予防指導

腎臓は大きく分けて、①体内の水分調節、②老廃物の除去、③酸塩基・電解質の調節、④造血ホルモンの分泌、⑤血圧の調節、⑥ビタミンDの活性化といった役割を持っています。糖尿病などによる腎臓への血流低下や尿の通路障害が原因で腎不全を発症すると腎臓の働きが失われ、むくみ、倦怠感、血圧上昇など様々な症状がみられるようになります。末期腎不全まで移行すると腎代替療法(腎移植・透析)が必要となります。腎センターでは保存期腎不全患者さんを末期腎不全へ移行させないため、また、腎移植者の内科合併症予防のため下記の取組を行っています。


【透析予防のための取組】
・予防に重点を置いた診療
・原疾患の治療強化
・運動・食事療法

診療

腎不全への進行予備群(慢性腎臓病)の過半数以上が、メタボリックシンドローム(肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常)と関係しており、肥満や体重増加が病状を大きく左右しています。

このような生活習慣と関係した腎臓病は初期であれば、適切な食事や内服療法により、進行を予防できます。しかし慢性腎臓病の初期には自覚症状がないため、未治療のまま気づかないうちに腎不全が進行していることが多くあります。

腎センターでは、腎不全進行の予防のため検診などで腎機能低下を指摘された方に、専門医による診療を行っています。


【専門医受診が進められる検査基準(CKD診療ガイド2012:日本腎臓学会に準拠)】
①たんぱく尿0.5g/gCr以上または2+以上
②たんぱく病と血尿がともに陽性(1+以上)
③40 歳未満        GFR 60 mL/分/1.73m2 未満
40 歳以上 70 歳未満    GFR 50 mL/分/1.73m2 未満
70 歳以上        GFR 40 mL/分/1.73m2 未満

腎センターでは慢性腎臓病の患者さんに対する診療として血圧、血糖、コレステロールを厳しく管理しながら、たんぱく質や塩分の摂取量を制限して腎臓への負担を減らします。血圧の目標は130/80 mmHg未満ですが、たんぱく尿が1日1g以上と多ければ125/75 mmHg未満とより厳しくします。

また、血圧を下げるだけでなく腎臓を保護する作用がある高血圧治療薬を使用し、腎不全の予防に重点を置いた診療をすすめています。

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治療

最大の末期腎不全原疾患である糖尿病対策として、腎臓内科医・糖尿病科医の診療に糖尿病看護認定看護師などが介入し、透析予防指導、フットケア、インスリン指導を含め、原疾患の治療強化を図ります。糖尿病の治療は、合併症の発症・進行を予防するために高血糖を是正すること、つまり血糖コントロールがすべての基本となります。当センターでは健康科学センターや栄養管理部とも連携し、食事療法、運動療法を併用した徹底的な血糖管理を行っています。

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運動・食事療法

保存期腎不全患者や腎移植者の内科合併症予防およびその対策として、健康科学センターにおける運動療法・栄養指導を早期に介入します。


【介入による改善例】
移植前    移植後10年目 介入1年後
体重:70kg →  95kg  →  73kg
BMI:23   →  31   →  24


レシピエント移植コーディネーターから合併症の危険性や自己管理の重要性を繰り返し行い、減量に同意をいただきました。健康科学センターの肥満外来を受診いただき、運動療法士・栄養士・臨床心理士による介入を開始、1年間で体重は22kg減、BMIも24まで低下しました。心・脳血管疾患に関連性の高い中性脂肪などの血液データや高血圧症も改善し、内服薬を数種類減らすことができました。

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