成熟したリンパ球でのがん化です。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類されます。典型例はリンパ節が腫れてきますが、リンパ節以外の臓器に浸潤することも珍しくありません。
血液腫瘍内科
教授 石井 一慶
成熟したリンパ球でのがん化です。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類されます。典型例はリンパ節が腫れてきますが、リンパ節以外の臓器に浸潤することも珍しくありません。
・リンパ節腫脹
・高熱
・体重減少
・寝汗
最大径>1cmが複数個、あるいは最大径>3cmが1個でも出現すれば病的です。細菌によるリンパ節炎を合併していなければ、無痛性です。頸部リンパ節腫脹が最も自覚しやすいですが、耳下腺、顎下腺腫脹をきたすこともあります。典型例は表在、深部のリンパ節、あるいは扁桃、脾臓などのリンパ組織から発症します。しかしながら、非ホジキンリンパ腫では全身のあらゆる臓器から発症することも珍しくありません。高熱、体重減少、寝汗は全身症状の症候であり、B症状と称しますが、訴えがある患者さんは少数です。ホジキンリンパ腫ではB症状があると予後不良となります。
1.血液検査
・LDH高値
・IL-2レセプター高値(可溶性)
IL-2レセプターはリンパ球のT細胞機能を反映します。非ホジキンリンパ腫で高値となりますが、感染症、膠原病でもT細胞が活性化すれば容易に基準値 (~450 U/l) を超えますので注意が必要です。一方で、ホジキンリンパ腫、低悪性度リンパ腫(ろ胞性リンパ腫など)では必ずしもLDH、IL-2レセプターは上がりません。
2.リンパ節生検
確定診断するためには、リンパ節生検など臓器腫大を認めている病理組織検査が必須です。ホジキン細胞、リードステルンベルグ細胞を認めれば、ホジキンリンパ腫(古典的)と診断されます。大雑把に言えば、それ以外が非ホジキンリンパ腫となります。
非ホジキンリンパ腫ではび漫性大細胞型B細胞性リンパ腫が最も多くみられます。標準治療はリツキシマブ併用のCHOP療法となります。リツキシマブはCD20抗原に対するモノクローナル抗体です。CHOP療法はサイクロフォスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンから成る組み合わせ抗癌剤治療です。ホジキンリンパ腫ではABVD(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)療法が標準治療です。治療成績は長期生存が前者で60%、後者で70%と良好です。再発した場合、古典的ホジキンリンパ腫についてはCD30抗原に対するモノクローナル抗体であるブレンツキシマブ・ベドチンが有効です。また、ホジキン、非ホジキンリンパ腫ともに条件が許せば、自家幹細胞移植併用の大量化学療法(自家移植)が適応となります。
上記標準治療に加えて、再発した低悪性度リンパ腫(ろ胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫)に対し、イブリツモマブ・チウキセタン(®ゼバリン)療法も当院で可能です。ゼバリンは放射性物質を抱合したモノクローナル抗体であり、体内でその効果を発揮することにより強力な治療効果を示します。再発の可能性が高い高危険度群のリンパ腫では自家移植も初回治療として取り入れています。
注:記載内容や医師情報は掲載時点のものです。 詳しくは担当診療科にご確認ください。