病気の辞典 vol.019(2017/08/14)糖尿病

循環器腎内分泌代謝内科
講師 野村 惠巳子

糖尿病



糖尿病とは

血液中のブドウ糖(血糖)が正常より高くなり、その状態が続いてしまう病気です。これは、すい臓から分泌される“インスリン”という血糖を下げることができる唯一のホルモンの分泌が不足したり、働きが悪くなることが原因でおこります。すると慢性的に高血糖の状態が続き、さらに様々な合併症を引き起こします。合併症としては、糖尿病神経症、糖尿病網膜症(進行すると失明)、糖尿病腎症(進行すると透析が必要)が有名ですが、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患や免疫力の低下、足壊疽(下肢切断が必要な場合もあります)、歯周病、癌などの病気も起こりやすくなります。
糖尿病には原因によっていくつかの種類があります。もっとも多いのは2型糖尿病です。その他に、1型糖尿病、膵臓や肝臓の病気、お薬、感染症などによって糖尿病になることもあります。また妊娠糖尿病といわれる妊娠によって引き起こされる糖代謝異常があります。これは糖尿病には至っていませんが、母体や胎児・新生児への影響を考えて適切な治療や管理をする必要があります。
 

  1型糖尿病  2型糖尿病
患者さんの割合  5%以下  90%以上
主な発症年齢  若年(25歳以下)が多い  中年以降が多い
主な誘因  ウィルス感染など  過食、肥満、運動不足、ストレス不足など
症状  のどの渇き、多飲、多尿  無症状のことが多い
体系  やせ型が多い  肥満型が多い
治療方法  インスリン注射が不可欠  食事療法と運動療法が基本。飲み薬(経口薬)やインスリン注射を併用する場合も多い。


症状

初期にはほとんど自覚症状がありません!

血糖値が高い状態が持続すると、次のような症状が現れます。
 *のどが渇く(口渇)
 *水をよく飲む(多飲)
 *尿の量が多くなる(多尿)
 *疲れやすい、だるい
 *よく食べるわりに体重が減る
 



検査

①血糖値
 血液中のブドウ糖の濃度です。健康な人は100㎎/dl前後に維持されています。
②ヘモグロビンA1c(HbA1c)
 過去1~2ヶ月間の血糖値の平均と関係します。
合併症を防いだり、進行を抑えるには7.0%未満にすることが大切です。
③C-ペプチド
 血中または尿中の量を調べます。すい臓からのインスリンの分泌状況を知ることができます。

 



治療

糖尿病の治療は、合併症の発症・進行を予防するために高血糖を是正することが基本となります。
2型糖尿病の血糖コントロールの手段は、基本は食事療法と運動療法であり、それでも不十分な時に薬物療法(飲み薬、インスリン注射など)を考えます。
 

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注:記載内容や医師情報は掲載時点のものです。 詳しくは担当診療科にご確認ください。


循環器腎内分泌代謝内科 講師野村 惠巳子(のむら えみこ)

野村 惠巳子

専門分野:糖尿病、内分泌

認定資格:日本内科学会認定医、日本糖尿病学会指導医、日本甲状腺学会専門医、日本医師会認定産業医

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