循環器系疾患

疾患一覧

疾患名 病状 当院関連診療科
総動脈幹遺残症
総動脈幹症は出生1000人につき0.04-0.08人の割合で発症する稀な疾患です。正常な心臓では1本の動脈幹がそれぞれ大動脈と肺動脈に分割して左心室と右心室から起始します。総動脈幹症では動脈が分割せず、左右の心室から1本の総動脈幹が起始しています。総動脈幹症では生後早期より心不全を来す場合が多く、早期の手術介入が必要となります。
小児心臓外科
修正大血管転位症 修正大血管転位症は、先天性心疾患の0.4%を占める稀な疾患です。正常な心臓では、左心房⇒左心室⇒大動脈、右心房⇒右心室⇒肺動脈と心房心室および血管が接続していま。修正大血管転位症では左心房⇒右心室⇒肺動脈、右心房⇒左心室⇒肺動脈と、心房-心室および心室-血管の位置関係がそれぞれ逆転して結果的に血液の流れは正常の心臓と同じになっています。約9割の症例で心室中隔欠損症や肺動脈弁狭窄症等を合併します。合併する先天性心疾患や右心不全の発症により経過が左右されます。 小児心臓外科
完全大血管転位症 完全型大血管転位症は先天性心疾患の5%を占める稀な疾患です。正常な心臓では、左心室から大動脈、右心室から肺動脈が起始していますが、完全型大血管転位症では、左心室から肺動脈、右心室から大動脈が起始しています。完全型大血管転位症は、生直後から低酸素血症を呈します。治療は、生後1-2週間以内に動脈スイッチ手術(ジャテーン手術)を行い、正常な心臓と同じ形態となるように修復する必要があります。 小児科
小児心臓外科

単心室症  単心室症は、正常な大きさの心室が一つしかない先天性心疾患の総称です。三尖弁閉鎖症は単心室症を合併する代表的な疾患です。単心室症では、本来2つあるはずの心室が一つしかないため、制直後からの低酸素血症や心不全の進行により、長期的な予後は不良です。現在、単心室症に対して機能的根治手術であるフォンタン手術が行われています。フォンタン手術が成功するためには新生児期から段階的に手術を行い、綿密な医学的管理を必要とします。 小児科
小児心臓外科
 左心低形成症候群 左心低形成症候群は先天性心疾患の中でも最重症の疾患です。左心低形成症候群では、左心室が著しく低形成で同時に大動脈弁や大動脈、僧帽弁の閉鎖または低形成を伴います。唯一の心室である右心室が動脈管を介して全身に血液を送り出します。外科治療では、ノーウッド手術を行い低形成な大動脈と肺動脈を形成して右心室から全身への血流路を確保します。左心低形成症候群は最終的にフォンタン手術を目指す事になります。 小児科
小児心臓外科
 三尖弁閉鎖症 三尖弁が閉鎖しているチアノーゼ性先天性心疾患です。単心室症と同じように最終的な手術はフォンタン型手術となります。肺血流が少ない型では新生児期に動脈管を開存させるためのプロスタグランジンという薬を投与し、乳児期早期に肺動脈短絡術(ブラロック・タウジッヒ短絡術)を、肺血流が多い型では新生児期に肺動脈絞扼術を行います。1歳までに両方向性グレン術、2~3歳でフォンタン型手術を行います。術後は、血栓を予防する治療(アスピリンやワーファリンの内服)を行います。術後10~20年で、心不全や不整脈、血栓症、チアノーゼ、うっ血肝、蛋白漏出性胃腸症が出現することがあります。 小児科
小児心臓外科
 心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症 心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症は純型肺動脈閉鎖症とも呼ばれています。右心室と肺動脈間の肺動脈弁が閉鎖している状態でほとんどの症例で右心室の低形成を伴います。右心室の大きさと形態により治療方針が異なります。右心室の発育状況に応じて、右心室を利用した2心室修復手術を行うか、または右心室を使用しない単心室型の修復手術であるフォンタン手術のいずれかの方法を選択します。 小児心臓外科
心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症はファロー四徴症の極型とも呼ばれています。症状はファロー四徴症に類似しています。心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症では、右心室から肺動脈に血液が流れないため、主要側副血行路という肺への代替血流路が発達する場合があります。外科治療は左右肺動脈と主要体肺側副血行路の統合手術を行った後に、ファロー四徴症に準じた手術を行います。 小児心臓外科
 ファロー四徴症 チアノーゼ性先天性心疾患のうち最も多く、右心室流出路狭窄のために爪や唇の色が紫色となるチアノーゼを認めます。乳児期早期に心雑音やチアノーゼで見つかることが多く、必要に応じて乳児期に体肺動脈短絡術、3歳頃までには心内修復術を行います。術後は通常の日常生活は制限なく過ごせるようになりますが、肺動脈弁狭窄や閉鎖不全が強くなり、右室流出路再建術が必要になることがあります。また、頻脈性不整脈があるような場合には、抗不整脈薬内服やカテーテル焼灼術が必要となることがあります。 小児科
小児心臓外科
両大血管右室起始症 両大血管右室起始症は大動脈と肺動脈が主に右心室から起始している先天性の心疾患です。心室中隔欠損を合併します。大動脈と肺動脈、心室中隔欠損との位置関係で血行動態や治療方針が異なります。基本的には左心室の血液が大動脈に流れるように心室内血流転換手術を行います。 小児心臓外科
エプスタイン病 エプスタイン病は右心房と右心室間に存在する三尖弁の形成異常を伴う先天性の心疾患です。三尖弁の形成不全に伴う三尖弁逆流と右心室の異常を伴いますが、様々な病変の形態があります。エプスタイン病では、外科治療による三尖弁の形成手術を行う必要があります。 小児心臓外科
先天性三尖弁狭窄症 先天性三尖弁狭窄症は左心房と左心室の間に存在する僧帽弁が生まれつき狭くなっている疾患です。他の先天性心疾患に合併している場合がほとんどであり、単独の三尖弁狭窄症は非常に稀であると報告されています。三尖弁の狭窄に伴う右心室の低形成を合併している場合が多く、治療方針は三尖弁狭窄と右心室の形態に左右されます。右心室が使用可能であれば、2心室修復を目指しますが、使用困難な場合はフォンタン型手術を行います。 小児心臓外科
 先天性僧帽弁狭窄症 先天性僧帽弁狭窄症は左心房と左心室の間に存在する僧帽弁が生まれつき狭くなっている疾患です。大動脈縮窄症などに合併する場合もあります。高度な狭窄の場合には、心不全や肺高血圧症の症状が出現します。小児期の外科手術では、可能な限り僧帽弁形成手術を行いますが、将来的に人工弁置換手術が必要となる場合もあります。 小児心臓外科
先天性肺静脈狭窄症 肺静脈は、通常左右に2本ずつ存在して、左右の肺から左心房に接続しています。肺静脈狭窄症は、他の先天性心疾患に合併して発症する場合や、稀に単独で発症する場合があります。肺静脈が狭窄することにより肺うっ血や肺高血圧症を発症します。手術では狭窄部位を広げる手術を行いますが、再狭窄の可能性を考慮する必要があります。 小児心臓外科
左肺動脈右肺動脈起始症 左肺動脈右肺動脈起始症では、本来主肺動脈から分岐する左右肺動脈の内、左肺動脈が右肺動脈から分岐する先天的な異常です。左肺動脈は右肺動脈から起始後、気管支の背側を走行して左肺に向かいます。そのため、気管支の圧迫に伴う狭窄症状を高率に合併します。手術は、人工心肺装置を併用して、左肺動脈を主肺動脈に吻合します。気管支の狭窄を伴う場合には、気管支形成手術が必要となる場合もあります。 小児心臓外科
 
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