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  • 服部研究教授のCOVID-19関連研究計画が川野財団の研究助成に採択

2020年09月05日

服部研究教授のCOVID-19関連研究計画が川野財団の研究助成に採択

ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた、新型コロナウイルスの感染実験計画

 9月4日(金)、本学iPS・幹細胞再生医学講座服部文幸研究教授が計画する新型コロナウイルス感染症に関する研究が、30年以上の長きにわたって小児医療の発展をサポートし続けている川野小児医学奨学財団(以下「川野財団」)の研究助成に採択されました。本学にとっては、初めて川野財団からの研究助成獲得となりました。

 もともと服部研究教授は予備研究として、様々なヒトiPS細胞由来の組織に対して新型コロナウイルスの侵入レセプター(ACE2)の発現強度を調べた結果、心筋細胞に多くの発現が見られることを明らかにしています。また、現在までの研究で新型コロナウイルスは肺胞上皮細胞や腸管上皮細胞などの組織だけでなく、様々な臓器へ感染することが分かってきました。この性質によって、感染の長期化や再燃につながっている可能性があるといわれています。今回の研究計画はこれらの発見を元に、実際に心筋に対する新型コロナウイルスの感染可能性を確認するものです。

新型コロナウイルス感染症の早期治癒、重症化・再感染防止を目指す

 通常、人体へ侵入してきたウイルスにはヒトが本来持っている自然免疫システムが機能し、排除します。しかし排除できなかった、あるいは何らかの理由で自然免疫が機能しなかったときは、続いて獲得免疫システムが稼働するのですが、進化的に経験のない病原体に対しては、獲得免疫システムは効率的に機能しません。日々更新される世界各国からの報告によれば、新型コロナウイルスは自然免疫システムを回避する能力が高い、という特徴が分かってきました。

 結果として、全世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大=パンデミックが発生しているのが現状ですが、感染早期に何らかの医学的介入を行って自然免疫を機能させることができれば感染予防・早期治癒・重症化防止が可能になると服部研究教授は考えています。加えて、新型コロナウイルスが持っている自然免疫回避機構(服部研究教授は「ステルス性能」と呼んでいます)の解除を目指して、新たなアイディアの実用化を目指す、とのことです。

 今回の研究が実用化されれば、新型コロナウイルスだけでなく今後登場するかも知れない未知のウイルスに対しても感染予防効果が見込めることから、ウイルスに対する新しい武器の獲得になることが期待されています。

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