概要

当科は2013年に新設された診療科で全身の動脈、静脈、リンパ管の内科的、外科的治療を行っています。昨今の高齢化社会における動脈硬化症の増加によっておこる手足の血管の閉塞、狭窄(閉塞性動脈硬化症)や大動脈のこぶ(大動脈瘤)、また血管病のなかで一番多いとされている足の血管のミミズ腫れ(下肢静脈瘤)や突然の足のむくみ(深部静脈血栓症)などを中心に診療をしています。当科では血管病に関して予防、診断から薬での治療、手術、低侵襲な血管内治療まですべてにわたって行っています。

患者様ご紹介の目安
 

次のような症状を扱っています

歩くと足が張り痛んで歩けなくなる/足に傷ができて治らない/足の指先が黒くなり痛む/足の血管がミミズのように浮き出ている/立っていると足がだるくなる/こむら返り(足の「つり」)がひどい/片足だけが突然太く腫れ上がる/無症状だがおなかにドキドキするこぶが触る/透析シャントのトラブル

ページの先頭へ

閉じる

ごあいさつ

動脈硬化はがんと並んで現代の日本国民の死因の重要な疾患であるばかりか、生きている間も大変な思いをする病気であります。狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞と同じ理屈で足に血液を送る動脈にも動脈硬化が生じ、いろいろな症状が出現します。「ひとは血管とともに老いる」「足は動脈硬化の窓」などの言葉があるようにごく微細な足の症状が動脈硬化の早期発見の糸口になることがあります。同じ長生きするなら自分の足で歩きながら有意義な生活を送るようにしたいものです。また足に届いた血液を心臓に返す役割の静脈に異常が生じるとひどくはないけれど仕事や日常生活に支障のある問題が生じることがあります。我慢せず治せるものは治した方がいい場合があります。我が国では多くの病院が心臓血管外科でこのような病気を診療していますが、ほとんどの科が心臓専門です。関西医大総合医療センター血管外科では血管診療に特化したスペシャリストがおなかや足の血管病の治療はもちろんのこと、動脈硬化症にならずに全身健康で老後を暮らせるためのお手伝いをさせていただきます。

診療部長 教授 駒井 宏好

診療科紹介動画

閉じる

ページの先頭へ

特色・方針

当科は血管疾患のすべてを責任領域として軽症例から重症例まで分け隔てなく診療してまいります。「外科」とはいっても薬を使った保存的治療、健康科学センターと協力して行う監視下運動療法、低侵襲な血管内治療、重症例での切り札ともなる手術治療のいずれも行っております。すべてを網羅しているので患者様の病態、社会的背景などを考慮して最も適した手段を選ぶことができます。「一つの治療法で、自分の得意な方法のみで」治療するとかえって悪化することもあります。特に下肢閉塞性動脈硬化症は我々の得意としている分野で、診断から保存的治療、血管内治療、そして他院で下肢切断といわれた患者様も下肢救済ができうる下腿動脈バイパスまでさまざまな手段を用いて足を助け、命を助ける治療を心がけています。重症者では下肢切断にいたるまで、身内のつもりで寄り添います。逆に診察、検査後「何も病気がなくてよかったですね」と患者さんに安心してもらうことも重要な役目と考えています。その他腹部大動脈瘤では最新のステントグラフト治療、下肢静脈瘤ではカテーテルによる傷の少ない血管内焼灼術も積極的に行っています。関西では数少ない血管外科単独診療科として他病院ではできない血管病の治療を行っています。


トピックス     

下肢閉塞性動脈硬化症重症例の血行再建の方法と予後 

閉塞性動脈硬化症の最重症例である包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)は足の末端の傷が治らず下肢切断に至る可能性が高い状態です。身体に優しい血管内治療(カテーテル治療)による血行再建がもてはやされてきましたが、この度国際的な研究により、長期の予後はカテーテル治療よりもバイパス術のほうが有利であることが証明されました。我々の施設では以前より積極的にバイパス術を取り入れてきましたが、どうしても手術が乗り越えられない症例には血管内治療を、と使い分けを重視してきました。その結果、図のようにどちらの治療法でもよい結果を得ることができました。長年の経験より、患者さんに合った適切な方法での治療が奏功していると考えています。




透析患者のバイパス術 

透析患者は全身状態や血管の性状が悪く、バイパス術は危険で効果が少ない、と考えられがちですが、我々の施設での長期成績では透析例でも非透析例と変わらない、良い下肢切断回避率が得られています。カテーテル治療では太刀打ちできない症例でもいろいろな工夫を凝らしたバイパス術で足を救える患者さんが少なくありません。

           

関連している診療支援部門

担当している特殊外来

担当している最新治療

閉じる

ページの先頭へ

実績

診療実績(2022年度)

1日平均入院患者数8.3人
平均在院日数12.4日
1日平均外来患者数11.4人

手術実績(2022年度)

閉塞性動脈硬化症手術134件
 うち動脈バイパス術14件
 うち血管内治療120件
腹部大動脈瘤22件
 うちステントグラフト内挿術18件
胸部大動脈瘤1件
下肢静脈瘤35件
シャント手術136件
閉じる

ページの先頭へ

スタッフ

氏名 写真 職名 専門分野 認定資格
駒井 宏好 駒井 宏好 教授 閉塞性動脈硬化症(下腿動脈バイパス)、フットケア 外科認定医、専門医、指導医、心臓血管外科専門医、修練指導者、脈管専門医、下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医、外国医師等が行う臨床修練に係る医師法に基づく臨床修練指導医
深山 紀幸 深山 紀幸 講師 血管外科一般、ステントグラフト内挿術、血管内治療 外科専門医、脈管専門医、腹部ステントグラフト実施医・指導医、胸部ステントグラフト実施医・指導医、日本血管外科学会認定血管内治療医、心臓血管外科専門医
山本 暢子 山本 暢子 助教
血管外科一般 外科専門医、脈管専門医、腹部ステントグラフト実施医・指導医、日本血管外科学会認定血管内治療医、心臓血管外科専門医
大野 雅人 大野 雅人 助教 血管外科一般 外科専門医、腹部ステントグラフト実施医・指導医、胸部ステントグラフト実施医・指導医
北岡 由佳 北岡 由佳 病院助教 血管外科一般
閉じる

ページの先頭へ

外来診療日程

  • 要予約=要予約
  • 初診=初診担当医
  • 再診=再診担当医
  土(第2、4を除く)
午前 駒井 宏好
山本 暢子

駒井 宏好
深山 紀幸

大野 雅人

午後



北岡 由佳

閉じる

ページの先頭へ

お知らせ

患者のみなさんへ

次のような症状がある方はぜひ家庭医の先生にご相談いただき我々の病院に紹介していただければと思います。
1.ある一定距離、一定時間歩くと足が張り痛んで歩けなくなる、しかし少し休むとまた歩けるようになる。いつもこの症状が変わらない。(閉塞性動脈硬化症の可能性)
2.足の指先に傷ができて何ヶ月みてもらってもなおらない。(閉塞性動脈硬化症の可能性)
3.足の指先が黒くなり痛む。(閉塞性動脈硬化症の可能性)
4.足の血管がミミズのように浮き出ている。(静脈瘤の可能性)
5.立っているとすぐ足がだるくなり座りたくなる、こむら返り(足の「つり」)がひどい。(静脈瘤の可能性)
6.片足だけがある日突然見てすぐわかるほど太く腫れ上がる。(深部静脈血栓症の可能性)
7.不整脈がありある日突然足先に堪え難い痛みが生じ、色が悪くなる。(急性動脈閉塞の可能性)
8.無症状だがおへそのあたりにドキドキするこぶが触る。(大動脈瘤の可能性)
我々はもし治療の必要がない患者さんが来た場合、治療が必要なくてよかったですね、とご説明してお帰りいただくことを全く無駄とは思っておりません。家庭医の先生とよくご相談して遠慮なく受診下さい。但し患者さんが多いときはお待たせすることがありますのでそのことだけはご了解ください。

〇専門医制度と連携したデータベース事業について 病院医療の崩壊や医師の偏在が叫ばれ、多くの学会や団体が医療再建に向けて新たな提言を行っていますが、どのような場所でどのような医療が行われているかが把握されていない状況では、患者さん目線の良質な医療は提供できません。 そこで、日本では、関連する多くの臨床学会が連携し、わが国の医療の現状を把握するために、「一般社団法人National Clinical database」(以下、NCD)を立ち上げ、データベース事業を開始することになりました。 この法人における事業を通して、患者さんにより適切な医療を提供するための専門医の適正配置が検討できるだけでなく、最善の医療を提供するための各臨床現場の取り組みを支援することが可能となります。 何卒趣旨をご理解の上、ご協力賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
法人National Clinical database 代表理事 里美 進
https://www.ncd.or.jp/

◎「TAKE! ABI 2017 in KANSAI」開催報告
本年も動脈硬化症市民啓発イベント「TAKE! ABI 2017 in KANSAI」が10月1日に開催されました。無料検診412名、市民公開講座160名の参加を頂き無事終了しました。詳細はこちら➡TAKE!ABI2017報告書

医療関係のみなさんへ

1.血管外科の実績
 a.血管外科年報2013年
 b.血管外科年報2014年
 c.血管外科年報2015年
 d.血管外科年報2016年
 e.血管外科年報2017年
f.血管外科年報2018年
g.血管外科年報2019年
h.血管外科年報2020年
.血管外科年報2021年


2.出張手術指導、講演、症例相談

我々は日々血管外科の発展を願っています。当院のみならず日本のあらゆる医療施設で適切に血管診療が行われなければならない、そのために貢献できるなら我々の持っている知識や技術を出し惜しみすることなく伝えていきたいと思っています。日々の診療でお困りの医療機関の方々がいらっしゃれば、出張、電話相談、講演などいろんな形でお力になれればと考えています。

ぜひ、ご遠慮なくメールでお問い合わせください。
 

vascsurg@takii.kmu.ac.jp   担当:駒井宏好


3.北河内連携フットスキャン
 a.北河内連携フットスキャン参加施設募集について
 b.実施要項 
 c.申込書
 d.フットケアアセスメントシート 手引書 
 e.フットケアアセスメントシート
 f.北河内連携フットスキャン研究会ご案内

4.血管外科に興味のある医師、医学生のかたへ <研修のご案内>
当科は関西医科大学外科学講座のなかの一診療科として診療・教育・研究に携わっています。血管外科、血管診療に興味のある先生はぜひ一度我々の病院に見学に来てください。日常の診療のようす、手術や血管内治療、病院の設備、診療システムなどを見ていただき、ここで勉強したい、と思われる方は遠慮なくご相談ください。短期見学、長期国内研修、専門医取得のための研修、入局、関連病院出向など様々な形で先生方の血管病診療の研修にお役立ていただけるよう考慮いたします。また血管外科をやっていくうえで必要な資格(外科専門医、脈管専門医、心臓血管外科専門医など)は当科に所属していても外科学講座、関連各科と連携して取得できるようにしております。我こそは、と思われる方はぜひご連絡ください。
連絡先:関西医大総合医療センター 血管外科 駒井宏好
Email: komaihir@takii.kmu.ac.jp

5.透析施設関係者のみなさまへ(下肢末梢動脈疾患指導管理加算に係る連携について)
先日発表されました平成28年医科診療報酬改定の厚生労働省公示によりますと新たに下肢末梢動脈指導管理加算が新設され「人工腎臓を実施している患者に係る下肢末梢動脈疾患の重症度等を評価し、療養上必要な指導管理を行った場合には、下肢末梢動脈疾患指導管理加算として、月1回を限度として所定点数に100点を加算する。」となっております。この点数加算の要件として施設基準を定めておりその項目として「(足病変の可能性のある患者を発見した場合は)専門的な治療体制を有している医療機関へ紹介を行っていること」「専門的な治療体制を有している医療機関をあらかじめ定めたうえで、当該医療機関について事前に届け出を行っていること」「当該医療機関について、院内掲示をすること」があります。
当科は2013年の新設以来一貫して閉塞性動脈硬化症の治療を主体に診療を続けております。年間約90例以上の動脈疾患手術、30例以上の血管内治療に加え保存的治療、監視下運動療法、創傷治療などを集学的に行ってきております。また循環器内科、心臓外科、腎臓内科、整形外科、形成外科、皮膚科、リハビリテーション科、放射線科などとも深い連携を築いております。また閉塞性動脈硬化症患者の足のみではなく全身の動脈硬化症のスクリーニングや看護師によるフットケアシステム、およびその地域版としての連携システムなどを確立してきております。
今回の診療報酬改定でこのような透析患者のフットケアに点数が新設されたことは我々の行ってきた「閉塞性動脈硬化症の足を守り命を守る」治療に大きな追い風となると期待しております。そこで透析患者の足病変の「受け皿」として本要件に定められた連携専門医療機関として広く透析施設からのご要望にお応えしようと準備しております。もし足病変の専門医療機関として当院との連携をお考えの医療機関の先生方はどうぞご遠慮なく我々にご相談ください。可能な限りお受けするつもりでおります。


お問い合わせ、申し込み先:
関西医科大学総合医療センター 地域医療連携部 近記
 または 血管外科 駒井(内線PHS 41701)


ぜひ皆様の医療機関の透析患者の足を大切断から救い、生命予後、QOLを改善するという大事業に我々との連携をお選びいただきたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 

5.「第五回関西血管外科基本手技ビデオセミナー」のご案内
来たる平成31年1月19日に恒例の関西血管外科基本手技ビデオセミナーを行います。
併施して14時よりVascular Surgery Expert Meetingも行いますので合わせてご参加ください。
詳細はこちら⇒ KVVS2019 1st
募集要項はこちら⇒募集要項
第三回関西血管外科基本手技ビデオセミナー⇒ 報告書
第二回関西血管外科基本手技ビデオセミナー⇒報告書

閉じる