ブレストセンターは乳がんの適確かつ正確な診断と女性に優しい乳がんの治療を目指します。ブレストセンターでは乳腺外科・形成外科・放射線科・病理診断科、消化器肝臓内科、肝胆膵外科、看護師などの専門医療スタッフにより患者さんを中心とした集学的医療を実施し、大学附属の施設として診療連携を円滑に行います。そして従来にない垣根を越えた診療を行うことによって、より良い医療めざすだけでなく、待ち時間も短縮し、患者さんの負担を軽減します。
ブレストセンターは、乳がんの診断、治療それからとくに乳房再建を目的に、様々な専門家が一堂に会して実践する、「患者中心の医療」を目指して2014年11月に 開設となりました。
「患者中心の医療」の理念に基づく治療を提供するために、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、リンパ浮腫リハビリ等、各職種が関わるチーム 医療を実践しています。
各職種が専門性を発揮し責任を持ち協働して医療を提供することにより、患者さんの価値観に照らし合わせた満足度をより高める医療の 実践を目指しています。
センター長 教授 山本 大悟
〇 最新の機器を用いた乳がん検診および乳がんの診断
マンモグラフィ、エコー(エラストグラフィ、カラードプラー併用)、CT、MRI、シンチグラフィ、PETを用い、一人ひとりの患者様の状態を正確に診断します。
マンモグラフィ、エコー検査ではそれぞれ専門の女性技師が検査をおこないます。マンモグラフィは複数の認定医師(検診マンモグラフィ読影認定医;評価AS 1名、A 3名)で読影をおこないます。
臨床上明らかな腋窩リンパ節転移が無い場合、センチネルリンパ節生検(ラジオアイソトープ・色素併用法)でより正確な転移診断を行っています。
CT、骨シンチグラフィ、MRI、PET検査等により乳がんの全身転移診断を行います。遠隔転移があっても、早期発見する事により根治(cure)を目指せる確率は高まると考えています。
〇 化学療法センターでの化学療法・分子標的治療
当科の化学療法および分子標的治療は化学療法センターと連携した外来化学療法と、入院でおこなう頭皮冷却装置併用化学療法の併用でおこなっています。
〇 放射線治療
乳房温存手術をおこなった例で、局所再発の可能性が考えられる際には残存乳房照射をおこないます。乳癌が大きい場合やリンパ節転移がある場合には、乳房全切除術後であっても胸壁照射やリンパ節領域への照射をおこないます。
転移乳癌で広範囲リンパ節転移や骨転移があり、治療により完全寛解あるいはそれに近い状態が得られた場合に、根治(cure)を目指して放射線照射を併用する場合があります。
放射線照射は、照射野や方法を放射線科と密接に連携しながら安全におこなっています。
〇 乳房再建(自家移植・インプラント)
当センターの最大の強みは形成外科と乳腺外科と緊密に連絡を取り合い、それぞれの患者さんに最適な手術を選択することができる点です。
現在乳がん治療は“オンコプラスティック”が重要と言われております。
これは“オンコロジー(腫瘍学)”と“プラスティック(整容性)”を両立させる、という概念です。
以前のように、乳癌をとった後は形成外科におまかせ、ではこれを実現することはできません。どれだけ組織を切除するのか、再建方法によって切開線の長さや位置をどうするのか、など詳細な打ち合わせがなければ良い乳房再建はできません。さらに患者さんの背景や、希望する術式等を含めて最終的な術式、再建方法を決定していきます。常に患者さんの希望にできるだけ沿った再建を心がけております。