腎代替療法(腎移植・透析)

 腎代替選択外来を設置し、血液浄化センター看護師による血液透析・腹膜透析の治療説明に加え、レシピエント移植コーディネーターから腎移植に関する情報提供を行っています。

腎移植について

腎移植とは

腎移植は、提供者(ドナー)から一つの健常な腎臓をもらって下腹部に植え込むことにより、腎機能を回復させる治療です。腎不全の唯一の根治的治療である腎移植と透析の最大の違いは、慢性腎不全をリセットできる点にあります。腎不全状態から離脱することで、慢性腎不全状態により引き起こされていた様々な血管病変の進行を回避し、貧血や骨病変の改善も見込めます。 また、血液透析や腹膜透析を受ける場合と比べると、食事や運動、就労などの様々な制限が緩和されるため、生活の質が向上します。

しかし、移植した腎臓が拒絶反応を起こすこともありますし、免疫抑制剤を生涯内服する必要性があるため、感染症にも注意が必要です。腎移植には、生きている方から腎臓をご提供いただく生体腎移植と、亡くなった方(脳死を含む)の腎臓を移植する献腎移植の2通りの方法がありますが、我が国では献腎移植の数が極端に少ないため、ほとんどの腎移植は親族や夫婦間からの腎提供による生体腎移植が占めており、どなたでも受けられる治療ではないことが最大の問題点です。

腎センターでは腎臓内科医と腎移植専門医、さらにレシピエント移植コーディネーターがより密に連携し、献腎登録や先行的腎移植を含め、患者さんに適した選択を行います。

レシピエント(移植を受ける方)について

【適応】
移植を希望される場合、糸球体濾過率e-GFRが15-30ml/min程度(ステージ4あるいは5)の時点で、主治医と相談することをお勧めします。移植を受ける前には様々な検査を行い、最終的には全身状態などを考慮して移植可能か判断をします。


【入院】
提供していただいた腎臓を長期間機能させるために最も重要である免疫抑制剤を、手術直前から内服していただきます。また、移植前には前処置が必要であることも少なくないため、移植日より7-10前より入院が必要となります。移植後は拒絶反応や肺炎などの感染症に注意が必要ですが、大きな問題が起こらなければ2~3週間で退院となります。


【手術】

手術は全身麻酔で行い、手術時間は5-6時間かかります。腎移植は基本的には右腸骨窩に移植します。下腹部に15~20cm程度の斜切開を加え、腸骨動脈と静脈に提供腎臓の動脈、静脈をそれぞれ吻合します。提供腎臓についている尿管はレシピエントの膀胱につなぎます。また、基本的にもともとの腎臓はそのままにしておきます。腎センターでは、術後集中治療室で数日間過ごしていただき、万全の体制で術後経過を見るようにしています。


【予後】
近年、免疫抑制剤の進歩や移植医療の向上などによって、治療成績は飛躍的に上昇し、腎センターでの10年生着率(10年間移植された腎臓が透析を受けずに機能している確率)は90%を超えています。

しかし、長期間腎臓の機能をよい状態に保つためには、レシピエントの方の自己管理が重要になります。移植後は腎不全期より食事や生活の制限が緩和されることや、長期に渡って問題なく経過していくことで当初の緊張感から解放され、気持ちのゆるみなどもあり体重が増加する方も多く、免疫抑制剤の内服も不規則になりがちです。しかし、移植後長期間経過していくと、糖尿病、高血圧症、脂質異常症といったいわゆる生活習慣病を発症する方も少なくないことから、腎センターでは健康科学センター、糖尿病看護認定看護師、薬剤師、栄養士などと定期的にカンファレンスを行い連携して診療にあたっています。


腎移植移植後患者指導外来

生体腎移植について

【ドナー】
親、兄弟、夫、妻などに腎臓を提供してくれる方(ドナー)がいることが最低条件になります。腎臓の提供を受ける場合、移植後は免疫抑制剤を服用しなければならず、体の抵抗力がどうしても落ちてしまいます。そのため、ドナーになっていただく方は、体のなかに病原体(ウイルス、細菌)や悪性腫瘍(がん)などがなく健康体であることが条件になります。(検査を行い一定の条件をクリアすれば高血圧や糖尿病を有していても腎提供は可能です)

近年は血液型が違っていても移植は可能となり、最近では生体腎移植のうち4割程度が夫婦間移植になってきています。


【手術】
生体腎移植では、腎臓の提供を受ける方とドナーの方の手術を同時に行います。ドナーの方の手術は全身麻酔で行い、手術時間は3-4時間かかります。手術の方法は、術後の回腹が早く体の負担が少ないといった利点のある、腹腔鏡手術を行っており、なかでも約5cmの1つの傷で手術を可能にする単孔式腹腔鏡下手術を取り入れています。提供後は長期間の経過観察が重要ですので、ドナー外来を解説し腎臓内科医と移植医が共同で経過観察を行っています。


腎移植・腎移植ドナー外来

献腎移植について

献腎移植を受けるためには、病院を通じて日本臓器移植ネットワークに登録する必要があります。

関西医大附属病院は、社団法人日本臓器移植ネットワークが中央組織となる献腎移植登録施設の一つとなっており、枚方周辺地域のみならず、北河内地域にお住まいの透析患者さんに登録頂いております。

献腎移植登録を希望される患者さんは透析施設の担当の先生に紹介状を書いていただき、当科の腎移植外来(毎週水・金曜、第1、3、5土曜:午前)を受診できるよう手配してもらって下さい。

登録していただくためにはいくつかの条件がありますので、こちらに受診していただき、登録に問題がないことを確認する必要があります。

腎移植に少しでも興味を持たれた方は、TEL 072-804-0101(病院代表)腎泌尿器外科外来までご連絡ください。専門医が腎移植について説明致します。

サルコペニア予防について

腎不全患者さんは、長期に渡る末期腎不全状態が持続しており、厳しい食事制限や運動制限を強いられるため、一般健常人よりサルコペニア*の発生頻度が高く、若年発生や生命予後との関連性が指摘されています。当院では、2015年から腎移植患者さんのサルコペニアについて取り組みを行っています。

腎移植患者さんは、末期腎不全期に筋肉量や筋力が低下し、それを移植後に持ち越している方も多く、移植後も筋肉量が低い方は、移植前から身体活動量が低いことがわかりました。そこで現在は、移植前から問診で身体活動量を把握し、運動耐容能を心肺運動負荷試験で測定しており、移植後退院される時に、運動療法士が運動指導を行い、退院後の運動習慣の向上・サルコペニア予防に役立てています。


*サルコペニア:加齢や疾患により、筋肉・筋力が著しく低下している状態です。握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」を指します。筋力の低下により、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるといったことにつながります。

閉じる

ページの先頭へ

透析療法について

透析療法には血液透析と腹膜透析の2種類があり、腎臓内科が運営する血液浄化療法部にて行っています。透析療法においては医師・看護師・臨床工学士が協力し、導入時指導や水質管理強化等、安全な治療を提供できるよう知識・技術・サービスの向上に努めています。


血液浄化療法部

【バスキュラーアクセス】
血液透析は、一般に前腕の静脈から1分間に150-200ml/分の速度で血液を採取し、フィルターをかけて水、毒素を除去した後、体内に戻すという体外循環で行われます。血液透析を導入する場合、それに先立って、通常前腕部の皮下静脈に寄り添い走行する動脈を血管吻合して、血流を増加させ、太くしておく処置(自己血管吻合によるバスキュラーアクセス作成)が必要になります。バスキュラーアクセスは、動脈血が直接吻合部を介して静脈側に流れることになり、「シャント」とも呼ばれています。バスキュラーアクセスを作成しても、血流が十分増えるためには2-3週間以上要するため、あらかじめ透析導入予定に先立って余裕をもって手術を受けることが推奨されています。


【血液透析】
直接、血液を採取して体外に取り出し、ダイアライザーと呼ばれる透析器(人工腎臓)に通すことにより、血液を浄化する方法です。週に3回、1回3~5時間程度病院にて治療を行います。


【腹膜透析】
ブドウ糖を主体とした透析液を腹腔内に貯留することで、腹膜の毛細血管を通じて血液を浄化する方法です。週7回(毎日)、自宅や職場において自身で透析液を交換します。腹膜透析は血行動態が安定し在宅でも実施できるので高齢者にも適した方法です。しかしその普及率は腎代替療法全体の3%程度で、海外と比較しても極端に少ない数字です。当院は腹膜透析の地域の拠点としての役割を担い、スタッフの育成、地域医療ネットワークの強化に努めています。

閉じる

ページの先頭へ