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修了生メッセージ(博士前期課程 研究者コース)

地域看護学領域
現職:保健所 勤務 
辻 優子 さん

現在のご職業をお聞かせください。

中核市の保健所で保健師として、成人の健康づくりに従事しています。主な業務は、担当保健師として受け持ち地区の住民の方の保健指導と、年間を通じて市で定期的に開催している各種健康教室を担当しています。

関西医科大学大学院看護学研究科に進学した理由を教えてください。

もともと大学生の頃から障がいを有する方に関わりたいという思いがあり、卒業後は入職した附属病院の小児科病棟で3年間働きました。その後も臨床で勤務する中で、子どもたちが病院を経て地域へと帰っていく在宅移行支援の過程により深くかかわっていきたいと考え、調べるようになりました。しかし徐々に、今の自分の力だけでは、自分の感じる疑問を言語化することや疑問を解決することが難しいと感じ始めました。その時に、大学時代の恩師であり、当時本学で教鞭を取られていた教授から、大学院で研究手法を学んでみてはどうかとアドバイスを受け、進学を決めました。

他の大学院と比べ本学がよかった点は、講義が充実していることや学費、立地の面から通いやすかったことです。そして私にとっては何よりアドバイスを受けた教授の下で学べる場所だったことが大きな理由となりました。

関西医科大学大学院での学びや研究が、現在の業務に役立っていることはありますか?

初めての行政での業務、さらに成人を対象にした部署への配属ということもあり、これまでの病院での臨床経験や大学院で取り組んだ研究内容とは異なるため、戸惑うことの多い毎日ではありますが、大学院の講義を通して学んだ知識や自ら学ぶ力を生かし、業務においても多角的な視点で考えるよう意識しています。

在学中に印象に残っている講義科目は何ですか?

どの講座も甲乙つけがたく印象に残っていますが、とりわけ1年次の「コンサルテーション論」と「看護倫理」の講義は印象に残っています。

対人職である看護職にとっては、自分の考え方や話し方ひとつで対象者の反応や受け止め方が変わることは、常に気にしておく必要があると思いますし、「これでいいのだろうか、よかったのだろうか」と思い悩むことも少なくないのではないでしょうか。「コンサルテーション論」では、ロールプレイを通して実際にコンサルテーションを行いました。その中で、対象者のことを知ろう、強みを引き出そう、どのようなアプローチをしたらいいかと自分なりに最善を考えて取り組んでも、自分が良いと思ったことが実際には十分ではなかったり、更に良い方法があったりするため、自分の思考をさらに広げる必要性を気づかせてもらえる講義でした。

「看護倫理」では各回あるテーマを取り上げ、ディスカッションを通して自分の考えを深める機会をもらいました。看護を実践する中では、自分の倫理を大事にすることを求められますが、その一方で臨床現場では、研修での課題や何かしらの事態が発生しない限り、自身の倫理について取り上げ、議論する機会はそう多くはないと思います。議論を交わし意見を交換することで新たな視点を持てたこと、そして自らの考え方に関しても言語化し整理することができ、自分の看護の視点を深めることができたと思います。

実際に入学してみて、本学の魅力だと感じた点をお聞かせください。

学部生の頃に教えてもらって詰めこむようにして学んだ「看護学」でもなく、臨床時代に考えてきた自身の個別の「看護」で留まるのでもない、学問としての現状や今後の発展といったことにまで目を向けていくことの重要性を知ることができることだと思います。

また、先生方に支えられながら取り組む各講義での課題はもちろんですが、様々な分野で経験を積んでこられた他の分野の大学院生の方と院生室で議論し、深める時間を持てたことはかけがえのないものだったと思います。

受験生の方に向けて、一言メッセージをお願いします!

大学院では学部とは異なり、自分と向き合うことが多く求められます。学問としての知識量や経験量は人それぞれではありますが、それだけではなく、自分の中にある「もの」を何度も何度も掘り起こしては見つけ出し、よく見て磨いていく作業は辛く苦しいことも多いと思います。しかし、振り返った時、その過程で得られた自分自身の発見や物事の見方は、今までとは違う景色をみせてくれるはずです。

現時点で学生の方や経験年数の少ない方、就業中で退職して進学を検討されている方、いずれの方にとっても進学は勇気のいる決断だと思いますが、それぞれにとっての充実した2年間を過ごしてほしいと思います。