概要

関西医科大学総合医療センター小児科では、子どもたちのプライマリ・ケアや発達の相談から、大阪の近隣の近畿の子どもたちの心身症や発達障害などの専門的指導と治療を行う成育医療を目指しています。地域のさまざまな子どもたちに対して、身体面だけではなく、心身面からみた全人的な医療を実践し、教育や行政と連携しながら、じっくり関わっていきたいと考えています。

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次のような症状を扱っています

頭痛/立ちくらみ/腹痛/朝起き不良/不登校/便秘/下痢/言葉の遅れ/落ち着きがない

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ごあいさつ

関西医科大学総合医療センター小児科では、15歳未満の子どもの心身症、発達障害を中心に子どもの全人的医療に取り組んでいます。新型コロナウイルス感染症の拡大により、子どもたちの生活が大きく様変わりし、不登校、引きこもり、肥満や痩せの子ども達が増加しました。当院ではこれらの問題に対して、医師、看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、心理職、院内学級の教員が協力し、子どもを支援しています。院内学級については、小・中学校の学齢期の患者様は併設の院内学級(刀根山支援学校滝井分教室)で勉強しながら、入院中の他の患者さんたちや医療スタッフと交流する経験を培っています。医師だけでは対応できない課題についても、コメディカルスタッフや学校の先生の支援を受けながら、子どもたちを支えていきたいと思います。

今年度は精神神経科と協力して、"こころと育ちの支援センター"がスタートしました。ペアレントトレーニングや療育相談を行い、さらに支援を充実させます。また、臨床研究として、起立性調節障害の子どもたちに対する運動療法、水分摂取の有用性を検討し、新たな治療としての有効法の確立を目指しています。

 

また後進の育成として、当科は日本小児科学会のほか、日本小児心身医学会、日本心身医学会、子どものこころ専門医機構の研修施設となっています。大阪の近隣のみならず、全国からの研修希望者があります。

 

診療部長 教授 石崎 優子

診療科紹介動画

入院での特色

当院の入院の特徴は、心身症(起立性調節障害、過敏性腸症候群、不登校)を積極的に受け入れていることです。病棟には院内学級が併設され、長期間(2週間以上)の入院の場合にも学習の時間を保証しています。コメディカルスタッフや当院精神科との定期的なカンファレンスも実施しており、他の専門領域のスタッフとも意見を交換しながら、よりよい医療を目指しています。
 
なお小児科は、閉鎖病棟ではなく、自傷他害行為のある児童精神科疾患の入院はできません。
 
外来面での特色

外来は初診時15歳未満の患者に対応しており、予約が原則となります。
主要な対象疾患は以下の通り、起立性調節障害、過敏性腸症候群、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム症候群等です。
 
 
特殊な検査:
起立性調節障害の起立試験に関しては、1泊もしくは2泊の入院で、翌早朝のベッドサイドでの試験により、子どもが家庭で朝起きるときと同じような状況での起立試験を目指します。外来での起立試験は、通常の検査に加えてヘッドアップチルト試験を実施しています。
 
発達・心理テストは、自費診療・予約制で実施しています。
血液検査、X線検査、脳波、MRI、CTなどは適宜、保険診療で実施します。
 
 
専門医の習得:
常勤スタッフは部長以下それぞれの専門分野の医師が後期研修医や、初期研修医の指導に当たっています。当施設で習得できる専門医は日本小児科学会認定小児科専門医、日本小児心身医学会認定医、日本小児心身医学会認定医、子どものこころ専門医機構「子どものこころ専門医」です。制度により異なりますが、後期研修3年から5年でそれぞれの専門医の資格が習得できます。
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特色・方針

入院での特色:
当院の入院の特徴は、心身症(起立性調節障害、過敏性腸症候群、不登校)を積極的に受け入れていることです。病棟には院内学級が併設され、長期間(2週間以上)の入院の場合にも学習の時間を保証しています。コメディカルスタッフや当院精神科との定期的なカンファレンスも実施しており、他の専門領域のスタッフとも意見を交換しながら、よりよい医療を目指しています。
なお小児科は、閉鎖病棟ではなく、自傷他害行為のある児童精神科疾患の入院はできません。
 
 
外来面での特色:
外来は初診時15歳未満の患者に対応しており、予約が原則となります。
主要な対象疾患は以下の通り、起立性調節障害、過敏性腸症候群、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム症候群等です。
 
特殊な検査:
起立性調節障害の起立試験に関しては、1泊もしくは2泊の入院で、翌早朝のベッドサイドでの試験により、子どもが家庭で朝起きるときと同じような状況での起立試験を目指します。外来での起立試験は、通常の検査に加えてヘッドアップチルト試験を実施しています。
発達・心理テストは、自費診療・予約制で実施しています。
血液検査、X線検査、脳波、MRI、CTなどは適宜、保険診療で実施します。
 
専門医の習得:
常勤スタッフは部長以下それぞれの専門分野の医師が後期研修医や、初期研修医の指導に当たっています。当施設で習得できる専門医は日本小児科学会認定小児科専門医、日本小児心身医学会認定医、日本小児心身医学会認定医、子どものこころ専門医機構「子どものこころ専門医」です。制度により異なりますが、後期研修3年から5年でそれぞれの専門医の資格が習得できます。
 
 

トピックス                                

起立性調節障害について

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation: OD)は自律神経の失調によって起立時の循環動態の変化に対する調節機能がうまく働かず、脳血流が低下する疾患です。その結果、たちくらみ、起床困難、嘔気、食欲不振、全身倦怠感、頭痛、腹痛など多彩な症状を呈します。症状は午前中に強く出現し、午後から夜にかけて軽快します。身長の伸びや二次性徴の出現など、身体の成長が著しい学童・思春期に好発します。もともと発症しやすい素因、精神的なストレス、寝たきりなどによる活動量低下、急激な体重減少などが発症の原因となります。診断は起立試験を用い、他の身体疾患が否定され、起立試験で基準を満たす血圧の低下、心拍数の上昇があればODと診断されます。
生命予後は良好ですが症状は年単位にわたって続くことがあり、長期間にわたって症状とつきあっていく必要があります。また、学童・思春期に発症するODはその症状のために不登校を引き起こします。このため、ODは身体治療のみならず、不登校などに対する心理・社会的な治療も要することがあります。


日本小児心身医学会編集 小児心身医学会ガイドライン集 日常診療に活かす5つのガイドライン 改訂第2版 南江堂(東京) 2015 p47より転載



起立性調節障害に対する水分摂取の有効性

海外のHeart Rhythm SocietyによるExpert consensus)では、水分摂取と運動は、薬物療法よりもエビデンスレベルが高く、薬物療法より水分摂取と運動療法を高く推奨されています。そして、水分摂取が800mL/日の小児はODの発症リスクが4倍になるとの報告があります。
ODのメインの病態は「脳血流の低下」であり、起立時に顕著になります。脳血流改善のためには循環血漿量の増加が必要であり、水分摂取は循環血漿量を増加させる有効かつ簡便な方法です。ODの病態をペットモデルで示すと動画のようになります。薬物療法(昇圧薬)は「ペットボトルを外から押すだけ」の役割であり、中の水の量が少ないと、どれだけ外から強く押しても、蓋の部分(頭部・脳)に水が上がりません。これは循環血漿量が少ないと、どれだけ強く昇圧しても脳血流は増加しないことを示しています。そのため、循環血漿量の増加(水分摂取or生理食塩水点滴)はODの治療では最優先事項となります。
本邦におけるOD診療ガイドラインでは体重40kg以上の小児は2L/日、40kg未満では1.5L/日以上の水分摂取が推奨されています。一方で海外の論文では男児 3-3.5L/日、女児2.5-3.0L/日の水分摂取が推奨されています。尿の色が透明であることは、水分摂取が良好である目安となります。
 
水分が足りているとき

水分が足りないとき
 



起立性調節障害の運動療法
 
海外のHeart Rhythm SocietyによるExpert consensus)では、水分摂取と運動は、薬物療法よりもエビデンスレベルが高く、薬物療法より水分摂取と運動療法を高く推奨されています。そして海外の論文ではOD児に推奨される具体的な運動療法として、1)運動負荷量の決定は心肺機能試験により心拍数を指標とした最高酸素摂取量70%程度の負荷、2)臥位もしくは半臥位から開始、3)構成はウォームアップ、運動、クールダウンの三相、4)運動耐性が上がれば、運動強度・時間を上げるとしています。つまりはリカンベントバイク等を用いた下肢の運動を臥位もしくは半臥位で開始し、徐々に運動強度を上げていくことが望ましということです。
関西医科大学総合医療センター小児科ではベッド上の臥位から始められるOD児の運動療法と機器開発に取り組んでおり、ベッド上臥位でエルゴメーター運動を開始し、運動にかかる負荷と臥位から半臥位へと体位をかえて行きます。




 

関連している診療支援部門

担当している特殊外来

担当している最新治療

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実績

診療実績(2022年度)

1日平均入院患者数7.4人
平均在院日数20.0日
1日平均外来患者数28.8人

主要疾患(2021年)

起立性調節障害155件
自閉症スペクトラム障害135件
注意欠陥多動障害47件
過敏性腸症候群45件
摂食障害20件

検査実績(2021年)

発達検査年間339件
head up tilt試験年間87例
脳波検査年間29件

その他先進医療等(2021年)

発達支援外来のべ922人
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スタッフ

氏名 写真 職名 専門分野 認定資格
石崎 優子 石崎 優子 教授 小児心身症
発達障害
日本小児科学会専門医
日本心身医学会指導医
日本小児心身医学会認定医・指導医
日本小児科医会認定「こどものこころの相談医」
柳本 嘉時 柳本 嘉時 講師 小児心身症
発達障害
日本小児科学会専門医 日本小児心身医学会認定医 日本小児科医会認定「こどものこころの相談医」
田中 幸代 田中 幸代 病院助教 小児心身症
発達障害
腎・夜尿症
アレルギー
日本小児科学会専門医
日本腎臓病学会専門医
吉田 龍平 吉田 龍平 病院助教 心身症、発達障害、アレルギー 日本小児科学会専門医
寺嶋 駿輝 寺嶋 駿輝 病院助教
長尾 靖子 長尾 靖子 非常勤 小児疾患全般
自閉症スペクトラム
日本小児科学会専門医    
鈴木 貴美 鈴木 貴美 非常勤 日本小児科学会専門医
藤井 由里 藤井 由里 非常勤 小児心身症・発達障害 日本小児科学会専門医 、
日本小児科医会「子どもの心相談医」
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外来診療日程

小児科

  • 要予約=要予約
  • 初診=初診担当医
  • 再診=再診担当医
  土(第2、4を除く)
午前 一般
ローテーション
心身症
石崎 優子

一般
田中 幸代(第3週以外)
起立性調節障害フォロー
藤井 由里
神経
藤代 定志(第3週)
一般
田中 幸代
心身症
柳夲 嘉時


一般
田中 幸代
(第1・3・5週)
発達診断
長尾 靖子
心身症
石崎 優子
(第1・3・5週)
内分泌
見浪 実紀
(第3週)
一般
ローテーション
心身症
石崎 優子
一般
ローテーション
午後 循環器
堀 真一郎
(第2・4週)
発達支援
石崎 優子
(第1週)
心身症
柳夲 嘉時
心身症
柳夲 嘉時
心身症
石崎 優子
(第1・3・5週)
発達診断
長尾 靖子
乳児健診
鈴木 貴美
心身症
石崎 優子
腎アレルギー心身症
田中 幸代

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お知らせ

患者のみなさんへ

※初診で発達検査・各種手帳申請書作成は行っておりません。

医療関係のみなさんへ

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