日本では、食生活の欧米化(高脂肪、高タンパク、低食物繊維の食事)に関連し、大腸がんが急速に増加しています。喫煙、飲酒、高脂肪食・赤身肉摂取過多・肥満が大腸がん発生リスクを上げると考えられています。
消化管外科
准教授 徳原 克治
日本では、食生活の欧米化(高脂肪、高タンパク、低食物繊維の食事)に関連し、大腸がんが急速に増加しています。喫煙、飲酒、高脂肪食・赤身肉摂取過多・肥満が大腸がん発生リスクを上げると考えられています。
大腸がんは早期の状態ではほとんど症状はありませんが、進行すると血便、便が細くなる、腹痛、便秘と下痢を繰り返すなどの症状が現れます。腸の内腔が、がんにより狭くなると、嘔吐や便・おならが出なくなる腸閉塞症状で発見されることもあります。
大腸がんの検診として便に含まれる微量の血液を調べる便潜血検査が行われています。便潜血検査が陽性や腹部症状がある場合に、大腸内視鏡検査を行います。がんと診断された場合、全身への拡がり(転移)を確認する目的で、CTやMRI検査を行い、これによりがんのステージ(病期)を把握し、ステージに見合った治療を行います。
早期の大腸がんでは内視鏡的に切除が可能な場合があり、その場合は、内視鏡下に切除(粘膜切除術・粘膜下層剥離術)を行います。しかしある程度がんが進行してしまうと、外科手術が必要となります。当センターでは内視鏡外科学会技術認定医のもと、約85%の患者さんに腹腔鏡下手術を実施しています。腹腔鏡下手術は腹部に4,5か所0.5~1cmの穴をあけ、これより腹腔鏡(カメラ)、手術器具を挿入し、患部を切除する方法です。患部は臍の創を約3-5cmに延長し、体外に摘出します。創が小さく、回復が早いため術後約7日目に退院することが可能です。また肛門に近い直腸がんや肛門管がんに対しては、肛門ごと取り去る手術(直腸切断術)が必要となる場合がありますが、術式の進歩(超低位前方切除術、括約筋間直腸切除術)および術前化学療法の導入(術前抗がん剤治療を行うことにより腫瘍を小さくする)により、肛門を残す手術が施行できる患者さんが増えてきています。また人工肛門をつけなくてはならない場合も、装具の進歩により管理はしやすくなってきています。
腹腔鏡手術の創部
開腹手術の創部
腹腔鏡手術(直腸切除)
腹腔鏡手術(直腸切除後骨盤)
がんが他の臓器に転移していて根治手術が不可能な場合は、全身化学療法(抗がん剤治療)を実施しています。全身化学療法がよく効いた場合、根治切除可能となる場合があります。その他、がんによる痛み軽減のために、放射線療法や疼痛緩和ケアも積極的に実施しています。
注:記載内容や医師情報は掲載時点のものです。 詳しくは担当診療科にご確認ください。