病気の辞典 vol.005(2017/02/28)急性白血病

血液腫瘍内科
教授 石井 一慶

急性白血病



概要

白血球は体を病原体から守る兵隊のような細胞です。その白血球は若い細胞から成熟した細胞まで分化していきますが、若い段階でがん化した病気が急性白血病です。若い細胞のため、増殖速度が速く病気の進行は急激です。



症状

  • 骨痛

  • 発熱

  • 出血傾向

     



検査

骨髄性、リンパ性に分かれますが、いずれにしても血液検査で異常値を認めます。

典型例は
  • 白血球増多

  • 白血球分画に異常細胞出現

  • 貧血

  • 血小板減少

がみられます。正常であれば、白血球の中に成熟細胞(好中球、リンパ球、単球など)がある一定の範囲でみられます。白血病になると、最も若い芽球細胞が異常細胞として多数現れます。白血病を疑えば、骨髄検査が必要です。一番安全な箇所である、骨盤(後腸骨)から特別な針で採取します。
 



治療

日本統一のプロトコール (日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG) により抗癌剤治療を施行します。寛解導入療法、地固め療法と順次施行します。約5月にわたる長期戦です。寛解状態になれば、1コースの治療が終了するごとに入退院を繰り返します。白血病細胞が消失し、貧血、血小板減少も回復すれば、寛解状態と呼びます。抗癌剤治療による長期生存は40%ほどです。予後によっては同種造血細胞移植術も予定します。白血球に発現される遺伝情報がHLAですが、それが一致した人から造血幹細胞を輸血のごとくに点滴で投与する治療法です。造血幹細胞として骨髄、末梢血幹細胞、さい帯血の3種類の選択肢があります。



総合医療センターで行う治療

急性白血病に対する抗癌剤治療は他のがんに比べてとても強い抗癌剤治療となります。そのため、無菌室での治療が必要です。当院は無菌室を完備しており、安全に治療を受けることができます。同種移植については同大学附属枚方病院、あるいは他の移植病院に紹介しています。

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注:記載内容や医師情報は掲載時点のものです。 詳しくは担当診療科にご確認ください。


血液腫瘍内科 教授石井 一慶(いしい かずよし)

石井 一慶

専門分野:造血器腫瘍、造血幹細胞移植

認定資格:日本内科学会近畿支部評議員・総合内科専門医・認定医、日本血液学会評議員・近畿血液学評議員・指導医・専門医、日本造血細胞移植学会評議員・造血細胞移植認定医、日本輸血細胞治療学会近畿支部評議員・認定医・細胞治療認定管理師、日本サイトメトリー学会評議員、日本臨床腫瘍学会暫定指導医、日本がん治療認定医機構暫定教育医・認定医 日本感染症学会ICD 日本医師会産業医 日本骨髄移バンク調整医師 アメリカ血液学会国際会員 アメリカ血液骨髄移植学会会員

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