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2022年07月08日

子宮頸がんの前がん状態の新しい治療法開発に向けて、クラウドファンディング開始


上昇する子宮頸がんの罹患率

 子宮頸がんの罹患率は2000年以降上昇しています。(出典:国立がん研究センター がん情報サービス) 現在、子宮頸がん対策で効果が高いとされるHPVワクチンの接種は、日本での集団接種が2013年に開始されたものの、僅か2ヶ月で積極的な勧奨が差し控えられました。その後2022年4月に接種の積極的勧奨が再開されましたが、この間、子宮頸がんの前がん状態(CIN)および子宮頸がんの罹患率が上昇し続けています。(出典:国立がん研究センター がん情報サービス)

 HPV感染後は、CIN・上皮内がんを経て子宮頸がんへの進行を抑える効果はワクチンにはなく、子宮頸がん検診による「がん化の早期発見」と、子宮温存のための「円錐切除」による対応が中心です。しかし円錐切除は、手術における取り残しや追加治療が必要となる場合、また再発する場合もあります。 さらに円錐切除術後には早産率の上昇もあり、不妊症の原因になることもあります。(出典:東海大学 三上幹男 日本婦人科腫瘍学会(2017年))


低侵襲で行える新しい治療法の開発

 今回、産科学・婦人科学講座の北診療教授らは、「光線力学的療法(PDT)」の技術を応用した新しい治療法の開発に取り組みました。この治療法は子宮頸がんの前段階、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)の状態で治療するもので、手術で切除することなく低侵襲で行える、患者さんに優しい治療法です。
 

この治療法を実現するために

 しかしながらこの治療法は子宮頸がんの前がん状態に対する有望な治療法でありながら、子宮頸がん予防の世界的潮流はHPVワクチンであり、企業の協力がなかなか得られず計画が止まってしまっています。この治療法を、日本をはじめとするワクチン接種がなかなか進んでいない国へ、ワクチン接種の機会を逸してしまった患者さんへ、前がん状態と診断されたが治療方法に悩んでいる患者さんに、一刻でも早くお届けするために、我々はクラウドファンディングを行うことにいたしました。

クラウドファンディングとは…

 クラウドファンディングとは、群衆を意味する「Crowd」と資金調達を意味する「Funding」が合体した造語で、インターネット上で広く資金調達を行う手法です。定められた期間内に目標金額が集まった場合、寄せられた寄附金を活用することができるのが特徴。逆に、期間内で目標金額に満たなかった場合は、全額が寄附者に返金されます。新製品開発などものづくり領域では十数年前から活用が進んでいましたが、医療・医学分野では近年になって利用例が増えてきました。

 また、「投資型」「融資型」「報酬型」などのタイプに分かれ、今回本学が取り組む「報酬型」クラウドファンディングは確定申告の際、「寄附金控除」か「寄附金特別控除」のどちらかを選択することが可能です。

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