心療内科は、身体の病気のある患者さんの病状にストレスやその他の心理的なことがらや生活環境などの社会的なことがらが関連している場合、身体に対する診療に加えて、心にも配慮した診療を行う診療科です。
身体の悲鳴である症状には、自分では気付くことのできない心の問題や生活上の出来事が深く関与することが多いものです。このため、胃潰瘍、過敏性腸症候群や気管支喘息といった病名がついている場合はもちろん、他の専門科ではっきりした診断名がつかない、または治療によってもなかなかよくならない腹痛、頭痛、しびれやめまいといった身体症状の患者さんも、体とこころの両方から診る心療内科で解決法が見つかることがあります。
私たちは身体とこころの関係を診る専門家として、患者さん自身が、身体とこころの関係に気付き、症状を自己コントロールできるようにお手伝させていただきます。
【心療内科学講座HPはこちら】
関西医大心療内科を受診される患者さんのうち、どのような病気や症状の方が多いかまとめました。心療内科は横断的な科なので、各科からの紹介受診があります。
1. 消化器疾患:FD(Functional dyspepsia;機能性胃腸症)、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、慢性膵炎、食道アカラシア、びまん性食道けいれん、難治性・再発性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍など
2. 慢性疼痛: 腹痛、頭痛、腰痛、胸痛などの慢性に続く各科の痛み
3. アレルギー疾患:難治性気管支喘息、アトピー性皮膚炎、慢性じんましん
4. 循環器疾患:原因不明の胸痛や動悸、動揺性高血圧、発作性頻拍、ストレスが関与する虚血性心疾患
5. 内分泌疾患:コントロールの難しい糖尿病、甲状腺機能亢進症、肥満症
6. 神経疾患:片頭痛、緊張型頭痛、痙性斜頚、書痙、めまい症など
診療部長 病院長 岩坂 壽二
心身症の定義は「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」(日本心身医学会、1991年)となっています。
ここで器質的というのは、がんや潰瘍、炎症など現在の医学的検査で異常が認められる病気です。機能的というのは、過敏性腸症候群、びまん性食道けいれん、片頭痛など、器質的検査では異常を認めませんが、明らかに一つの器官の働き(機能的)の乱れによって起こる病気のことをいいます。うつ病や神経症、不眠症などは精神科が専門医であるということを理解しておいてください。心療内科は不定愁訴や心因性(私たちは心因性という言葉を絶対に使いません)の病気を診る科なのではありません。
心療内科の一般的な治療(自律訓練法、行動療法、認知行動療法、システムズアプローチ、薬物療法ほか)とは別に、次のような治療法を用いる(主に入院にて)のが特色です。
1.バイオフィードバック
2.絶食療法
3.自律訓練法などのリラクセーション
4.箱庭療法などの心理療法