概要

当科では乳がんを中心に乳腺に関わる病気全般を扱っています。乳がん検診から精密検査による診断、良・悪性疾患の治療、乳がんに対しては手術前後の化学・内分泌・分子標的治療、手術や放射線治療、さらに症例によってはマイクロ波焼灼術等を組み合わせ、集学的に治療を行っています。

次のような症状を扱っています

乳房の腫瘤や張り、痛み、痒み、乳房皮膚の発赤、乳頭分泌、乳頭・乳輪の変化(ただれ、変色)、脇の腫れ(腫瘤・リンパ節)などの症状を取り扱います。不安があれば一人で悩まず気軽にお越しください。また、他施設での診断や治療に不安があれば、セカンドオピニオン外来でご相談ください。

ページの先頭へ

閉じる

ごあいさつ

 乳がんは女性で最も多い悪性腫瘍です。その発生頻度は年々上昇し、40歳以上の日本人女性の9人に1人が患うとされています。当院では、治療においては常に患者様、ご家族様の立場に立って、小さな乳がんはより小さく綺麗に治し、大きな乳がん(時に切除不能)であっても、集学的治療により乳がんを小さくした後に根治切除を目指しています。

切除不能・転移・再発乳がんはその多くが治らないとされています。しかし、アジアや欧米では既に切除不能・転移・再発乳癌の根治を目指した治療の研究が積極的に進められています。当院でも患者様が希望されれば転移巣を含め、根治を目指した治療を積極的に提供しています。

診療科長 教授 岸本 昌浩

診療科紹介動画

閉じる

ページの先頭へ

特色・方針

〇 乳房再建(自家移植・インプラント)

早期乳がんにおいては、積極的に根治切除をおこなっています。小さな病変には乳房温存手術を、広範囲病変には患者様が希望されればブレストセンターの機能を活かし、形成外科と協力しながら乳房再建により整容性を追求しています。



〇 切除不能・転移・再発乳がんに対する、根治(cure)を目指した治療
 
切除不能・転移・再発乳がんは、これまでほとんどが治らないとされてきました(転移乳癌の5年生存率は41%;全がん協2012-14年データより)。比較的予後が良いとされるルミナルタイプ(ホルモン受容体陽性)乳がんでも、内分泌療法(±CDK4/6阻害薬)から治療を開始した場合、完全寛解率は0-6%です。
しかし別の研究では、転移性乳癌であっても治療により無病状態に到達した症例の予後は良く、5年生存率78%と報告されています(Cancer, Bishop AJ, 2015)。近年の基礎研究で、多くの乳がんは一方向的に悪性化し続けるのではなく、がんを取り巻く微小環境等によって、治療が効きやすくなったり悪くなったりと、常に変化していることが分かってきています。
そこで当院では患者様一人ひとりの全身状態を詳細に把握し、切除不能であっても、また転移や再発乳がんであっても、患者様が希望されれば、根治(cure)を目指した治療を積極的に提供しています。
その結果、2014年から2020年に私が治療を行った転移乳がん全42例(うち切除不能乳がん25例;60%を含む)において、34例(81%)の方が無病状態(disease free)に到達し得ました。また、そのうちの23例(55%)の方が今も無病状態を維持されています(観察期間2.1-8.3年、中央値3.5年、2022年12月現在)。
乳がんは働き盛り、子育て世代の女性に多い疾患です。当院ではいわゆる標準治療の他に、患者様が希望されれば、あきらめない積極的治療を選択肢の一つとして提案しています。
 





〇 頭皮冷却装置を用いた化学療法による脱毛予防

化学療法をおこなう際に最も多くの方が苦痛を感じるのが脱毛です。多くの点滴抗がん剤は副作用で脱毛が生じます。治療後は髪の毛が生え始めますが、人によっては長年生えムラが持続し、何年もウイッグを外せない方もおられます。
当院では希望される方には、PAXMAN頭皮冷却装置を用いた脱毛予防を併用しています。化学療法をおこなう際にキャップを被り、その中を-4℃の冷却液を循環させ、頭皮の温度を約19℃に冷却します。それにより化学療法による毛包へのダメージを抑え、脱毛を予防します。また、たとえ脱毛が生じたとしても、生えムラなく均一に早期の発毛が期待できます。
※おこなえる症例数に限りがあります。そのため、対応できない場合があります。脱毛予防効果には個人差があります。



 

担当している特殊外来

担当している最新治療

閉じる

ページの先頭へ

実績

診療実績(2022年度)

1日平均入院患者数4.1人
平均在院日数5.7日
1日平均外来患者数25.1人

疾患別患者数(2022年度)

乳がん手術件数90人
新規転移・再発乳がん患者数60人
化学療法延患者数1,342人
閉じる

ページの先頭へ

スタッフ

氏名 写真 職名 専門分野 認定資格
岸本 昌浩 岸本 昌浩 教授 乳腺 医学博士
日本乳癌学会指導医・専門医・認定医
日本外科学会専門医・認定医
検診マンモグラフィ読影認定医(評価AS)
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本乳癌学会評議員
近畿外科学会評議員
転移再発乳癌完全寛解症例(ABCCR)検討会代表世話人
坂口 五月 坂口 五月 病院助教 乳腺 検診マンモグラフィ読影認定医(A判定)
乳腺超音波認定読影医(A判定)
日本医師会認定産業医
緩和ケア講習会修了
宮田 真未 宮田 真未 病院助教 乳腺 日本外科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医(A判定)
乳腺超音波認定読影医
閉じる

ページの先頭へ

外来診療日程

診察は基本的にはすべて予約制です。 予約が無い場合には、大変お待たせする事があります。あらかじめご了承ください。

  • 要予約=要予約
  • 初診=初診担当医
  • 再診=再診担当医
  土(第2、4を除く)
午前 ローテーション
坂口 五月
ローテーション
岸本 昌浩
坂口 五月
岸本 昌浩
坂口 五月

午後

遺伝性腫瘍
(第2週のみ)
矢内 洋次
岸本 昌浩
坂口 五月
セカンドオピニオン
岸本 昌浩

閉じる

ページの先頭へ

お知らせ

患者のみなさんへ

胸のしこりにはいくつか種類があります。例えば「乳腺繊維腺腫(せんしゅ)」は、クリクリとした感触で、よく動くのが特徴です。通常は約3センチ以内で成長が止まります。「乳腺症」は、ホルモンのアンバランスによって起きる症状の総称で、月経前にしこり、張り、痛みなどを感じ、月経が始まると改善します。乳腺症の一形態である「のう胞」は、乳管(にゅうかん)が詰まり、液がたまったものです。「葉状(ようじょう)腫瘍(しゅよう)(良性)」は、2~3ヶ月で急激に大きくなるのが特徴です。もしこのような異常を感じたら勇気を出して、一刻も早く乳腺外科の門をくぐりましょう。もし乳がんといわれたら多くの乳がん患者さんは適切な治療を行うことで、治すことが可能です。乳がんは女性にできるがんのなかで最も多く、日本人女性の約20人に1人は乳がんになるといわれています。乳がんの治療において重要なのは、その女性に最も適した治療を行うことです。

乳がんになる危険因子としては
1.食生活の欧米化
2.40歳以上
3.初産年齢:30歳以上
4.子どもの少ない人
5.肥満(標準体重+20%以上)
6.独身の女性
7.閉経年齢:55歳以上
8.親戚に乳がんになった人がいる
などがあげられ、思い当たる要素があればぜひ乳がん検診をうけましょう。

医療関係のみなさんへ

1.3Dマンモグラフィは保険が適応されますか?
通常のマンモグラフィと同じ料金で検査が受けられます。
所要時間も通常とほとんど変わりありません。
安心してお受けください。

2.乳がん検診のクーポンを受け付けていますか?
予約制ですが、受け付けています。
ご予約の程お願いいたします。
3.検診マンモグラフィ(MMG)で石灰化があり検査が必要と指摘されました。どのような検査がありますか?
MMGで精査が必要な石灰化と判断した場合、当院ではステレオガイド下マンモトーム生検と呼ばれる、MMGを撮影しながら石灰化の位置を確認し組織を採取する検査が可能です。とくに当院では側臥位(横に寝ながら)で検査できますので安心して検査をうけることができます。

4.乳がんと診断されました。抗がん剤は必要でしょうか?
乳がんに対する治療は一人一人違います。病理学的検査に基づき、がんのサブタイプ分類(種類)を決定し、それにより治療戦略を決めていきますので、乳がんの患者様全員に抗がん剤が必要という訳ではありません。

5.手術の場合、どの位の入院期間になりますか?
局所麻酔での手術(腫瘤摘出術など)であれば日帰り、乳がんの治療であれば、4日間~7日間前後の期間を要します。乳房再建を行なった場合、2週間前後を要します。

6.再建手術は保険が効きますか?
自分の筋肉を用いる自家移植や、インプラント(シリコン)は保険で手術ができます。主治医の先生とよく相談して納得して治療を受けましょう。
閉じる