消化器肝臓内科は、消化管(食道・胃・腸)・肝・胆・膵領域等の疾患を対象にする診療部門です。患者さんに「安らぎ」を得て頂けるよう、専門性を発揮しつつ全人的診療にあたることをモットーに、常に患者さんにより良い医療を提供できるように努めています。
【内科学第三講座HPはこちら】悪心/嘔吐/胸やけ/吃逆/口臭(呼気臭)/食欲不振/胃部不快感/嚥下困難/腹痛/腹部膨満/腹鳴/排ガス/下痢/便秘/背部痛/吐血/下血/血便/黄疸
消化器肝臓内科は、食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆囊/胆道・膵臓疾患などの多岐にわたる領域の消化器疾患に対して各専門医が中心となり消化管・肝臓・胆膵の3つの分野に分かれて診療を行っています。当科受診のきっかけとなる腹痛、嘔吐、下痢、便秘などの腹部症状の背景には癌を含めて様々な病気が存在します。癌については、日本人の2人に1人が罹患し、3人に1人が死亡している現状です。特に、癌死亡数の上位5疾患のうち4つを消化器領域の癌(胃、大腸、肝臓、膵)が占めています。しかし、消化管(食道・胃・大腸)の癌は早期に発見されれば手術を行わず内視鏡的切除で根治が可能であり、当科では内視鏡検査による早期発見と低侵襲な内視鏡治療に取り組んでいます。
また、胃癌、肝臓癌の発症予防を目指して、ピロリ菌陽性の慢性胃炎に対する除菌治療や、B型・C型肝炎ウイルス感染に対する経口抗ウイルス薬治療を行っています。近年、食事を含めた生活環境の変化により、逆流性食道炎、機能性ディスペプシアや過敏腸症候群などの機能性消化管障害、潰瘍性大腸炎やクローン病を含む炎症性腸疾患、過食・肥満に関連した非アルコール性肝疾患などが増加の一途をたどっています。当科では、これらの疾患に対しても最新の知見に基づく薬物療法を行いながら、個々人に適した生活指導も併せて行っています。
さらに、「暗黒の大陸」といわれて診断が困難であった小腸においてもバルーン式内視鏡やカプセル内視鏡の登場により、数多くの小腸病変が発見されるようになってきました。当科ではダブルバルーン内視鏡・カプセル内視鏡を導入して今まで診断・治療が困難であった小腸疾患の診療にも力を入れています。
最近マスコミ等でも注目を浴びている膵臓癌・胆道癌は、罹患率が年々増加傾向にあり、死亡率も増加の一途をたどっており、まさに難治癌の代表です。このような難治癌の克服は大学病院の重要な役割であり、当科では内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡(EUS)を用いた診断・治療を積極的に行っており、新規内視鏡治療であるダブルバルーン内視鏡を用いたERCP(DB-ERCP)やEUSを用いたinterventionなど難易度の高い高度先進内視鏡治療も数多く行っています。特に術後再建腸管を有する胆膵疾患症例に対するDB-ERCPは全国的にも有数の症例数を誇っており、高い成功率を実現しています。
今後も地域の中核病院として、外科や放射線科など他の診療科と提携しつつ、患者様の立場に立って安心できる最良の医療を提供していきたいと考えております。
診療部長 教授 島谷 昌明
A:消化管部門
2016年5月1日内視鏡センターの開設に伴い設備・機器が更新され、快適な環境で内視鏡検査・治療を受けていただけるようになりました。また、内視鏡専門医・指導医が中心となり、先進的な治療にも積極的に取り組んでおり、多施設共同臨床研究にも多数参加しています。
1:上部消化管(食道・胃・十二指腸)疾患の診断には、通常の経口内視鏡による検査に加えて、鎮静薬の使用や経鼻内視鏡を用いて苦痛の少ない検査を心がけています。食道癌や胃癌のリスクの高い患者さんには、内視鏡検査時に通常光観察に加えて拡大観察や特殊光(NBI)観察を行い癌の早期発見に努めています。早期の食道癌や胃癌に対して超音波内視鏡による深達度評価を行い、低侵襲治療である粘膜切除術(EMR)や粘膜切開剥離術(ESD)などの内視鏡的治療は基より、十二指腸腫瘍に対する内視鏡的治療として、underwater EMRなどの先進的治療にも積極的に取り組んでいます。
2:胃十二指腸潰瘍の再発予防や悪性胃リンパ腫に対する非外科的治療法としてヘリコバクターピロリの除菌療法を施行しています。胃十二指腸潰瘍などの消化管出血や食道静脈瘤に対する内視鏡的治療も積極的に行っており、経口摂取困難な症例には胃瘻造設も行っています。
3:小腸疾患に対しては、X線透視、CTなどの検査に加えて、カプセル内視鏡による診断を行っています。原因不明の消化管出血を始め、クローン病などの炎症性腸疾患に対してもパテンシーカプセルを用いて通過性を確認後に安全にカプセル内視鏡を行っています。また、日本カプセル内視鏡学会認定専門医・指導医により読影を行っており、より正確な診断に努めています。また、2020年12月より小腸内視鏡(ダブルバルーン内視鏡)を導入し、経験豊富な医師による小腸内視鏡検査を受けて頂けるようになりました。カプセル内視鏡により小腸疾患が発見された場合には、引き続きダブルバルーン小腸内視鏡を用いた内視鏡的治療(止血術や拡張術など)を行っています。
4:大腸腫瘍に対して、内視鏡による早期診断とポリープ・早期癌に対する粘膜切除術(EMR)や粘膜切開剥離術(ESD)などの内視鏡的治療に精力を注いでいます。また、手術可能な進行癌に対しては消化管外科と連携して手術までの待機期間のマネージメント(ステント留置術など)を行い、手術不能な進行癌に対しては化学療法や地域医療と連携を行いながら緩和医療への移行サポートも行っています。
5:潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患に対して、内視鏡診断・治療を行い、栄養療法をはじめ、免疫調整剤(アザチオプリンやタクロリムス)、抗TNFα抗体製剤(レミケード・ヒュミラ・シンポニー)、さらに新規治療(ステラーラ・エンタイビオ・ゼルヤンツ)についても積極的に取り組んでいます。また、消化管狭窄に対する拡張術やステント留置などの治療も行っています。
B:肝臓部門
当院は2008年7月に大阪府肝疾患診療連携拠点病院(府内5施設)に指定され、それに伴い肝臓病センターが2009年3月に開設されました。肝炎の総合対策を盛り込んだ肝炎対策基本法が2009年12月30日に成立し、肝疾患診療は新たな局面を迎えています。当科は肝臓病センターの中心的役割を果たしており、急性肝炎(劇症肝炎)・慢性肝炎・肝硬変・肝癌、薬物性肝障害、アルコール性肝障害、難治性の肝臓病である自己免疫性肝炎・原発性胆汁性肝硬変症、さらに生活習慣病に関連した脂肪肝・脂肪性肝炎など様々な肝疾患に対して関連各科と協力し高度で先進的な医療を実践しています。
1:慢性肝炎(B、C型ウイルス性肝炎)に対しては、肝生検に基づいた病期診断を行い、最新の抗ウイルス薬を用いた治療を提供しています。
2:肝癌(肝細胞癌、転移性肝癌)に対しては、各種画像診断、腫瘍生検により早期診断に努め、放射線科協力のもと血管造影下のCT検査を駆使し、マイクロ波、ラジオ波など医療工学機器を用いた最先端局所治療と肝動脈塞栓療法などを用いた集学的治療を実践しています。高度進行肝癌に対しては、分子標的薬を用いた全身化学療法、リザーバーによる抗がん剤動注治療や放射線照射療法などを行っています。
3:劇症肝炎など肝不全に対し、救命救急センター、透析センターの協力のもと、血液浄化療法を中心に最高水準の集学的治療を提供し救命率向上に努めています。
4:肝移植に関しては、近畿圏の移植外科との連携を基に、肝移植の窓口となるべく、積極的に取り組んでいます。
C:胆膵部門
当院では、全国的にも珍しい胆膵疾患センターが2020年3月に設立されました。当科は胆膵疾患センターの中心的な役割を果たしており、胆管結石症、胆嚢・胆管炎、閉塞性黄疸、胆道癌、急性・慢性膵炎、膵癌に代表される胆膵疾患の診断・治療にあたっています。腹部超音波、CT、MRIなどによるスクリーニング、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡(EUS)などによる正確な診断に努めており、最新の高度先進内視鏡治療を導入して内視鏡治療困難症例に対しても積極的に取り組んでおり、肝胆膵外科や放射線科など関連各科と定期的に合同カンファレンスを行い、個々の患者さんの状態に応じた最適な診断・治療を行います。また、新規内視鏡治療の開発にも力を入れており、多施設共同臨床研究にも多数参加し、当院が主たる多施設臨床研究も実施しています。
1:胆管結石症に対する切石術、内視鏡的乳頭切開術・砕石術、バルーン拡張術、また巨大困難結石に対する乳頭ラージバルーン拡張術やEHLによる破砕術を行っています。
2:膵・胆道悪性疾患に対しては内視鏡的ドレナージ術を行い、手術適応例では外科と連携して術前化学療法を始め手術までのマネージメントに取り組んでいます。また、手術不能例では化学療法を行いながら、内視鏡的ステント留置による減黄術などQOLを保つための種々の療法を行っています。
3:経口胆道鏡による結石治療や胆管の観察治療、がんの質的診断、進展度診断なども積極的に行っています。
4:従来の内視鏡では内視鏡治療が不可能とされていた胃切除後Billroth II, Roux-en Y再建術後や膵臓がんなどの術後症例における胆膵系トラブルに対して、ダブルバルーン内視鏡(DBE)や超音波内視鏡(EUS)を用いた内視鏡治療を積極的に行っており、特にDBEを用いたERCP(DB-ERCP)は全国的にも屈指の成功率を誇っており、近畿圏内のみならず全国から多数の患者様をご紹介頂いているのは、当科の特徴の一つです。
当科と関連のある学会指導施設としては日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本胆道学会、日本膵臓学会、日本肝臓学会、日本超音波医学会、日本消化管学会、日本カプセル内視鏡学会、腹部救急医学会などがあり、多数の専門医・指導医を擁しています。さらに、消化器・肝臓・胆道・膵臓病診療に関するセカンドオピニオンも受け入れています。
以上のように、関西医大総合医療センターの消化器肝臓内科は専門性を発揮しつつ全人的診療にあたることをモットーに、常に患者さんにより良い医療を提供できるように努めています。
1日平均入院患者数 | 41.6人 |
平均在院日数 | 9.5日 |
1日平均外来患者数 | 107.9人 |
上部内視鏡検査 | 3,060件 |
経鼻上部内視鏡検査 | 151件 |
下部内視鏡検査 | 1,781件 |
小腸内視鏡 | 15件 |
カプセル内視鏡検査 | 20件 |
超音波内視鏡検査(消化管) | 72件 |
超音波内視鏡検査(胆膵) | 116件 |
上部消化管治療(ESD/EMR/ステント留置など) | 94件 |
下部消化管治療(ESD/EMR/ステント留置など) | 246件 |
内視鏡的食道静脈治療(EIS・EVL) | 26件 |
胃瘻造設 | 17件 |
内視鏡的膵胆管造影関連手技(ERCP/DB-ERCP) | 662件 |
経皮的肝生検 | 120件 |
肝癌局所治療(PMCT,PRFA,PEIT) | 47件 |
肝動脈化学塞栓療法(TACE) | 99件 |
経皮的ドレナージ | 5件 |
B型慢性肝炎核酸アナログ治療(新規) | 4件 |
C型慢性肝炎インターフェロンフリー治療 | 32件 |
肝癌化学療法 | 45件 |
腹水濾過濃縮再注入法 | 11件 |
氏名 | 写真 | 職名 | 専門分野 | 認定資格 |
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島谷 昌明 | ![]() |
診療部長 教授 |
消化器病学 消化器内視鏡学 (胆膵内視鏡、小腸・大腸内視鏡) |
日本内科学会認定医・指導医・近畿支部評議員、日本消化器病学会専門医・指導医・近畿支部評議員・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・近畿支部評議員・学会評議員、日本胆道学会指導医・学会評議員、日本膵臓学会指導医・学会評議員、日本消化管学会胃腸専門医・指導医・学会代議員、日本カプセル内視鏡学会専門医・指導医・学会評議員、大阪府難病指定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本腹部救急医学会専門医・教育医・学会評議員 |
山敷 宣代 | ![]() |
准教授 | 消化器、肝臓疾患 (特に肝疾患の診断と治療) |
日本内科学会認定医、総合内科専門医、日本消化器病学会専門医・指導医、近畿支部評議員・学会評議員、日本肝臓学会専門医・指導医・学会評議員、日本医師会認定健康スポーツ医、日本がん治療認定医機構 認定医、日本移植学会移植認定医、大阪府指定医(身体障害者福祉法:肝臓障害)、大阪府難病指定医 |
村田 美樹 | ![]() |
講師 病棟医長 |
消化器、肝臓疾患 (特に肝疾患の診断と治療) |
日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医・指導医、大阪府指定医(身体障害者福祉法:肝臓障害)、大阪府難病指定医 |
住本 貴美 | ![]() |
講師 | 消化器全般 (特に内視鏡診断と治療) |
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医、日本膵臓学会指導医、日本消化器病学会専門医・近畿支部評議員、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・近畿支部評議員、大阪府難病指定医、日本消化器病学会・指導医 |
武尾 真宏 | ![]() |
講師 外来医長 |
消化器全般 (特に内視鏡診断と治療) |
日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医 |
光山 俊行 | ![]() |
講師 | 消化器全般 (特に内視鏡診断と治療) |
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・近畿支部評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・近畿支部評議員・学術評議員、日本肝臓学会専門医、日本胆道学会指導医、日本膵臓学会指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、ピロリ菌感染症認定医、大阪府難病指定医 |
山階 武 | ![]() |
講師 教育医長 |
消化器全般 (特に内視鏡診断と治療) |
日本内科学会認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・近畿支部評議員・学術評議員、消化管学会専門医・指導医・代議員 |
諏訪 兼彦 | ![]() |
助教 | 消化器全般 (特に肝疾患の診断と治療) |
日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、大阪府指定医(身体障害者福祉法:肝臓障害)、大阪府難病指定医 |
堀谷 俊介 | ![]() |
助教 | 消化器全般 | 日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、ピロリ菌感染症認定医 |
齊藤 夏子 | ![]() |
病院助教 | 消化器全般 (特に内視鏡診断と治療) |
日本内科学会認定医 |
笠井 健史 | ![]() |
病院助教 | 消化器全般 (特に内視鏡診断と治療) |
日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、 日本消化器内視鏡学会専門医 |
松本 浩尚 | ![]() |
病院助教 | 消化器全般 (特に内視鏡診断と治療) |
日本内科学会認定医 |
折野 匡洋 | ![]() |
病院助教 | 消化器全般 | 日本内科学会認定医 日本消化器病学会専門医 |
佐々木 浩太郎 | ![]() |
病院助教 | 消化器全般 | |
細田 晃暉 | ![]() |
任期付助教 | 消化器全般 | |
上森 淳史 | ![]() |
任期付助教 | 消化器全般 | |
明石 夕香 | ![]() |
非常勤講師 | 消化器、肝臓疾患 (特に肝疾患の診断と治療) |
超音波指導医、消化器病専門医、肝臓専門医、消化器内視鏡専門医 |
若松 隆宏 | ![]() |
非常勤講師 | 消化器全般 (特に内視鏡診断と治療) |
日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医・指導医・近畿支部評議員、日本肝臓学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本カプセル内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会胃腸専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医、大阪府指定医(身体障害者福祉法:肝臓障害)、大阪府難病指定医 |
是枝 ちづ | ![]() |
医員 | 消化器、肝臓疾患 (特に肝疾患の診断と治療) |
消化器病指導医、肝臓指導医、消化器内視鏡専門医、大阪府指定医(身体障害者福祉法:肝臓障害)、大阪府難病指定医 |
池田 耕造 | ![]() |
医員 | ||
谷野 朋子 | ![]() |
医員 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土(第2、4を除く) | |
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午前 |
關 壽人
諏訪 兼彦 光山 俊行 住本 貴美 齊藤 夏子 |
長沼 誠
山敷 宣代 斉藤 夏子 武尾 真宏 諏訪 兼彦 折野 匤洋 |
關 壽人
島谷 昌明 山敷 宣代 堀谷 俊介 山階 武 |
島谷 昌明
村田 美樹 笠井 健史 松本 浩尚 山階 武 肝臓 是枝 ちづ |
村田 美樹
光山 俊行 住本 貴美 堀谷 俊介 武尾 真宏 |
ローテーション
佐々木 浩太郎 |
午後 |
|
|
肝臓
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