血液は、血球と血漿から構成されています。血球には赤血球、白血球、そして血小板があり、それぞれ生体で重要な働きを担っています。一方、血漿はほとんどが水分ですが、タンパク質も含まれており、そこに重要なアルブミン、免疫グロブリン、凝固因子があります。病気で十分な血液成分を作れず、体の健康が保てない場合や、大量出血がおこり生命に危険が生ずる場合、速やかにそれらを補う必要があります。輸血は、それをヒト由来の血液または血液成分で補う治療法です。輸血部では赤血球、血小板、血漿成分および凝固因子を管理して輸血します。
人類における最初の輸血成功例はロンドンでの1827年に遡ります。以後、輸血に伴う医学的根拠が次々に解明されてきました。同時に安全管理も整備され、日本では1952年に日本赤十字社が設立されました。年々医学が進歩し、様々な新薬が登場し治療成績が向上しています。しかしながら、生体細胞を健常なドナーから供給する輸血に代わる新薬はなく、輸血医療の重要性は不動です。輸血とは、ヒトからヒトへの贈り物と考えています。その管理を我々、輸血部でしっかりと責任も持って応えていきたいと思います。また、近年細胞遺伝子医療の進歩により骨髄移植に代わるCAR-T(キメラ抗原受容体)細胞療法も臨床で可能となりました。iPSを使った血小板の実現も数年先に迫っています。輸血業務も細胞療法を兼ねる業務に移行しつつあり、とても将来性のある分野です。
部長 准教授 岡田 昌也
現在ございません。
・認定施設
当輸血部は日本輸血・細胞治療学会から認定医制度指定施設、および臨床輸血看護師制度研修施設に認定されています。同学会認定医、認定輸血検査技師、細胞治療認定管理師もそれぞれ擁しています。
・輸血業務24時間体制
当院の特色として、救命救急センターの活動性が非常に高いです。そのため、近隣問わず、大阪府下から重症患者が搬送されてきます。24時間体制で緊急性の高い輸血にも対応しています。それを支えるべく、臨床検査部と合同で時間外にも輸血業務を実施し、24時間体制を維持しています。また、大量輸血時の異型適合輸血にも対応しています。
・輸血療法対策委員会
病院管理部、中央診療部、該当診療科の委員が月一回集まり、輸血医療に関して集中討議しています。ここでは輸血に関する問題や改善方法を議論し、さらに適正で安全な輸血が行えるよう検討しています。また、決定事項が周知徹底されるよう、啓蒙活動も実施しています。