近年排便や排尿に関する機能性疾患が問題となっています。これらの疾患は高齢の方に多いといわれていますが、直腸や前立腺の手術を受けた患者さんのなかにも排便障害や排尿障害が起こることがあり、その場合生活の質が大きく損なわれてしまいます。
当センターは、骨盤の中の臓器である直腸、膀胱、子宮や骨盤の底にある筋肉群、尿道や肛門の括約筋の機能障害で引き起こされる疾患を総合的に診療する部門です。具体的には便・尿失禁、便秘、骨盤臓器脱の専門的な診療をさせていただきます。
当院では2020年1月から骨盤機能センターを立ち上げております。便失禁や尿失禁などの症状で多くの方が悩んでおられます。日本人の場合便失禁の患者さんは約500万人、尿失禁は約1,000万人と推定されています。失禁以外にも、骨盤底筋の緩みによる直腸脱や子宮脱などの患者さんもおられます。これらの疾患に対して外科、泌尿器科、婦人科を中心に対処してまいります。今後は各診療科がより横断的に連携し患者さんの訴えに寄り添って治療をしてまいります。
センター長 准教授 徳原克治
現在ございません。
外科は月曜と金曜に「骨盤機能外来」を開いており、便失禁、便秘、直腸脱などの疾患を主に診療しています。また、詳しい検査が必要な場合は肛門の内圧検査や排便造影検査を適宜行っています。特徴的な治療として便失禁に対して仙骨神経刺激療法が日本でも保険適応となり、当院では患者さんの希望があれば積極的に行っています。また骨盤底筋の緩みによる直腸脱に関しては、腹腔鏡を用いた直腸固定術や経会陰手術を導入しています。
泌尿器科では神経因性膀胱や排尿機能障害に対する体制を整えています。骨盤底筋の緩みや膣の緩みにより直腸や膣、子宮が体外に出る骨盤臓器脱があると、排尿障害や尿排泄障害をきたすことがありますが、これに対してはメッシュ(人工筋膜)を使用した特殊な手術を行っています。一般的に骨盤内の機能性疾患は女性に発症することが多いため婦人科の治療が必要な場合は連携して行っています。
便が漏れる、尿が漏れる、肛門に痛みがあるなどの症状や、直腸や子宮などが陰部から外に出る(骨盤臓器脱)症状でお困りの方は受診してください。
対象疾患は便失禁、尿失禁、直腸脱、骨盤脱のある方になります。骨盤臓器脱に対しては、腹腔鏡下手術や経会陰手術を行います。患者さんご自身は症状の原因が分からず不安に思っておられる場合があります。症状の程度にかかわらずご紹介ください。