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学部・大学院

内科学第一

内科学第一講座は、本学創立の2年後に設立された、最も歴史ある内科学教室です。現在は、血液、呼吸器、膠原病の3つの診療分野を中心に、主に生体防御(免疫機構)の破綻に起因する疾患を対象とした診療と研究を行っています。

血液内科では、ほぼすべての血液疾患に対応しており、輸血部との密接な連携のもと、造血幹細胞移植やCAR-T細胞療法といった高度かつ先進的な治療を積極的に実施しています。

呼吸器感染症内科では、悪性疾患を除く呼吸器疾患(例:慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息など)および各種感染症の診療に携わっており院内の感染制御部とも密接に関わっています。

膠原病内科では、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの難治性疾患を主に担当し、生物学的製剤などを用いた常に最新のエビデンスに基づいた医療を提供しています。

これら3分野は、いずれも内科領域における重要な柱として中心的な役割を果たしています。

生体防御・免疫

当講座では、「生体防御・免疫」を中心的な研究テーマに据え、血液、膠原病、感染症という3つの診療分野を横断する研究を推進しています。「生体防御・免疫」は、基礎と臨床をつなぐ“ハブ”として、悪性腫瘍、自己免疫疾患、感染症など多岐にわたる疾患群の理解と治療法開発に貢献する中核的分野です。近年では、パンデミック対策などの社会的課題にも直結する実用性の高い研究領域として、その重要性が一層高まっています。この分野における教育と研究を通じて、血液、膠原病、感染症の臨床への理解を深め、基礎医学的素養を持つ臨床医としての成長を促します。将来的には、次世代の医療と研究を牽引する人材として自立し得る、深い専門知識と広い視野を備えた人材の育成を目指しています。

現在の研究テーマ

当研究室では、免疫関連疾患や同種移植に関する病態解明と新規治療法の開発を目的とした研究を行っています。基礎研究から臨床研究まで幅広いアプローチを用い、疾患のメカニズム解明と治療の最適化などへの応用を目指しています。

1.ヒト樹状細胞を用いた臨床的及び基礎的研究

生体内で免疫監視機構の中枢に位置し抗原提示細胞として種々のエフェクター細胞を統御する樹状細胞(DC)は、現在までに様々な炎症性疾患の病態発症起点ならびにその進展に重要な役割を果たすことが判明してきていますが、1990年代当時、その詳細ならびにその重要性はある程度提唱されていたものの、ヒトにおけるDCの単離抽出の困難さからヒトにおける研究はほぼ皆無でした。私たちの研究室では、健常人の末梢血には、ミエロイド系DC2つの亜群とリンパ球系DCの計3つの亜群が存在することを明らかにし、これらを高純度に純化・単離する手法を確立(J. Immunol.1999)。それ以来、第一内科研究室でこのヒト樹状細胞を用いた研究を中心に据えて、現在まで研究体制を推し進めています。

樹状細胞は、エフェクター細胞を起動・教育する細胞であり、言うなれば免疫システムにおける司令官の役割を果たす細胞であるため、本来であれば免疫学の研究において、研究対象として外すことが出来ない細胞です。しかしながら、樹状細胞は生体に広く分布する一方、その細胞密度は低く、特にヒトにおいては単離抽出が極めて難しいものです。候補者は、独自にヒト末梢血中の2つの樹状細胞サブセットを高純度に単離する手法を確立し、それを用いてヒト樹状細胞の機能解析を専門として研究を行っています。このようなヒト樹状細胞を対象とした研究は日本国内でも限られたわずかの施設でしか行なわれていません。21世紀の難治性疾患の治療戦略は、生体防御の内なる免疫機構を解明し、その機構を活用する免疫療法に注目が集まっています。すなわち、生体防御の要に位置する樹状細胞を戦略のターゲットに位置づけることです。

・ヒト樹状細胞の生物学的特性の解明と薬剤ターゲットとしての重要性:当教室では、健常人の末梢血には、ミエロイド系樹状細胞(myeloid DC; mDC)と形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid DC; pDC)の2つの亜群が存在することを明らかにし、mDCはTh1誘導とTh2誘導の可塑性を有し、このTh2誘導能は、液性免疫としてグロブリン産生に寄与するのみならず、OX40Lの発現によりアトピーなどのアレルギー性炎症の病態に寄与することを解明しました。もう一方のpDCは血中のI型IFN産生量のほとんどを占め、細胞のシグナルシステムの殆どをそのI型IFN産生に費やす特徴を有しており、抗ウィルス免疫に無くてはならない細胞であることも報告しています。さらに候補者はこれらの研究実績を発展させ、臨床応用へと発展させています。すなわち樹状細胞を対象に、様々な薬剤(多発性骨髄腫治療薬IMiDs、免疫抑制剤ミコフェノール酸モフェチル、HMG-CoA還元酵素阻害剤スタチンなど)に対する反応性を解析し、薬剤の作用機序解明と、疾患における樹状細胞が治療ターゲットしての重要性であることも明らかにしました。一例として、臨床的血中濃度のIMiDsはpDCの持つIFN-a産生能を維持し、mDCの有するTh2関連液性免疫/アレルギー応答も増強することで皮疹が増える反面、骨髄腫に対する治療効果に寄与することを解明しています。

2.GVHDモデルマウスを用いた移植片対宿主病(GVHD)の病態解明と新規治療法の開発

移植片対宿主病(Graft-versus-Host Disease: GVHD)は、同種造血幹細胞移植後に発症する重篤な合併症の一つです。当研究室では、GVHDモデルマウスを用いて移植後の免疫動態を詳細に解析し、革新的な治療戦略の開発を目指しています。特に、同種免疫応答の制御に関わるいくつかの分子に着目し、GVHDの発症・進展を抑制する新規治療法の探索に取り組んでいます。

3.膠原病モデルを用いた強皮症・全身性エリテマトーデスの治療法開発

全身性強皮症や全身性エリテマトーデスは、自己免疫異常に起因する難治性疾患です。当研究室では、膠原病モデルマウスを用いて疾患の病態を解析し、新規治療法の開発を進めています。特に、免疫調節の制御に焦点を当て、新しい治療標的の探索および治療薬の評価を行い、より効果的な治療戦略の確立を目指しています。

4.臨床検体を用いた同種移植における予測因子の探索

同種造血幹細胞移植の成功率を高めるためには、移植後の免疫反応や合併症のリスクを適切に評価し、個別化医療を推進することが重要です。当研究室では、実際の臨床検体を用いて解析を行うため、多施設共同研究を行なっており、移植後の予後や合併症の発症を予測するバイオマーカーの探索を行い、移植医療の最適化を目指しています。

現在の研究テーマ

連絡先

〒573-1010 枚方市新町二丁目5番1号
関西医科大学 内科学第一講座
電話 072-804-2754,072-804-2503(ダイヤルイン)
FAX 072-804-2041, 072-804-2504

関連

医学部 内科学第一講座 (血液 呼吸器 膠原病感染症内科)
大学院医学研究科 医学専攻 血液・呼吸器・膠原病・感染症内科学

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