患者さんの頭や心の整理を
手伝うのも大切な仕事。
すでにストーマを保有している50代の女性が、がんの再発時にダブルストーマ増設を説明され拒否している状態であると外来看護師から相談を受けたことがありました。ストーマを増やしたからといって確実に治るという保証もありませんが、それを選択しなかった場合には確実に余命は短くなるという状況。すでにストーマを持ちながら闘病をつづけているという厳しい中で、さらに増設をすることに否定的な気持ちになるのも十分に頷けます。それでもお話を聞いていると「まだまだ生きていきたい」「子どもの成長をもっと見守りたい」、そんな想いが少しずつ溢れ、最後には患者さんご自身の意思でストーマの増設を決定されました。その方には術後から退院後の指導までずっと携わりましたが、退院後には一通のお手紙をいただきました。そこに書かれていたのは「がんの再発やストーマの苦痛はあるけれど、こうして生きていられてよかった」という言葉。人生の選択をするのは患者さんですが、それを支えられて本当によかった。ケアや提案をするだけでなく、患者さんの頭や心の整理を手伝うのも大切な仕事だと、改めて思うことができました。