パーキンソン病は、動作緩慢、振戦(振え)、歩行障害などによって日常生活動作が障害される疾患です。年齢が進むにつれて発症率が上昇する疾患で、治療をしないと進行性の経過をたどります。65歳以上では100人に1人が罹患していると報告されていますが、実際にはもっと多くの方が未診断のまま見逃されている可能性があります。
神経内科
教授 近藤 誉之
パーキンソン病は、動作緩慢、振戦(振え)、歩行障害などによって日常生活動作が障害される疾患です。年齢が進むにつれて発症率が上昇する疾患で、治療をしないと進行性の経過をたどります。65歳以上では100人に1人が罹患していると報告されていますが、実際にはもっと多くの方が未診断のまま見逃されている可能性があります。
1. 運動症状
最初に気付きやすい運動症状は上肢や下肢、顎などに認められる振えです。安静時振戦と言われますが、緊張したり、歩行している時に現れやすい特徴があります。パーキンソン病の診断のきっかけになりやすい症状ですが、振戦のない患者さんも相当数いることにも注意が必要です。動作緩慢、動作の開始困難、動きが小さくなるといった症状は無動または寡動と言われる中核症状です。筋強剛(または固縮)は他動的に患者の関節を動かした時に感じるカクカクっとした抵抗のことで診断に重要な診察所見です。身体が前後左右に傾いた時に立ち直りができなくなる姿勢反射障害は中期以降に現れます。寡動の症状としてすくみ足(足がすくんで一歩目がなかなかでない)やすり足、姿勢反射障害の関与する突進歩行などの歩行障害は進行期の大きな問題です。
2. 非運動症状
パーキンソン病では便秘、昼間の眠気、うつ、REM(rapid eye movement)睡眠異常、嗅覚障害などの特徴的な非運動症状を伴うことがあります。便秘はほぼ必発で、REM睡眠異常や嗅覚障害は診断の手がかりになることがあります。REM睡眠は通常は脳は活発に活動して目は動いているのに、そのほかの身体を動かす筋肉は弛緩して休息状態にある睡眠状態です。パーキンソン病の一部では、REM睡眠期に筋肉が弛緩しないために夢が行動化してしまいます。
パーキンソン病の多くの症状はドパミンという脳内伝達物質が不足しておこります。脳内でドパミンに変化するL-dopa製剤やドパミン受容体を刺激する薬剤などを中心にさまざまな治療薬があります。
注:記載内容や医師情報は掲載時点のものです。 詳しくは担当診療科にご確認ください。