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地域生活援助論実習Ⅰインタビュー

地域生活援助論実習Ⅰ

在学中にさまざまな特性をもった地域で保健師さんの活動を学んで視野をひろげられるのは関西医科大学ならではだと思います!

3年次
河居 史晃さん

まずは、西粟倉村の実習に参加された感想を教えてください。

この実習では、1週間ほど西粟倉村に滞在しましたが、地域の健康課題を考えたり、住民の方が参加されている活動に参加したり、まるで自分が西粟倉村の保健師になったような気持ちで地域の特徴に応じて展開されている保健医療活動を学ぶことができました。また、現地の保健師の方は人口の少ない西粟倉村ならではの特性を生かし一人ひとりの住民の方に対応した距離感で事業に取り組んでいることがわかりました。

地域によって人々の生活や健康課題が大きく違うことを学んで視野が広がりましたし、実習中には村の人々の温かさも感じながらとても充実した体験をすることができました。

実習地として、なぜ西粟倉村を希望されましたか?

人口が少ない地域においての保健師さんの活動を学ぶ中でも、西粟倉村は1,500人程度の人口に対して保健師3人と保健師の人口に対する保健師の人数が比較的多く、住民の方により密着した保健医療活動が行われているのではないかと考えたからです。また、西粟倉村のような自然豊かな場所は自分の故郷にも通じるところがあったので、そのような地域での保健師の方の活動を知りたいと思ったことも理由です。
(写真:豊かな森林をもつ西粟倉村の風景)

実習中にはどんな活動をしましたか?

事前学習では、自分たちで西粟倉村の特徴を調べ人口構造や環境、住民の方の抱える健康問題などをまとめて分析を行いました。
現地に到着してからは、担当保健師の方に事前学習の内容を発表してフィードバックを受けたり、地区踏査で村を実際に歩いて生活環境を観察したりしました。医療機関やお店の数、住宅からの距離などを実際にこの目で見て、改めてこれまで実習等で訪れた地域との生活環境の違い、そこから考えられる健康への影響を考えることができました。

また、「であい茶屋」という地域の高齢者の方の交流の場で、血圧や脈拍測定等の健康チェック、昼食の提供や体操・詩の音読などの活動にも参加しました。認知症予防や社会参加を目的としている場なのですが、実際に参加者の方ともお話して他の参加者の方と交流することができて楽しいという声を聞くことができました。昼食に準備したものは高齢者の方が飲み込みやすいように食材の処理が工夫されていたり、誤嚥防止効果がある詩の朗読は自宅でも続けられるような声かけをボランティアの方が行っていたり、保健医療活動が十分に機能していることを実感しました。

実習を通して学んだこととして、どんなことがありましたか?

保健師の活動における健康課題の捉え方を学びました。事前学習などで西粟倉村の健康について考察し、そこで見えてきた住民の方の抱える疾病や死因こそが健康課題なのではないかと捉えていたのですが、保健師が取り組むべきなのはそれだけではなく、その人の生活をよく知りQOL向上や健康寿命の延伸につながるような対策を検討することだと教えていただきました。

例えばある方が病気になったときに、病気そのものを健康課題ととらえるのではなく、なぜそのような状況、病気を引き起こす状況になったのか、という原因こそが健康課題ではないかという視点を教えていただきました。これは「フレイル(虚弱)ドミノ」という概念ともつながるものです。社会とのつながりがなくなることがフレイルの最初の入り口といわれています。病気の手前には「フレイル」の状態があり、たとえば骨折といったような、社会とのつながりをなくすような出来事が「フレイルドミノ」を引き起こすきっかけとなり得ることを認識し、西粟倉村では骨折予防のために足指体操を推進してバランス力の向上に努めているそうです。

保健師として活動する上で検診結果から対象者を医療機関に紹介したり、生活の中でできることを伝えて行動変容を促したりすることは大切な役割ですが「なぜその方はこの結果になってしまったのだろうか」と生活やその方のパーソナリティにも思いを巡らせ、不安があれば寄り添っていくこと、その人自身を見ようとする姿勢が欠かせないということを学びました。

実習の中で印象に残っていることを教えてください。

西粟倉村での保健師と住民の方との距離の近さが印象に残っています。 西粟倉村では保健師の実習にきたというと住民の皆さんがすぐに内容をわかってくれて、より身近な存在として認識されていると感じました。より住民の方に身近な保健活動を意識されており、保健師の方の「誰1人取り残さないように」という思いが住民の方にも伝わっているのではないかと思いました。
(写真:インタビューに答える河居さん)

 

最後に受験生の方へのメッセージがありましたらお願いします!

本学は保健師国家試験受験資格を全員が取得できる統合カリキュラムで、1年次から地域の実習を通して人々の生活と健康を学びますが、さらにこのような実習を通して遠く離れた全国の実習地でその地域に合わせた健康課題に取り組んでいる方にお話を聞く機会があるのはまた大きな特長だと思います。

自分たちが西粟倉村で学んだこと以外にも、他の地域に実習に行った学生の発表を聞いて、人々の生活や健康課題はその地域によって本当に多様で、展開されるケアもその土地に応じたものを検討する必要があることを実感しました。

こういった保健師の視点は、病院における看護師の実習でも役立つものだと思います。対象者さんが地域に帰ったらどんな生活をされるのか、どんな社会資源を活用できるのか、どんな職種と連携しながら地域で生活する人を支えるのかなど、退院後を踏まえたアセスメントや看護計画の立案にも知識をいかすことができますし、病院だけで病気を治すという「病院完結型」ではなく、病院を退院して地域に帰ってからも地域でケアする「地域完結型」の医療に変わってきている中で、看護の質を高めるのにとても意義があることです。
皆さんもぜひ一緒に本学で一緒に学びませんか。