/年
入院新患者数 553人/年
入院延患者数 6,516人/年

手術・検査実績(2022年1月〜12月)

原発性肺がん 285件
(胸腔鏡下手術:241件)
肺葉切除術・二葉切除術 220件
(胸腔鏡下手術:182件)
肺区域切除・肺部分切除 65件
(胸腔鏡下手術:59件)
その他 0件 (胸腔鏡下手術:0件)
転移性肺腫瘍 57件
(胸腔鏡下手術:53件)
良性肺腫瘍 17件
(胸腔鏡下手術:15件)
胸膜腫瘍(悪性胸膜中皮腫含む) 8件
(胸腔鏡下手術:0件)
胸壁腫瘍 5件 (胸腔鏡下手術:3件)
胸腺上皮性腫瘍 (胸腺腫・胸腺がん) 15件 (胸腔鏡下手術:5件)
その他縦隔腫瘍 11件 (胸腔鏡下手術:5件)
炎症性肺疾患 (真菌症・非定型抗酸菌症含む) 20件 (胸腔鏡下手術:17件)
膿胸 14件 (胸腔鏡下手術:8件)
原発性自然気胸 15件 (胸腔鏡下手術:15件)
続発性自然気胸 26件 (胸腔鏡下手術:21件)
閉じる

ページの先頭へ

スタッフ

氏名 写真 職名 専門分野 認定資格
村川 知弘 村川 知弘 主任教授
呼吸器外科
日本外科学会指導医、認定医、外科専門医、代議員
日本胸部外科学会指導医、認定医
日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医、評議員
肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診認定医
日野 春秋 日野 春秋 病院准教授 呼吸器外科 日本外科学会 外科専門医
日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
日本結核病学会 結核抗酸菌症認定医
齊藤 朋人 齊藤 朋人 病院准教授
呼吸器外科
日本外科学会 外科専門医
日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医、評議員
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診認定医
身体障害者福祉法第15条指定医師
近畿外科学会評議員
谷口 洋平 谷口 洋平 診療講師
呼吸器外科
日本外科学会 外科専門医
日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
松井 浩史 松井 浩史 助教
呼吸器外科
日本外科学会 外科専門医
日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・指導医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診認定医
日本結核病学会 結核・抗酸菌症認定医
近畿外科学会評議員
丸 夏未 丸 夏未 病院助教  日本外科学会 外科専門医
内海 貴博 内海 貴博 病院助教 日本外科学会 外科専門医
小延 俊文 小延 俊文 非常勤講師
(恩賜財団済生会 中和病院 総合診療科 部長)
呼吸器外科
日本救急医学会指導医、専門医、評議員
日本外科学会 外科専門医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本外傷学会専門医、評議員
日本臨床救急医学会評議員
近畿外科学会評議員
閉じる

ページの先頭へ

お知らせ

患者のみなさんへ

専門医制度と連携したデータベース事業について
病院医療の崩壊や医師の偏在が叫ばれ、多くの学会や団体が医療再建に向けて新たな提言を行っていますが、どのような場所でどのような医療が行われているかが把握されていない状況では、患者さん目線の良質な医療は提供できません。
そこで、日本では、関連する多くの臨床学会が連携し、わが国の医療の現状を把握するために、「一般社団法人National Clinical database」(以下、NCD)を立ち上げ、データーベース事業を開始することになりました。
この法人における事業を通して、患者さんにより適切な医療を提供するための専門医の適正配置が検討できるだけでなく、最善の医療を提供するための各臨床現場の取り組みを支援することが可能となります。
何卒趣旨をご理解の上、ご協力賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


一般社団法人National Clinical database 代表理事 里見 進
www.ncd.or.jp/
詳細はこちらをご参照ください。→


関西医科大学・呼吸器外科手術データベースにおける症例登録事業について
当院・呼吸器外科では、2006(平成18)年の当院開院以来、年間約200件の手術を実施して参りました。本研究の目的は、手術を受けられた患者さんのデータを継続的に集積し、手術成績と手術後合併症に関する情報をより正確に把握することです。これにより、医療の質の改善に向けた取り組みをたゆみなく行う事が出来、今後もより良い医療を引き続き提供し続ける事が可能となります。 研究に利用する情報は、患者さんのお名前、住所など、患者さん個人を特定できる個人情報は全て削除して管理します。また、研究成果は学会や学術雑誌で発表されますが、その際も患者さんを特定できる個人情報は利用しません。患者さんからのご自身の情報開示等の請求は個々に対応いたします。
※上記の研究に情報を利用することをご了解いただけない場合は以下にご連絡ください。情報の利用を拒否された事で、診療等で患者さんが不利益を被る事は一切ございません。


詳細は、こちらをご参照ください。→

肺がんにおけるPD-L1(programmed cell death ligand-1)発現と予後および抗PD-1抗体治療薬の効果予測に関する研究(UMIN000025395)について
原発性肺がんの悪性度は高く、我が国における癌死の第1位を占め、治療成績の向上が求められています。Programmed cell death ligand-1(PD-L1)は、がん細胞表面に発現し、がん細胞を攻撃しようとするリンパ球(生体防御を担当する細胞)のprogrammed cell death-1(PD-1)受容体と結合し、リンパ球の攻撃を回避して生き残ることが知られています。近年、この仕組みを阻害する先進的がん免疫療法(例:抗PD-1抗体療法)が開発され、今後の肺がんに対する治療成績の向上が期待されています。今回、私たちは、肺がんの組織におけるPD-L1発現を免疫染色および蛍光粒子を用いた定量的計測方法であるPID(phosphor integrated dot)技術を用いて測定し、予後(肺がんの経過)および抗PD-1抗体治療の効果との関係を明らかにする事を目的とした研究を実施いたします。なお、研究には、診療に使用された後の保管試料(既に得られている手術検体・生検検体)および診療情報を用いますが、個人情報の管理は厳重にして参りますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

詳細は、こちらをご参照ください。→

肺癌登録合同委員会 第7次事業:2010年肺癌手術症例の全国登録調査について
原発性肺癌は本邦における死因の第1位であり、日本国民の健康福祉の向上のために治療成績の向上が求められています。原発性肺癌の治療には外科治療、抗癌化学療法、分子標的療法、放射線療法がありますが、根治のためには外科治療が必須です。外科治療の成績の更なる向上のためには、大規模なデータベースによる治療成績の把握により、外科治療の適応や術式の妥当性が検討される必要があります。
日本肺癌学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器外科学会、日本呼吸器内視鏡学会の4学会が合同で運営する肺癌登録合同委員会は、日本の肺癌診療の診療成績を把握するため、定期的に全国の施設に協力を求めて、大規模データベースを構築してきました。
肺癌登録合同委員会は、今回、第7次事業として2010年の原発性肺癌外科治療症例の後ろ向き登録を開始することになりました。登録症例の解析結果をもとに、最新の肺癌治療成績を把握し、今後の肺癌診療に活かしていく予定です。また当事業の症例データベースは世界肺癌学会の国際データベース事業とも共同して、国際対癌連合(Union internationale contre le cancerあるいは The Union for International Cancer Control、略してUICC)による TNM分類の改定にも貢献する予定です。
当院は、2010年に附属病院で肺癌に対する外科治療を受けられた患者さんの診療情報を肺癌登録合同委員会 第7次事業に登録し、全国および国際共同研究に貢献する予定です。研究計画書は、事務局である大阪大学 呼吸器外科学のホームページにも掲載されていますので、必要な場合はご確認ください。
個人情報の管理は厳重にしておりますので、ご理解お願いします。
ただし事業と研究への参加を拒否される場合はご連絡ください。拒否の申し出のある患者さんの診療情報の登録は致しません。ご協力よろしくお願いいたします。

詳細は下記をご参照ください。
大阪大学呼吸器外科ホームページ「肺癌登録合同委員会について」

※本研究は2017年12月31日で終了いたしました。御協力誠に有難うございました。研究成果は今後、報告予定となります。


肺癌前転移ニッチ関連バイオマーカーの特定と先制医療への展開に関する研究について
原発性肺がんの悪性度は高く、我が国における癌死の第1位を占め、治療成績の向上が求められています。肺がんの中には、転移を促進する微小環境(=前転移ニッチpre-metastatic niche)が根治手術時に既に形成されている可能性が指摘されており、肺癌転移形成機構および治療標的が明らかになれば、創薬などを通じて完成しつつある転移形成を未然に制御する早期治療介入(=個別先制医療)への展開が可能となり、さらに知見の発展的応用によって、切除不能進行肺癌に対する治療を最適化し、肺癌関連死亡の予防に貢献することが出来ます。
今回、私たちは、肺がん組織における遺伝子発現の網羅的解析による肺癌前転移ニッチ関連バイオマーカーの特定を目的とした研究を実施いたします。なお、研究には、診療に使用された後の保管試料(既に得られている手術検体・生検検体)および診療情報を用いますが、個人情報の管理は厳重にして参りますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

詳細は、こちらをご参照ください。→

自然気胸の手術成績に対する性別の影響の調査研究について
自然気胸、すなわち非外傷性気胸は肺表面を覆う臓側胸膜の破綻によって肺から空気が漏れ、肺が虚脱することによって呼吸困難を来す、最も頻度の高い呼吸器疾患の一つです。肺に基礎疾患がある場合は続発性、無い場合は原発性自然気胸と呼ばれます。最近の報告によればその罹患率は男性で人口10万人当たり18人、女性で人口10万人当たり6人とされています。
自然気胸の発生は男性優位であること、高身長であると気胸の再発頻度が高くなる現象は男性においてのみ認められること、さらに女性の自然気胸は頻度が低いものの、初期治療すなわち非手術治療の後の再発率は女性で高いこと等、性別によって自然気胸の特徴は多彩です。加えて男性の原発性自然気胸の多くはブラと呼ばれる脆弱な肺組織が風船状に膨張した構造の破綻によって生じるのに対し、妊娠可能年齢の女性においては、リンパ脈管筋腫症や月経随伴性気胸といった女性特有の疾患に起因する気胸が存在することが知られています。
現時点において、性別が自然気胸の手術治療の成績に影響を及ぼすか否かについてはデータが必ずしも十分ではありません。性別毎の術後成績の検討は、自然気胸の最適な治療戦略を構築する上で重要な判断材料となると考えられます。
本研究は、過去の診療記録に基づき、気胸手術症例に関する後ろ向き研究を行い、性別を含む臨床病理学的特徴が術後気胸再発に与える影響を明らかにするものです。皆様の研究へのご理解・ご協力をお願い申し上げます。

詳細は、こちらをご参照ください。→


転移性肺腫瘍における肺転移ニッチと外科的切除の長期成績に関する研究について

転移性肺腫瘍(いわゆる「肺転移」)は、肺以外の臓器の癌または肉腫が肺へ遠隔転移した状態です。癌や肉腫の他臓器への転移は病期IVすなわち進行期・終末期の現象と認識され、通常手術適応はなく、全身を対象とした薬物治療が選択される事が多いのですが、原発巣がコントロールされている場合は、特定の転移性肺腫瘍(結腸・直腸癌、腎癌、骨肉腫など)の外科的切除は予後を改善しうる(すなわち寿命を延ばす)効果があることが示されており、転移性肺腫瘍に対する手術は広く行われています。ところが、肺癌に比べて手術数が少ないことなどから、外科的切除の長期成績と関連する要因の分析(すなわち、「どんな患者さんにおいて、外科的切除が最も効果を発揮するのか」)は必ずしも進んでいません。加えて、原発巣由来の腫瘍細胞と、肺の間質によって構成される微小環境(ニッチ)の分子病態に関しても不明な点が多く、「肺転移がなぜ、どのようにして生ずるのか」についても必ずしも明らかになっていません。

今回、私たちは、転移性肺腫瘍の肺転移微小環境(ニッチ)に注目し、遺伝子発現の網羅的解析による外科的切除の長期成績に関与する遺伝子の特定を目的とした研究を実施いたします。なお、研究には、診療に使用された後の保管試料(既に得られている手術検体・生検検体)および診療情報を用いますが、個人情報の管理は厳重にして参りますので、ご理解のほどお願い申し上げます。


詳細は、こちらをご参照ください。→


肺癌に対するサルベージ手術の有効性と安全性を検討する多施設共同後ろ向き臨床研究について
原発性肺癌に対して,根治的放射線・化学放射線療法,定位または粒子線治療,または分子標的治療後に局所(肺または所属リンパ節)に遺残または再燃した場合に根治手術(サルベージ手術)を行った症例を,多施設共同で後ろ向きに集積・解析することで,その切除の有効性・安全性を検討し明らかにすることを目的とした多施設共同研究を行っております。個人情報の管理は厳重にして参りますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
 
詳細は、こちらをご参照ください。→

※本研究は2019年8月31日に終了いたしました。ご協力誠にありがとうございました。研究成果は今後、報告予定となります。


イオン輸送体を分子標的としたがん幹細胞の新規治療法の開発について
がんが、他の病気と異なる理由は、悪性形質あくせいけいしつ、つまりがんが無秩序に増えたり、しみこんだり(=浸潤(しんじゅん)、他の臓器にとびひ(=転移(てんい))するという、特殊な性質を有する点にあります。この悪性形質あくせいけいしつをより詳しく理解し、制御する方法を開発する事は、がんの治療を根本的に改善し、患者さんの生活の質を向上させる上で重要です。今回、私たちは、みなさんのご病気から一部のがん細胞を採取し、がん細胞の源となるがん幹細胞の悪性形質あくせいけいしつに関わる遺伝子、特に全ての細胞に存在するイオン輸送体(=イオンチャネル)の機能がどのように変化しているのかを分析し、新しい治療法の開発へつなげます。
今回、私たちは、関西医科大学生理学第一講座、解剖学第二講座、附属生命医学研究所生体情報部門、呼吸器外科学講座、脳神経外科学講座、外科学講座の共同研究、『イオン輸送体を分子標的としたがん幹細胞の新規治療法の開発』という研究を実施いたします。なお、研究には、診療に使用された後の保管試料(既に得られている手術検体・生検検体)および診療情報を用いますが、個人情報の管理は厳重にして参りますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

詳細は、こちらをご参照ください→

●降下性壊死性縦隔炎の発生と治療法および予後に関する観察研究 JBES1703/JACS 1806 について

降下性壊死性縦隔炎とは、歯原性や口腔内感染症や咽頭膿瘍などの深頸部の感染症が筋膜間隙や気管周囲間隙に沿って、肺の間(縦隔)へ進展する重篤かつ難治性の感染症で、致死率の高い疾患です。それゆえにその診断と治療には緊急を要します。日本胸部外科学会の学術調査によると、2010年以降、全国で毎年90~100例の手術が行われており、30日以内の死亡は1~6.8%と報告されています。本邦における死亡率は低下していますが、その詳細については不明な点が多くあります。本疾患の発生部位と縦隔への進展経路から、その診断と治療には関係するすべての診療科の協力と連携が必要で、耳鼻咽喉科、口腔外科、食道外科、呼吸器外科、さらに集中治療部など、複数診療科の連携と科の枠を超えた治療が必要と考えられます。そのため日本気管食道科学会および日本呼吸器外科学会が、その病態、診断に至る経過、治療方法、ドレナージの方法の詳細、予後などについて、学会の認定施設より情報を収集し、治療方法や治療成績の検証を行い、本疾患における発生原因、治療効果予測因子や予後予測因子を解析します。そのうえで、これからの標準治療の確立のための基礎データを構築することを目的に行います。

 
詳細は、こちらをご参照ください→

※本研究は2019年3月31日に終了いたしました。ご協力誠にありがとうございました。研究成果は今後、報告予定となります。

●胸部病変の立体的・空間的病理解析による分子病態およびその進行機構の解明

原発性肺癌、転移性肺腫瘍、非腫瘍性肺疾患(間質性肺炎、器質化肺炎など)、縦隔腫瘍、悪性胸膜中皮腫など胸部疾患に随伴する病変の切除検体を対象に、余剰検体を活用し、連続切片作製と3次元再構築を行い、病変の立体構造の可視化と、胸部病変の微小環境における遺伝子発現・タンパク発現解析による、病変の立体構造の背景にある分子病態の解明を目的とした研究を行っています。本研究成果により、胸部病変の立体的構造がより明らかとなり、病理学の新知見を得ることが出来るだけでなく、立体構造を考慮した遺伝子・タンパク発現解析によって、新たな予後関連・治療関連バイオマーカーの特定につながることが期待されます。

詳細は、こちらをご参照ください→


●ウィルス関与に着目した胸腺上皮性腫瘍発症メカニズムに関する探索的研究について


扁平上皮癌は口腔内・咽頭・喉頭・食道・肺・子宮頚部など体外との境界に近接した部位に多く発生することが知られており、病因としてウィルス感染など後天的・外的因子が誘因となっています。胸腺癌の多くは扁平上皮癌でありますが、胸腺は前縦隔に位置する臓器であり外界への直接の暴露は無く、他部位に発生する扁平上皮癌と比べて、解剖学的局在という観点からは例外的存在であります。胸腺癌や胸腺腫などの胸腺上皮性腫瘍は、その発生頻度は年齢とともに増加することが知られており、後天的誘因の存在を疑わせますが、詳細は不明です。本研究は胸腺上皮性腫瘍の発症にウィルス既感染が関与している可能性を探り、発症機構を解明することを目標としています。発症機構を解明できた場合は将来的にワクチン療法などの治療につながる可能性が考えられます。
今回、私たちは、胸腺上皮性腫瘍組織における遺伝子発現の網羅的解析によるバイオマーカーの特定を目的とした研究を実施いたします。なお、研究には、診療に使用された後の保管試料(既に得られ
ている手術検体・生検検体)および診療情報を用いますが、個人情報の管理は厳重にして参りますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

詳細は、こちらをご参照ください。→

●特発性血気胸手術症例における輸血に関する実態調査:多施設共同後方視的研究について

特発性血気胸は稀な疾患であるため、現在までに大規模な検討は行われておらず、手術症例の実態は明らかにされていません。疾患の特性上、単施設の検討では症例数が限られているため、信頼性の高い報告を発信することは困難です。より信頼性の高い報告を示すため、日本気胸・嚢胞肺疾患学会の主導のもと多施設共同研究を行います。

詳細は、こちらをご参照ください。→

●肺・血管系におけるSARS-CoV-2細胞侵入機構関連タンパク発現と臨床的背景因子の関連性に関する分析的研究について

現在、新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome-coronavirus 2, SARS-CoV-2)感染症は世界に深刻な影響を与えています。本研究の目的は、肺・血管系におけるSARS-CoV-2細胞侵入機構関連タンパクの発現量が、年齢・併存症・喫煙歴・内服歴など臨床的背景因子とどのように関連しているかを明らかにする事です。本研究成果は、日本人におけるSARS-CoV-2の感染成立・重症化機構の解明、より有効な感染予防対策および治療戦略の確立のうえで有益な知見となりうると考えられます。

詳細は、こちらをご参照ください。→

2021年に外科治療を施行された肺癌症例のデータベース研究: 肺癌登録合同委員会 第11次事業について

一般社団法人NCD National Clinical Database(NCD)は2011年より外科手術症例の登録事業を開始し、95%以上の登録率を達成しており、外科医療のベンチマーク、外科医の専門医資料、および会員学会による臨床研究に多大なる貢献をしています。このNCDが有する患者情報、手術および周術期情報のデータベースを元に、再発・予後情報を追加入力する事で、肺癌における外科療法の現状を解析し、さらに進行度分類の改訂にも貢献することを目指します。

詳細は、こちらをご参照ください。→




《お問い合わせ先》
〒573-1010 大阪府枚方市新町2-5-1
関西医科大学 呼吸器外科学講座
講師 齊藤 朋人
電話 072-804-2760  FAX 072-804-0150

閉じる