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研究紹介(理学療法学科_スポーツ科学分野)
治療から予防、技術力向上まで、スポーツ選手を多角的に支える
田頭 悟志 講師
専門領域:スポーツ・呼吸器・循環器
研究分野:自然科学一般、地球生命科学、スポーツ科学、健康科学

研究から見える未来
スポーツ選手のケガ予防やパフォーマンス向上を支える、理学療法を探求しています。個別最適化された安全で効果的なトレーニング法や、体幹の働きを測れるスマホアプリの開発などを通じ、スポーツ現場でも活躍できる理学療法士を目指しましょう。
目指す未来
理学療法士(スポーツ選手のサポート・研究)
先生にインタビュー
Q1.先生の専門領域について教えてください
私は、大学卒業後に勤めたのが急性期の総合病院で、スポーツに加えて呼吸器や循環器系も専門領域になります。中でも、スポーツ現場に出て行くことを重視した、スポーツリハビリテーションが主な研究テーマです。スポリハは、スポーツをする人たちがケガから回復して、最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートする分野です。ケガの治療はもちろん、ケガの予防やパフォーマンス向上まで、選手を多角的に支える大切な役割を担っています。
Q2.現在どのような研究をされていますか?
私たちの研究室では、「スポーツをもっと安全に、もっと強く!」というのが目標。例えば、走る速さやジャンプの高さを測定して、一人ひとりに合ったより効果的なトレーニング方法を開発したり、腰痛や股関節のケガを防ぐために、体幹(体の中心)の筋肉がどう働くかを研究したり…。専門家がいなくても、誰でも簡単に体幹筋機能が測れるスマホアプリの開発も企業と協同で進めています。
Q3.先生が現場を重視されているのはなぜですか?
現在、大学でパラリンピック選手のフィジカルチェックを年2回行っていますが、いずれは研究施設でデータを測ることはなくなると思っています。というのも、選手たちから一番多く聞かれるのが、「実際の現場と違う」という声。いくら測定できても、本来プレーしている実際の現場とは、環境が全く違うからです。測定機器の小型化も進んでいて、現場に研究者が行って測定をするようになるでしょう。私も近く、雪山へ行って雪上で測定する予定があります。
Q4.現状の課題や今後の目標はありますか?
課題は、スポーツ科学の最新知識がなかなかスポーツの現場に届かないことです。理学療法士は体の専門家であり、科学的な知識を実践的なアドバイスに換えて現場に橋渡しできると考えています。小型化された高性能な測定機器をこれからどんどん活用し、プロが活躍する競技施設だけでなく、部活や一般の人が練習するグラウンドや体育館でも、直接アドバイスできるようになることを目指しています。
【研究TOPCS】
スポーツリハの経験を積める「SeeK」
田頭先生が顧問の「SeeK(シーク):Student trainers Club(スチューデントトレナーズクラブ)」は、大学のカリキュラム以上に学生がスポーツ現場で経験を積めるよう設けられたクラブです。高校サッカー部の活動やプロアスリートのトレーナーをサポートしたり、スポーツメディカルラリーで応急処置を学んだりして、チーム力や実践力を高めています。パラリンピック選手のフィジカルチェックや女子陸上長距離選手のパフォーマンスチェックなどにも参加。さまざまな活動を通じて理学療法士としてのスキルを磨き、将来の選択肢を広げています。

安全・手軽に測定できるAIによる動作解析技術の研究
AIを用いた動作解析を活用し、歩行分析および体幹筋機能評価をスマホだけで測定、ならびに測定結果に基づくフィードバックを行うアプリケーションの精度向上とシステム開発の研究に取り組んでいます。体の各部位の「角度(角速度)・速度(加速度)・特定の位置からの距離・脊椎の湾曲角・軌跡」などがスマートフォンだけで手軽に算出可能であるため、探究学習・スポーツに加えて研究・臨床など、さまざまなシーンでの利用例も増えています。

AIによる3D 動作解析アプリ
学生のホンネVoice

SeeK代表・理学療法学科 在学生(2023年入学)
高校時代からスポーツトレーナーに興味を持ち、田頭先生の活動内容を大学のホームページで知って関西医科大に進学。入学後、先生が顧問をされているSeeKにも入部しました。活動前は簡単な作業をイメージしていましたが、実際は選手のフィジカルチェックを通してデータを解析したり、ウォーミングアップのサポートや応急処置をしたりするなど、貴重な経験を積ませてもらいながら視野を広げています。1年次の早い段階からいろいろな機械に触れられ、授業で学んだことを応用できる機会にもなるため、楽しく勉強に取り組めています。実際の現場に出て得られた疑問や気付きを解決し、さらに学びを深めて成長していきたいです。
先生からのメッセージ

理学療法士は、病院で子どもから高齢者まで治療する職業。それをベースにいろいろ掛け算すれば、より深くスポーツと関わることができます。本学では、現場を重視した活動や日本代表チームのプロトレーナーを招いた講義など、他大学にはない魅力的な授業を取り入れています。スポーツに興味がある人もない人も、ぜひ学びの現場を見に来てください。皆さんの興味がくすぐられること間違いなしです!